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2018/08/29
 

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2018/07/31
フランス語の rosbif(ロースビフ)は、英語の roast beefをフランス語にした単語です。もちろん食べ物のローストビーフのことなのですが、イギリス人の蔑称としても使われます。



ローストビーフはイギリスで生まれた料理。それをイギリス人の悪口を言うときなどに使われるのですが、考えてみると奇妙。貶したいなら、そんな美味しそうな料理の名前を付けなくても良いではないですか?

なぜフランス人はイギリス人のことをローストビーフと言うのか? それを調べて書こうと思ってシリーズ日記を始めたのですが、脱線したりして幾つもの記事を書いてしまいました。でも、今回で総括して、終わりにすることにします。

シリーズ記事 【嫌いな国の人を何に喩えるか目次へ
その12

なぜイギリス人にローストビーフというあだ名を付けたのか?

よく挙げられている理由は2つありました。

1つは、ローストビーフはイギリスで生まれた料理で、イギリス人たちがよく食べるから。

もう1つの理由は、ローストビーフは、赤い色に特徴があるイギリス人をイメージさせるから。

この2つを合わせて、イギリス人はローストビーフと呼ぶのが最も相応しい、ということになったような気がします。


イギリスからローストビーフが伝わったときに付けられあだ名

ローストビーフをフランス語にした「rosbif」という単語が、初めて文献に現れたのは1691年。

でも、フランス人がローストビーフという料理を広く知るようになったのは18世紀になってからでした。海の向こうにはグレートブリテン島がある港町カレーには、フランスに上陸したイギリス人兵士にローストビーフを食べさせる、イギリス人経営のレストランができていました。

イギリス人の画家ウィリアム・ホガースは、1748年当時のカレーの町の様子を描いています。


The Gate of Calais (O, the Roast Beef of Old England), 1748

「カレーの門 ー 古きイングランドのローストビーフ)」と題された作品です。中央に、ローストビーフにするための大きな肉を抱えた人がいて、これがイギリス人経営のレストランに運ばれるのだと分かる絵になっています。

この作品の解説を書いたのは、次の記事:
★ ⑥ ローストビーフはイングランド料理で、スコットランドはボイコット?


この絵が描かれた当時のフランスでは、牛肉は煮込んで食べるものだとされていました。イギリス人が牛肉を焼いただけでシンプルに食べるとのは、フランス人たちには物珍しかったはず。

なぜフランスに牛肉を焼いて食べる習慣がなかったかについて書いたのは、こちらの記事:
★ ⑦ イギリスは、フランス料理の発展に貢献していた


カレーの町にあったローストビーフを食べさせるレストラン。そこで働くイギリス人たちに「ローストビーフ」というあだ名を付けたのが発端でした。

それが広まって、イギリス人なら誰でも rosbif と呼ぶようになっていきます。
公然とそう呼ばれるようになったのは1774年、とされています。

つまり、フランス人がイギリス人のことを「ローストビーフ」を呼ぶようになったのは、250年くらい前から、ということになります。


ローストビーフは赤いからイギリスを連想させる

イギリス兵の制服の色が赤いからローストビーフと呼ぶ、というのがありました。このシリーズでは、まだそのことに触れていませんでした。

なるほど、イギリス人の兵隊さんを思い浮かべると、赤い服を着ている。フランスの軍服にも赤が使われていると思ったのですが、そんなには目立ちませんね。


イギリス
バッキンガム宮殿の近衛兵による交代儀式
vsフランス
大統領官邸の親衛隊



ヨーロッパ大陸では、17世紀末頃から、歩兵の上着の色が国ごとに統一されるようになったのだそうです。

イギリスは赤色、フランスは青、プロイセンは紺青色(プルシアンブルー)、オーストリアは白、ロシアはオリーブグリーン、バイエルンは水色、という具合。

イギリス歩兵連隊兵士(1742年)
Piechur brytyjski z 1742 r. 22 regiment piechoty.jpg


イギリス兵のことを redcoat と呼ぶそうです。アメリカ独立戦争(1775~83年)に参加したイギリスの歩兵が、赤い上着を身に着けていたから、レッド・コート。

18世紀を舞台にした映画『バリー・リンドン』にあった印象的な画面に、イギリス軍の赤い制服が出てきていたのを思い出しました。


The Battle Never Mentioned (Seven Years' War) - Barry Lyndon

ストーリーは忘れてしまいましたが、使われている音楽が美しくて、どうにもやるせない思いになる映画だったような気がします。

こういう戦争のやり方を見ると、神風特攻隊と同じことを兵士にさせているではないか、と思ってしまう。でも、この時代の大将は、戦闘に加わっていたのですよね。日本でも、「我は〇〇なり~!」と名乗りを上げて戦闘を開始し、自らの命をかけて兵士と一緒に戦っていました。

今の時代では、大将は自分は戦場に行くことがないくせに、若者に戦場で戦えと言うのだから汚いと思う。自分に身の危険はないから、でっちあげの戦争も作り出してしまう...。



ところで、鮮やかな赤い色が印象的なのは、ローストビーフだけではありません。

ナポレオンの時代には、イギリス兵のことを「homard(オマール)」と呼んでいたそうです。「茹で海老」というわけですね。



今でも、イギリス人のことを「オマール」と呼ぶフランス人がいるかもしれません。イギリス人は日焼けするのを避けるので、日焼けすると真っ赤になってしまうからオマールと呼ぶのだ、と説明しているフランス人がいました。


イギリスとフランスが激しく戦うことになったナポレオン戦争(1803~15年)。

この戦争が勃発する直前の場面として、イギリスの風刺画家ジェイムズ・ギルレイが描いた絵でも、イギリス代表として左側に描かれたウィリアム・ピット首相は赤い軍服で、右側のナポレオンは青。


James Gillray, The Plumb-pudding in danger - or - State Epicures taking un Petit Souper (1805)

この風刺画について解説を書いたのは、こちらの記事:
★ ⑧ イギリスとフランスが犬猿の仲だった長い歴史

ナポレオン時代の戦争画を見ると、確かにイギリス軍は赤い服を着ているのが目立ちました。


戦場を巡り兵を鼓舞するウェリントン(Robert Alexander Hillingford画)



『スコットランドよ永遠なれ』第2竜騎兵連隊(Scots Greys)の突撃

朝やかな赤い軍服に比べると、ナポレオン軍の制服は地味だったかもしれない...。




同じくイギリス生まれのビーフステーキ(フランス語にして bifteck)をイギリス人の蔑称として使うフランス人もいるのですが、ローストビーフと呼ぶ人よりもずっと少ないと思います。いくらレアでも、焼肉の色になるビーフステーキより、スライスした赤い肉を出されるローストビーフの方がイギリス人に相応しい呼び名だと感じるのではないか、という気がします。

フランス人がイギリス人をローストビーフと呼ぶのは、料理としてのローストビーフをあだ名にした後、イギリスの軍隊も赤い制服を着ているのが印象付けられて、フランスではイギリス人をローストビーフと呼ぶのが定着したのではないかと思いました。


10回にわたって、ローストビーフの話しを書いてきたのですが、今回で終わりにします。

シリーズ記事: 嫌いな国の人を何に喩えるか 目次へ




ブログ内リンク:
フランス共和国親衛隊の一般公開を見学 2015/10/29
★ 目次: 戦争、革命、テロ、デモ
★ 目次: 色について書いた記事
★ 目次: 肉牛(シャロレー種など)、牛肉など牛に関する話題
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
Les insultes adressées aux Anglais
Les insultes adressées aux Anglais
nos insultes frogs et rosbeef le petite histoire
Pourquoi appelle-t-on les anglais les rosbifs ?
Etymologie de ROSBIF
Wikipedia: ローストビーフ » Rosbif
Wiktionnaire: rosbif
Tuniques rouges Red coat (military uniform)
はてなキーワード: レッドコートとは
Wikipedia: 軍服 (イギリス) | 軍服 (フランス)



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