FC2ブログ
| Login |
最新記事のRSS
目次: よく扱うテーマおよび連続記事目次のピックアップ

2018/11/08


カテゴリー: 未分類 | Comment (0) | Top
この記事のURL | Rédiger
2018/10/10
フランス国外退去命令が出た日本人ワイン農家」で書いた日本人夫妻が手に入れたブドウ畑は、フランス南部、スペインとの国境に近いオクシタニー地域圏(かつてのラングドック=ルシヨン地域圏とミディ=ピレネー地域圏が統合)にありました。

ワイン産地からは、ラングドック・ルシヨンに分類されるのでしょう。言っては悪いですが、安かろう、悪かろうというワインが多い地域だ、という認識が先に来てしまうワイン産地。

フランスワインが日本に入ると、現地価格の3倍になると見ていますが、日本で買っても安いワインがたくさんありますね。


ラングドック=ルシヨンのワインを楽天市場で検索


高くても売れるワイン

日本人夫妻が作ったPedres Blanquesは、当初はボトル1本12ユーロ(1,500円)で販売したのに、注文が殺到して1本26ユーロにまで価格は跳ね上がったそうです。

当初に付けた価格でも、ラングドックのワインにしては高めだったと思います。

ワインショップサイトの情報では、Collioure(コリウール)のAOC(原産地統合呼称)を持っているブドウ畑だと紹介していました。このアペラシオンだと高く売れるのかと調べてみました。

フランスでワインの評価ガイドとして定評があるのはGuide Hachetteなので、そのサイトでどんなワインを推奨しているかをチェック:
AOC Collioure  Appellation du Roussillon

高い評価を受けたAOP Collioureが、8~15ユーロの価格が付いたワインが並んでいます。26ユーロで売れたというのは、かなり例外的な高値なのでしょうね。

ミシュラン3つ星ホテルのEl Celler de Can Roca(アル・サリェー・ダ・カン・ロカ)がワインリストに入れたのも、ワインの価格を高騰させたのではないかな。

この3つ星レストランはスペインにあるのですが、昔は同じ国だった地域だったはず。この手のレストランは、こんなに素晴らしいワインもできる土地なのですよ、とお客さんを驚かせるためにワインを探すようなのです。

ブルゴーニュ南部にあるオーガニックワインを作っている農家があって、ピノ・ノワール種よりランクが下に扱われるガメ種で驚くほど美味しい赤ワインを作っています。1年前から予約を入れて買っていたのですが、ある時、ほど遠くない3つ星レストランのポール・ボキューズに選ばれたことから事情が変わってしまいました。

それまでも、このワイン農家で作っている他のワインより少し高めだったのですが、3つ星レストランで提供することになったら、価格は2倍か3倍になったのです。


グラナッシュというブドウの品種

日 本人夫妻は「グルナッシュ(Grenache)」という品種のブドウだけでワインを作っていました。

グラナッシュは赤ワイン用の品種。スペインのアラゴンを原産地としており、この品種の歴史はアラゴン連合王国(1137~1716年)の領土と密接な関係があるそうです。

グルナッシュ
Grenache
アラゴン王国 (濃) と アラゴン連合王国 (淡)

ブルゴーニュワインしか知らない私には、この品種には馴染みがありません。どんな味なのかと調べたら、南仏の高級赤ワインシャトーヌフ・デュ・パプで、グルナッシュ100%というのが出てきました。

☆ グルナッシュの赤ワインを楽天市場で検索


だいぶ前ですが、南仏を旅行した時に立ち寄ったシャトーヌッフ・デュ・パップ町でワイン祭りをしていたため、色々な生産者のワインを試飲したので、少し親しみがある銘柄です。でも、この町の名前を付けたAOPワインで使われるブドウの品種は幾つもあって、グルナッシュの味とは言えないのでした。

ですので、グラナッシュだから高級ワインができる、というのではなさそう。


Vin de Franceって、なに?

日本人夫妻が作ったワインのボトルの写真は見つかったのですが、デザインは非常にシンプル。


拡大したラベルは、こちらをごらんください

このラベルには、CollioureのAOPを持っていることは書かれていません。生産者の名前と住所として村の名前があるので、それを見たら南フランスで生産されたと分かる人たちもいるのでしょうが。このワインについての説明などを書いた裏ラベルがあるのかもしれませんが、これは見つかりませんでした。

AOPは、産地が限定されているだけではなくて、ブドウ栽培やワイン醸造法にも規制があるので、かなり信頼できる品質保証です。それを持っているを明記しておいた方が宣伝になると思うのですけれど...。

ラベルの一番下に「Vin de France」と書いてあります。

これはフランスのワインの中では最も低い品質保証なので、かなりイメージが悪くなります。ブドウの品種もオーガニックだとも書かれていませんので、ボトルを正面から見ただけでは、優れたワインであるとは想像できない。

そんなワインなのに、素晴らしい味だということで評判を呼んだのでしょうね。


フランスワインのランク付け

フランスで用いられていたワインの品質保証は、少しややっこしい。2009年から欧州連合(EU)内で生産されるワインの基準で統一されるようになったのですが、まだ以前のカテゴリーの名称も使われているからです。

どう変わったかをおさらいしてみました。




カテゴリー 説明
AOC
Appellation d'origine controlée
原産地呼称統制
* 産地ごとに厳しい条件が課されている。
AOP
Appellation d'origine protegée
EU統一呼称:
保護原産地呼称
* 産地ごとに厳しい条件が課されている。
VDQS (AOVDQS)
(Appellation d'origine) vin delimité
de qualité supérieure
* 2011年末に消滅し、大半がAOPに昇格した。
* 上質指定ワイン。AOCに比べ、ぶどうの収穫量やワインのアルコール度数などの規制が少し緩かった。
Vin de pays
(VDP)
ヴァン・ド・ペイ
* 地酒ワインの意味。生産地域とぶどう品種を名乗ることができる。
IGP
Indication geographique protegee
EU統一呼称:
地理的表示保護
* 生産地域とぶどう品種を名乗ることができる。
Vin de table
(VDT)
ヴァン・ド・ターブル
* テーブル・ワインの意味。産地を名乗ることはできない。
Vin de France
(VDF)
EU統一呼称:
ヴァン・ド・フランス
* フランスで産出されたワインであることを示すが、正確な生産地域を示す地理的表示ではない。AOPないしIGPで定められている地域で生産されないワインは、VDFを名乗ることができる。
* ぶどう品種についても規制がないが、ヴィンテージとぶどう品種をラベルに記載することはできる。


Vin de Franceとは?

最下位の「vin de France(VDF)」は、フランスで生産されたと分かるだけ。原産地と製造法の規制に沿っているワインならAOP、原産地だけが認められているならIGP。優れた生産地だと認められない地域のワインは、Vin de Franceになってしまうわけです。

実際、「ヴァン・ド・フランス」のワインには、酷く不味いのから、優れたワインまで、色々あるようです。フランスのワイン情報では、VDFのワインについて次の2つをアドバイスしていました。
  1. 興味深々の味覚を持った人: 信頼がおけるワイン・ショップに行ったとき、VDFに注目してみる。面白いサプライズがあるはずだから。
  2. デリケートな味覚を持った人: スーパーに行ったとき、一番下の段にあるVDFのワインは買わないこと。良いサプライズは期待できないから。

私が日常飲むワインはブルゴーニュワインで、その中でAOPを持っていないワインにぶつかる方が珍しいくらいです。ですので、VDFのワインを飲んだ記憶がありません。あるとしたら、参加費が安い食事会で、南仏やアルザスのワインが出てきた時くらいかな?...

日本人夫妻のブドウ畑がAOP Collioureを持っていたのだとしたら、なぜAOPと付けなかったのか不思議です。ブドウ栽培や醸造法の規制を受けたくなかったらAOPにしないかもしれない。でも、IGPは取れたと思うのですけど、その下の分類になっている...。

まだ10年もたっていない名称なせいか、ヴァン・ド・フランスに関して何なのかを説明している日本のサイトは例外的なほど少なかったです。

「Vin de France」を英語に置き換えれば「wine of France」で、フランスのワイン。Wikipediaに入っている「フランスワイン」では、英語でFrench wine、フランス語でVin de Franceとされていました。

それでは誤解を招いてしまうではないですか? 私がこのページを開いたのも、Vin de Franceを日本語でどう説明しているか検索したからでした。

ワインの等級に、「Vin de France」などという紛らわしい名前を付けたのがいけないのですよね。Wikipediaにある「AOCワインの一覧」にリンクしているフランス語ページのタイトルは「Vin français bénéficiant d'une AOC」となっていました。

フランス語サイトのページで、「フランスワイン」に相当する単語は何を使っているか検索してみたら、圧倒的に多いのは「vin(s) français」でしたが、ワイン情報サイトで「Vins de France」としている例もありました。






ブログ内リンク:
★ 目次: フランスのワイン産地、アペラシオン、セパージュ
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
★ 目次: フランスの農業と農家(農業者、非農業者)

外部リンク:
Que signifie la dénomination « vins de France » ?ワインの分類 - フランスワインの格付け(等級)
Grenache (Noir) - ぶどう品種
☆ Wikipedia: Collioure (AOC) 
☆ Buveur de vin: Rié et Hirofumi Shoji – Pedres Blanques


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村
にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)