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2015/03/26
食用にされる伝統的なエスカルゴは「Escargot de Bourgogne(ブルゴーニュのエスカルゴ)」と呼ばれる品種で、学名はHelix pomatiaです。

日本ではエスカルゴ料理はフランス料理とされていると思いますが、正確に言ったら、特にパセリを入れたバターとともにエスカルゴを詰めた料理は、ブルゴーニュの郷土料理です。

このブログの名前にも使っているくらいですから、私はエスカルゴにはこだわりがあって、エスカルゴについて書いた記事の目次には現在20の記事を入れています。

品種について書いたのは、次の記事:
本物のエスカルゴとは? 2014/07/11

下は、ブルゴーニュ地方の家の庭にいたカタツムリを撮影して記事を書いたときに使った写真です。


雨あがりに姿を現したエスカルゴ 2006/07/28

①が「ブルゴーニュのエスカルゴ」と呼ばれる品種。

②は、フランスで養殖もされているプチ・グリ種で、レストランで食べるときにはこれである可能性が高いです。

③は、絶対に(!)食べないカタツムリ。

見た目からしてブルゴーニュのエスカルゴ種はおいしそうでしょう? ブルゴーニュ地方ではカタツムリを地方の顔にもしていて、お土産用のグッズなどでもよくあります。

それで、ブルゴーニュではエスカルゴのチョコレートまでできています。

日本の知人と話していたとき、エスカルゴの形に作られたチョコレートに興味を持たれたので、日本でも買えるのかを調べてみました。

楽天市場でエスカルゴのチョコレートを検索
アマゾンでエスカルゴのチョコレートを検索


「マルキーズ・ドゥ・セヴィニエ」というメーカーとは?

日本で簡単に手に入るエスカルゴの形をしたチョコレートは、これでした ↓

でも、私にとってはエスカルゴ=ブルゴーニュなので、パリのシンボルであるエッフェル塔の絵などをパッケージに描いているのは気に入らない。

エスカルゴの形をしたチョコレートとしては有名なメーカーがあって、もちろんブルゴーニュの会社なのです。これはフランス土産として売っていますね。ということは、あのメーカーが海外旅行者向けにパッケージを変えて売っているのだろうか?...

でも、このチョコレートのメーカーの名前は「マルキーズ・ドゥ・セヴィニエ」。書簡作家として知られるセヴィニエ侯爵夫人(Marie de Rabutin-Chantal, Marquise de Sévigné: 1626~96年)はブルゴーニュ出身の人なので、それにちなんで命名したメーカーなのかな?...

こういう名前のメーカーが本当にあるのかを調べてみました。
「マルキーズ・ドゥ・セヴィニエ」をアマゾンで検索

チョコレート・メーカーのようでした。

フランス語で探してみる。パリにブティックを持つチョコレート屋さんで、サイトもあります:
☆ メーカーのサイト: Marquise de Sévigné

フランス中部のオーヴェルニュ地方で19世紀末に創業したのですが、全国に店を展開したらしい。なので、ブルゴーニュとは関係ないですね。そのせいか、普通は「ブルゴーニュのエスカルゴ」と呼ばれる品種のエスカルゴの名前を使わずに、「フランスのエスカルゴ」という名前で売っていました。


ランヴァンのチョコレートはどうなった?

エスカルゴのチョコレート・メーカーとして有名なのは、Lanvin(ランヴァン)という会社です。これが日本では市販されていないようなのは不思議...。

ランヴァンは買収されてブルゴーニュのメーカーではなくなったとは聞いていましたが、ブランド名も変わってしまったのだろうか?...

この会社がブルゴーニュの行政中心地ディジョン市にあるチョコレート工房を手にいれたのは1921年、2代目のEtienne Lanvinが1935年に売り出したエスカルゴ型がヒットしたそうです。

当時としては、エスカルゴの形をしたチョコレートを作るなどとは斬新的だったし、さっぱり目の味も好かれたようです。

1968年、ランヴァン社はサルバドール・ダリ(Salvador Dalí: 1904~89年)をコマーシャルに起用しました。トレードマークの髭が持ち上がって、「Je suis fou du chocolat Lanvin !(私はランヴァンのチョコレートに夢中)」という彼のセリフは受けたようです。


Je suis fou du chocolat Lanvin !

お金儲けに熱心だったダリは色々なコマーシャルに出演したそうですが、このランヴァンのコマーシャルが最も成功したようです。

しかしランヴァン社は原価の高騰によって経営が困難になり、イギリスの企業グループに入り、さらにスイスのネスレの傘下に入り... という歴史をたどっていました。現在のところは、ランヴァンのチョコレートのトレードマークはネスレ社が持っていて、ネスレのサイトにランヴァンの紹介がありました。

http://www.nestle.fr/nosmarques/chocolatconfiseries/lanvin

しばらく買っていませんでしたが、こういうパッケージでしたね。エスカルゴの渦巻き模様がランヴァンのトレードマーク。

ところが、このランヴァンのエスカルゴをインターネットで検索してみると、スーパーのサイトなど、品切れの表示ばかりが出てきました。一時的なものなのかも知れないのでけれど、フランス・アマゾンのページへでも売り切れとなっています。

とはいえ、販売しているところも見つかりました。価格を確かめたかったのですが、1個105円くらい。クリスマスシーズンにはプレゼント用の大きなパッケージがスーパーで山積みされていた記憶があるので、そんなに高かったかな?... という気はしました。

http://www.epicerie-francaise.de/LEscargot-en-chocolat-noir
L’Escargot en chocolat noir - Lanvin - Épicerie française

でも、検索していたら、ランヴァンのエスカルゴが昔とは違った味になってしまった、と嘆く人たちの声が目立ったのでした。クリスマスにランヴァンのチョコレートをもらうのが楽しみだったのに、歯ざわりも違うし、安物のチョコレートの味になってしまった、と報告している人もいました。

ネスレに問い合わせをした人もあって、ネスレ側ではもっと自然な材料を使うようにしたからと回答してきたのだそう。改良したというのはメーカーの言い訳かもしれません。ともかく、作り方が変わったのは確かなようです。

調べて書いているうちに、懐かしいランヴァンのチョコレートを買って食べようかと思ったのですが、やめることにしました。


エスカルゴの形からチョコレートを見る

やはり、エスカルゴはブルゴーニュ。それにこだわって、ブルゴーニュでエスカルゴ型のチョコレートを作っているメーカーの紹介が地元新聞のサイトで紹介されていました。

ランヴァン社を一部引き継いだ会社らしく、Chocolaterie de Bourgogneという名前のメーカー。エスカルゴ型のチョコレートは、色々なパッケージで売られていました

こんな風な形だそうです。
http://www.chocolateriedebourgogne.fr/la-chocolaterie/les-produits/la-confiserie

貝殻の模様がつまらないですね...。

ランヴァンのエスカルゴ・チョコレートは、もっとエレガントに見えたような気がする。画像を探してみました。

http://tartines.fr/lanvin-escargot/
Chocolat Lanvin, l’Escargot | Tartines

大量生産されているチョコレートですけれど、悪くない見た目ですね。

ランヴァンがエスカルゴ形のチョコレートを売り出したときは、斬新さもあって受けたようですが、今ではそう珍しくはないと思います。エスカルゴ形にする道具も売っていました(こちらなど)。

エスカルゴ形のチョコレートといったらランヴァンと思ったのですが、調べてみたら、エスカルゴ形のチョコレートを作っているところは幾つもありました。

例えば、ブルゴーニュ地方オーセール市にあるチョコレート屋さんで、Olivier VIDALという人のお店。この1月に東京で開催された「サロン・デュ・ショコラ2015」にも出展したそうで、評判も良かったようです。



う~ん、見た目からして美味しそう...。手作りのチョコレートは高いけれど、やはり工場生産のものとは全く違う味がするのですよね。こういうチョコレートを食べてみたい...。



ブログ内リンク:
★ 目次: エスカルゴについて書いた記事
★ 目次: フランスで食べる郷土料理、地方特産食品、外国料理

外部リンク:
Idée cadeau gourmet de Luxe 3 : le chocolat Lanvin
Chocolat Lanvin, l’Escargot
Mes petits escargots Lanvin
☆ Wikipédia: Lanvin (chocolat)
Salvador Dali, roi de la provoc et avide de dollars
Chocolaterie de Bourgogne(オフィシャルサイト)
Dijon : au coeur de la Chocolaterie de Bourgogne
Olivier Vidal ショコラ・アソート
☆ Wikipédia: Cuisine bourguignonne


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2015/03/24
少し前から、理解に苦しむ日本の流行があります。やたらに大きなぬいぐるみです。子どもを喜ばせるためにしているのなら自然ですが、大人ももてはやしているようなのが不思議...。

もう慣れてきたけれど、始めの頃は日本が狂ってしまったのかと心配しました。

私は自分が常識外れだと自覚しているので、覚えた単語はメモ。


ゆるキャラ

地方自治体がマスコットを作っていて、それを「ゆるキャラ」と呼ぶ。「ゆるいマスコットキャラクター」を略したものでなのだそう。「ゆるい」というのは、ほのぼのとしているという意味のようでした。

https://www.nikkei4946.com/zenzukai/detail.aspx?zenzukai=124
「ゆるキャラ」ブームの現状を知る:nikkei4946(全図解ニュース解説)

子ども受けするためにマスコットを作ったのかと思ったのですが、大人たちにも好かれている様子。

昔からサッカーチームなどにはマスコットがあることは知っていましたけど...。

私が初めて出会ったのは「くまモン」でした。東京のイベントに来ていて、何なのかと一緒に行った友達に聞いたら、「あなた、知らないの?!」と言われてしまいました。そのイベントのことを覚えているので、あれは2012年のことでしたね。


こういうところにも、ぬいぐるみを飾ってあるのって...

ご当地キャラ」という言葉もありました。経済効果が大きいのですって。私は何も貢献してあげたことはないのですが...。

でも、政治家としては、そういうのが流行っていて、地域振興のためには大歓迎なのでしょう。でも、自治体のお役人さんの部屋に縫いぐるみが置いてあるのって、初めて見たときにはびっくりしました。

たとえば、こんな感じ。市長室だそうです。

AMATIASアマチアス“行って見役所”上尾市役所編

こういう場面って、日本以外の国でも見かけることがあるのでしょうか?

フランスではありえないのではないかな?...

ブルゴーニュ地方で県知事さんの部屋を見学したときのことをブログに書いていたので、そこに入れた写真を眺めて、ぬいぐるみを置いたらどうなるかを想像してみました。


ヨンヌ県知事のオフィスを見学  2010/09/24

オレンジ色がアクセントになっている部屋なので、こんなのが良いのではないかと思って選びました。しかも、去年の「ゆるキャラグランプリ」でグランプリを獲得した「ぐんまちゃん」だそうなので。

オレンジ色の他に、県知事さんのデスクのところに置いてある三色旗の色も入ったマスコットなので、ぴったり?

でも、この県知事さんのオフィスは宗教建築物だった建物で、ロマネスク様式の回廊画窓にあります。その前に置いたら違和感があるかな? では、反対側に移動していただきます。



フランスの友達がこの写真を見たら、何を遊んでいるの?! と言われてしまいそう。書いてあることは読めないから、私のブログの写真だけ眺める友達がいるのです。

フランス語のページで検索しみたら「Yuru Kyara」という単語でたくさん出てきました。フランス人に聞かれたら、そういう記事のリンクを教えて読むように言えば良いわけで、私が何であるかを調べて説明する必要はないですね。


思えば、フランスにもマスコットのようなものがある町がありました。例えば、ブルゴーニュ地方の行政中心地のディジョン市。この街では旧市街にあるフクロウの彫刻がシンボルに使われていて、お土産屋でもフクロウの小物を売っています。

そのことについては記事にしていました:
ディジョン名物はフクロウだと思っていたら、ミミズクだった? 2014/08/18

ディジョンの市長室にフクロウが飾ってあるということはありえるだろうか?... 「ディジョン」と「市長」のフランス語をキーワードにして検索してみたら、出てきたのでした!

http://www.bienpublic.com/grand-dijon/2013/09/11/tous-derriere-le-dijon-fco
Dijon | Tous derrière le Dijon FCO ! - Le Bien Public

Logo du Dijon FCOフクロウのぬいぐるみのような人形と、前市長の姿が写っています。

あれ、あれ...、フランスでも?! 

... と思ったのですが、違った。ディジョンのサッカーチーム「Dijon FCO」のマスコットがフクロウで、その人形なのでした。
 
でも、私には分からないのです...。なぜ、ゆるキャラとか、ご当地キャラというのは経済効果が大きいのか?...

ディジョン市にもマスコットとも言えるフクロウがいますが、それで地域経済が発展したなんて聞いたことがありません。儲かるとか言う人がいるとしたら、フクロウ・グッズを作っている会社かもしれないけど、騒ぐほどには利益をあげてはいないと思うのです...。

上に入れたサッカーチームのメンバーと一緒に写っているフランソワ・レブサメン前ディジョン市長は、労働・雇用・職業教育・労使対話大臣として内閣に入ってから市長の座を降りたのですが、古都ディジョンを見違えるように活気づけました。フクロウとは全く関係ありません。日本だと、住みやすい街にする政治より、地域にお金が入るようにする政治家の方が評価されるのかな?...


「マスコット」の語源はプロヴァンス語だった

マスコットのことを調べていたら、この言葉はフランス語から来ているのだと聞いて驚きました。英語ではmascotで、フランス語でmascotte(女性名詞)と綴る。

フランス語のWikipediaの記述が正しいとすれば、プロヴァンスの言葉で、魔女(sortilège)を意味する「mascoto」が語源なのだそう。

プロヴァンス語の綴りは「mascotto」となっているのもありました。masco(魔法使い)の女性形だそうです。遡ると、イタリア語(方言)のmasca、さらにさかのぼると中世ラテン語のmasca。それより前の語源は分からない。

マスコットは、ただ可愛いというのではなくて、ご利益があるとか、幸運をもたらすお守りとかいうニュアンスがあるわけですね。

プロヴァンスの作家フレデリック・ミストラル(Frédéric Mistral)がこの言葉を紹介したと聞くと、なるほどと思いますね。ただし、マスコットという言葉が広まったのは、Edmond Audran(1842~1901年)のオペレレッタ『La Mascotte (1880年)』だった、という記述もありました

この作曲家も、そのオペレッタも知らないので、探してみました。


Duetto des dindons - Lys Operette (La Mascotte - Edmond Audran)

聞いてみても、あぁ、あれか、とは思い当りませんでした。でも、ここに入れたデュエットは、フランス人には知られているメロディーなのだとか...。

コメントをいただいて、また「ゆるキャラ」について考えてしまいました。
続きへ: 「ゆるキャラ」の人気はどこから来るの?

外部リンク:
「ゆるキャラ」ブームの現状を知る(全図解ニュース解説)
☆ Wikipedia: ゆるキャラ
☆ Wikipedia: 官公庁のマスコットキャラクター一覧
Au pays enchanté de l’ordre public nippon
☆ nippon.com: Le sommet des mascottes « yuru kyara »
Culture Nipponne # 21 Planète mascottes
☆ CNRTL: Etymologie de MASCOTTE
☆ Wikipédia: Edmond Audran  » La Mascotte
ゆるキャラは、地方創生に役立っているのか - 「地域活性化」という曖昧な言葉に騙されるな

内部リンク:
フランスがBentoブームって本当?  2011/11/19
★ 目次: クラシック音楽
★ 目次: ブルゴーニュの古都ディジョンの観光スポットや特産品など
★ 目次: 縁起物や迷信について書いた記事 (フランスを中心に)


シリーズ記事: 最近の日本 ~ 「日本礼賛」から「ゆるキャラ」のブーム


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カテゴリー: 日仏の比較 | Comment (2) | Top
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2015/03/09
少し前、フランスのテレビニュースで、中国がコーヒーの生産に乗り出したと報道していました。

中国の緯度でコーヒーの木を育てられるのかな?... そう思って見始めたのですが、特殊なコーヒーを作り始めたことを見せる紹介なのでした。


超高級なコーヒー、Kopi Luwakコピ・ルアク

コーヒーの実を食べるのが好きらしい動物がいる。ところが消化できないので、豆のままで排泄する。糞を洗うと、超高級なコーヒー豆のできあがり、というわけなのでした。

Kopi Luwakコピ・ルアク)と呼ぶコーヒーなのだそうです。

コーヒーを消化できないくせに食べたがるという奇妙な習性がある動物は、フランス語で「civette」と呼ばれていたのですが、ジャコウネコのことでした。

つまり、こんな感じ?...


そんな変なコーヒー豆があるなんて、私は全く知りませんでした!


Wikipediaを見たら、写真が入っていました。ギョギョギョ~ッ!

luwak
Kopi Luwak already digested by Asian Palm Civet
Excréments de civette avant
récolte à Java oriental
Kopi luwak
Graines de kopi luwak après récolte

独特の香りを持つために珍重されているのに産出量が少ないので、とても高価とのこと。煎り過ぎて香りが飛ばないように、浅煎りで飲むのが良いのだそうです。

独特の香りって、ほのかに糞の香りがするということ?!...

一説によると、ジャコウネコ腸内の消化酵素の働きや腸内細菌による発酵によって、コーヒーに独特の香味が加わる、とも書いてありました。


どうやって作られるコーヒーなの?

「Kopi Luwak(コピ・ルアク)」はインドネシア語。「コピ」はコーヒーのこと、「ルアク」はマレージャコウネコの現地での呼び名なのだそう。

つまり、インドネシアの特産品ということらしい。それに中国も目をつけた、というニュースのようでした。

インドネシアのコーヒー農園では、ロブスタ種のコーヒーノキが栽培されており、その熟した果実は、しばしば野生のマレージャコウネコに餌として狙われている。ところが、果肉は栄養源となるけれど、種子であるコーヒー豆は消化されずにそのまま排泄される。

それで、現地の農民はその糞を探して、中からコーヒー豆を取り出して洗浄し、よく乾燥させた後、高温で焙煎する、ということでした。

動画があったので、眺めてみました。


Authentic Wild Kopi Luwak (Civet Coffee) Process - JPW Coffee

手間がかかっているようなので、高価というのもうなずけなくもない...。


コピ・ルアクの日本での販売価格は?

日本での呼び名は, コピー・ルアークコピ・ルアックルアック・コーヒーなどと、色々あるのだそうです。

かなり広く売られているようですね:
コピ・ルアクを楽天市場で検索(値段が高い順)

確かに、間違いではないかと思うくらい高い!

何万円もするのは問題外として、5,000円を切っているのはこちらでした。


50g入った箱なのですって。それで5,000円くらいということは、1グラム100円か...。

コーヒーを1人分つくるには、ドリップ式なら10g、サイフォンなら12gが目安、と書いてありました。これは、カップに120cc入れる日本スタイルの標準。

とすると、コーヒー1杯分が1,000円?

いや、待て、待て。たまたま選んだ商品では値段の判断ができない。

コピ・ルアクが専門らしいネットショップのお値段を見てみます:
野生のLuwakがもたらす森からの贈り物 - 世界で最も希少で高価なコーヒー

コーヒー1杯分が500円、と書いてあります。

1杯飲むだけなら、まあ、出せない金額ではありません。でも、美味しくなかったら怒りますよ。それに、私は午前中などはコーヒーを何杯も飲むので、もしも気に入ってしまったら破産してしまう...。

でも、やっぱり、お尻から出てきた豆で作った飲み物というのには抵抗があるな...。試してみたい気にはなりませんでした。

普通の食べ物なら、私はゲテモノでも気にしないで食べる方なのですけど。カタツムリとか、カエルとか、蜂の子などはおいしいと思う。


野生のジャコウネコでないといけない?

このコーヒーが美味しいというのは、説明を読むと納得できる気もします。


野生のLuwakがもたらす森からの贈り物

野生のジャコウネコは、完熟して美味しいコーヒー豆を選んで口に入れ、その皮の部分を食べて、人間が使う豆の部分は排泄するようです。お腹の中では発酵もするらしい、

動物が食べ物を選ぶ、というのはあり得る気がしますね。庭にある果樹だって、ちょうど食べごろというときに小鳥が来て食べてしまうのを経験していますので。

でも、人間に飼われていて、コーヒー豆を与えられるジャコウネコだったら、何でも口に入れてしまうのではないでしょうか?

フランスのテレビニュースで見せていた中国の新ビジネスでは、飼っているジャコウネコにコーヒー豆を食べさせて、糞を採取するという方法でした。

ケージに入れて飼育している動物なんて不健康そうですから、お腹の中での発酵だってうまくできないのではないかと疑います。ただ、高級コーヒーなんだということに喜んで飲むだけ? あるいは、ある程度は普通のコーヒーとは違うと楽しんで飲めるものなのか?...

少し調べてみたら、野生のジャコウネコが自然に作ったものなのかどうかは、余りはっきり分からないような感じがしました。

でも、野生のホンモノである証明書付きというのもありました。

こちらだと、コーヒー1杯700円くらいですか...。

小屋で育てている様子を見せる動画もあったので入れておきます。でも、食欲を減退させるので、見ない方が良いと思います。


Kopi Luwak: Das Leiden der Schleichkatzen für die Kaffeeproduktion / PETA

ジャコウネコを飼育するのを反対している動物愛護団体があるそうなので、虐待を訴えるビデオではないでしょうか?

こういう動画というのも眉唾ものなのですけどね。フォアグラ飼育が動物虐待だとして動画があったのを見たことがあります。フォアグラを飼育しているフランスの農家を見学したことが何回かありますが、そんな虐待はしていなかったです。

大量生産で安いのを作っていない限りは、動画にあったような飼育を農家がするはずはないと思いました。だって、途中でどんどん死んでしまったら、農家は採算がとれないので、そんなに酷い虐待をしながら育てるはずがないのです。

でもね... 食べ物というのは、どうやって作られるのかは見ない方が美味しく食べられるものもあるな...。日本でブロイラーの工場を見学したのは、はるか昔ですが、いまだに思い出すとゾ~っとします。


もっと高価なコーヒーもあった

コピ・ルアクのお値段に驚いていたら、もっと高いコーヒー豆が出てきました。

同じようにジャコウネコの糞から作るコーヒーなのですが、フィリピンや南インドでも採取される豆。「アラミド・コーヒー(Alamid coffee)」、現地語で「カペ・アラミド(Kape Alamid)」」とも呼ばれるのだそう。

検索してみたら、日本でも買えるようです。

カペ・アラミド 通称アラミドコーヒー 100g 世界一高いコーヒー豆 天然のコピ・ルアク

100グラムで14,800円となっていました。つまり、コーヒー1杯の原価が1,800円近くなるわけですか...。喫茶店で飲んだら、幾ら取られるのだろう?

もう、どうでも良いや、という気分になりました。あぶく銭が入る人だったら、コーヒー1杯に10万円払ったって、どうということがないのでしょうから、高すぎるのかどうかなんて考える気もしません。



ブログ内リンク:
★ 目次: 珍しい植物の食材 (野菜、穀物、ハーブ、山菜など)
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記

外部リンク:
ワインのように熟成させたい高級コーヒー
世界一高級なコーヒー「コピ・ルアク」の本物&野生は、どこで飲めるのか?
☆ Wikipedia: コピ・ルアク



2015/03/08
ちょっと怖いな... 最近の日本礼賛ブーム 」を書いたのですが、少し前に、フランスでも「フランス礼賛ブーム」みたいなのがあったことを思い出しました。


「メイド・イン・フランス」キャンペーン

Arnaud Montebourg, en janvier 2013.
Arnaud Montebourg, en janvier 2013
2012年、社会党のフランソワ・オランド(François Hollande)氏が大統領になったとき、Ministre du Redressement productif(生産再建大臣)という変な名前のポジションができました。

生産再建大臣になったのはアルノー・モントブール(Arnaud Montebourg)氏。

危機的状況にあるフランス経済を建て直すために、彼はフランス製品を買いましょうというキャンペーンを行ったのでした。

使ったのは「Made in France」という英語。

フランス製品は優れているのだから、少し値段が高くても買いましょう、というわけなのでした。

工場の閉鎖がニュースを賑わせている昨今。国民がフランス製のものを買うようになれば、フランス企業が存続できる。それはそうかも知れないけれど、なんとなくユーロラスでした。

テレビでも、ひんぱんに、「ボクはフランス製を着ていますよ」と見せるモントブール大臣が登場ていました。


Arnaud Montebourg pose comme un mannequin pour défendre les produits français

この動画の始めに出てきているのは、モントブール大臣がフランス製品を着ている姿が写ったパリジャン誌の表紙。この白地に青のストライブ模様のシャツはブルターニュ地方のメーカーのもので、見るとメイド・イン・フランスと分かるらしいのでした。

私が夏にブルターニュ地方を旅行したときには寒かったので、こういう模様のセーターを買ったので持っていました。それを着ていたら、友人たちから「メイド・イン・フランスを着ている~♪」と茶化されました。

確かに、そのセーターは暖かくて質が良いと思っていました。でも、フランス製だから優れている、とは私は思わないけどな... と、思っていました。電気製品とか、すぐに壊れてしまうメイド・イン・フランスも色々ありますから! 壊れるのは仕方ないとしても、サービスが悪いフランスでは、それを直してもらうのに苦労するのです。

第一、フランスの人口は日本の半分しかないのです。フランス製品は優れていると思ったにしても、高いから買えないという人たちを差し引いたら、どのくらい残る?...


あのブームは、いつだったか?...

「メイド・イン・フランス」でかなり盛り上がっていたので、ブログに書きたいと思ったはずですが、ちゃんと書いていなかったようです。

「Made in France」という流行語については、次の日記でちらりと触れただったようです:
「仔羊の腿肉の七時間煮込み」という料理  2013/05/06

偶然にもモントブールさんの出身校を見学したことは、次の日記で書いていました:
公立高校の敷地内にある城を見学  2013/08/28

つまり、2013年のブームだったかな?...

フランスにも、流行語大賞のようなものがあります。「Mots de l'année(今年の単語)」というもの。日本とは少し違って、政治で騒がれた単語が選ばれています。でも、「Made in France」は流行語としては挙がっていませんでした。英語だから審査対象にならなかったのかもしれませんけど。

モントブール氏が生産再建大臣を務めたのは、2012年5月から2年弱。その後には、経済・生産再建大臣(Ministre de l'Économie, du Redressement productif et du Numérique)になって地位を上げたのですが、半年もたたないうちに大臣の座を降ろさせてしまいました。政権に批判的なことを発言したことや、その後に首相になったマニュエル・ヴァルス氏から嫌われたりしたのが原因らしい。

「Made in France」キャンペーンがあったのは、2012年から2年余りの時期だったはず。でも、いつだったか調べてみたら、動画がでてきました。この時期、フランス政府は、フランスの工業がいかに素晴らしいかを見せるビデオまで作っていたようです。

↓ このスポットらしいです。



こんなのをフランス政府は作っちゃっていたの?! と驚きます。

余りにもオーバーなビデオなので国民はバカにした、と書いてある新聞記事もありました。

そりゃ~、笑っちゃいますよ~。

ドラマチックな音楽を流して、のっけからルイ14世の時代に重商主義政策を遂行した財務総監のコルベールを出してきているのですもの。

その後に、次々とフランスが発明したものが並ぶ。う~ん、今のフランスは全然ダメだな~、という印象しか持てないではないですか?...

その後、モントブールさんは、『メイド・イン・フランスの戦い』という題名の本まで出していました。張り切っていたのですね...。失脚してしまって、お気の毒...。


日本礼賛ブームとは全く違っていた

「Made in France」と、英語でやったのが愉快で受けたのかもしれません。

「マッド・アン・フランス」などと、変にフランス風に発音してみたりして面白がっている友人たちもいました。

フランス語で「Fabriqué en France」と言えるのですけれど、フランス語は間延びして英語にはかなわない単語が色々あります。例えば「Stop(ストップ)!」などは、英語で言うしかないような単語ですよね?

前回の日記に書いた最近の日本礼賛ブームというのと、メイド・イン・フランス・ブームは全く違っていました。

決定的に違うのは、日本では外国人に日本は素晴らしい! と言わせているのに対して、フランスのはフランス人がフランス製品は素晴らしいと自覚するブームだったことでしょうね。

もっとも、みんなでフランス製を買えばフランスの経済は立ち直るかもしれないけれど、フランスの経済はもうダメだよ、と苦笑しているフランスの友人は多かったですが。

「メイド・イン・フランス」が流行っていたころ、インターネットには愉快な動画が流れていました。

自分が使っている物が何処の製品なのか調べてみたら、世界各国で作られたものばかり。それで、メイド・イン・フランスのものだけにしようとやってみた、というジャーナリストの愉快なお話しです。

外国製の衣服を脱ぎ捨てて、フランス製の洋服を買って着る。住んでいるマンションでもフランス製でないものは片付けてしまったので、部屋の中はほとんど空っぽになった。それで、フランス製を求めてあちこちを探し回ります。最もフランス製が見つからなくて苦労したのは冷蔵庫だった、というのを覚えています。

この愉快なビデオを見たいと探してみたら、最近入れ直したらしき動画が見つかりました。フランス語がお分かりになる方がご覧になったら大笑いしてしまうと思うのでリンクを入れておきます。

☆ made in france
partie 1  ⇒ partie 2 ⇒ partie 3 ⇒ partie 4

この動画を入れた人はクイズにしているので、画面に文字を入れているようでした。

そんなにメイド・イン・フランスをフランスで見つけるのは難しいでしょうかね...。ここでは、いくらフランスのブランドでも、50%以上がフランスで生産されていないと認めないということにしていました。専門家に彼のマンションにあるものを判定してもらったら、フランス製として残ったのは、わずか4.5%。

ビデオにはモントブール氏も登場していて、フランス企業がフランス国内で生産を行い、消費者もフランス製品を購入すれば良いのだ、なんて言っています。

ともかく、どのくらい効果があるかは分からないけれど、フランス製品は素晴らしいのだと自覚しようという程度のキャンペーンは可愛かったと思います。

この1月にあったシャルリー・エブドのテロ事件の後、言論の自由を守ろうというデモに参加した人が370万人もいたというニュースを聞いて、少し背筋がぞっくっとしました。もちろん言論の自由は守られるべきことですが、一致団結するのが難しいフランス人が心を一つにしてしまったのが危険な兆候だと感じたのです。真っ先に思ったのは、このテロ事件のすぐ後に大統領選挙があったら、極右政党の候補者が当選してしまっただろうな、ということでした。

実際、今月末に行われる県議会議員選挙前の世論調査では、トップは極右政党の国民戦線(FN)になるだろうというニュースが出てきていました。不景気になると、そうなるわけで、日本も御多分に漏れないのだけれど、暗いな...。長生きはしたくないと思ってしまう...。


元経済相モントブールは、アメリカで「スーパーマン」と呼ばれていた

モントブール氏が経済相を解任されたのは2014年8月。それから、ぴたっと「メイド・イン・フランス」という言葉は聞かなくなりました。

どうしているのかなと思っていたのですが、この2月、ちょっと変わったニュースで彼は登場していました。

20日、モントブール氏がニューヨークの有名レストラン(こちら)で食事していたとき、壁にかかっていた大きな鏡が外れてきたのでした。それに気がついた彼は、とっさに鏡を支えた。鏡の重さ500キロはあると言われる巨大な鏡でしたが、他の人が気がついて助けるまで、彼一人で支えてしまったようです。

http://www.nydailynews.com/new-york/mirror-crashes-customers-trendy-bathlazer-cafe-article-1.2122829
Huge mirror at Balthazar Cafe comes crashing down - NY Daily News

巨大な鏡が揺れだしたので、地震かと思った従業員もいたらしい。

起こるのではないかと思うことは、ある日、突然おこるものですね。レストランの壁に絵や鏡がかかっているというのは見かけますが、鏡が落ちてきて、テーブルにおいていたワインボトルが倒れて割れてしまったという話しを友達がしたことがあるのを思い出しました。ワインが飲めなくなってしまったので注文し直したら、飲めなかったワイン1本の代金もしっかり払わされたと言うので、日本では絶対にありえない話しだな、と聞いていました。

ところで、巨大な鏡を支えてしまったモントブール氏は、火事場の馬鹿力がでたのかもしれない。この時の彼は、半年くらい前に週刊誌ですっぱ抜かれた彼女と一緒に食事していたのです。

お相手は、元文化大臣のオレリー・フィリペティ(Aurélie Filippetti)さん。彼女は鏡が落ちてくるのに気がついていなかったので、もしもモントブール氏がアクションをとっていなかったら大怪我をしたはず。

フィリペティさんは、日本で最近は話題になっているトマ・ピケティ(Thomas Piketty)氏と生活していたとき、彼に暴力を振るわれたと訴訟をおこしたことがありました(その後に訴えは引き下げたので不起訴)。その話しを知らなかったはずはないモントブール氏は、身の危険を顧みずにカッコいいところを彼女に見せようとしたのかもしれない。

モントブール氏は病院に運ばれたものの、2時間で出てこれて、無傷だったのだそう。その週明けには、予定されていたプリンストン大学での講義をこなしていました。彼は英語をかなり流暢に話す人だったことも、フランスでは話題になっていました。つい最近は、オランド大統領が酷い英語を話してしまったのとは対照的だし。

倒れてきた巨大な鏡を支えてしまったモントブール氏を、アメリカ人たちはスーパーマンと呼びました。でも彼は「僕はスーパーマンではありません。フランスの経済を建て直せなかったくらいなのだから」と言ったとのこと。

モントブール氏は若くてなかなか男前だし、押し出しがある発言をする人なので政治家としてもアピール度が高いと感じていました。彼はブルゴーニュの議員さんなので、我がブルゴーニュでは人気があったからかもしれませんが。政治家としての技量がどのくらいあるのかは知りませんが、もしも彼みたいに明るい人が大統領になっていたら、フランスの未来も明るく見えるだろうと思うけど...。

外部リンク:
☆ Wikipédia: Fabriqué en France
今年の単語大賞(Mots de l'année)は、透明と嘘
フランスビジネススクールINSEADとArnaud Montebourg
☆ L'Express: Arnaud Montebourg, ce French superman héros de l'accident du miroir géant 2015/02/20
☆ Paris Match: Sa conférence à Princeton - Arnaud Montebourg Je ne suis pas Superman 2015/02/24
☆ NY Daily News: Huge mirror at Balthazar Cafe in SoHo comes crashing down on customers, saved by former French politician 2015/02/20
☆ Libération: Le génie français la fête du clip version Montebourg 2013/09/12
☆ Le Monde: Montebourg le made in France est son combat 2013/09/19
Arnaud Montebourg: “The American and European Crises in Comparative Perspective”
Aurélie Filippetti : Piketty, Saint-Sernin, Montebourg... Love stories médiatiques 12/09/2014
県議会選の第1回投票ではFNが首位か


シリーズ記事: 最近の日本 ~ 「日本礼賛」から「ゆるキャラ」のブーム


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2015/03/01
お正月にNHKが放映する「外国人による日本語弁論大会」を見るのが嫌いでした。日本や日本人のことをボロクソに言っているので、不愉快だったのです。

フランスにもそういう弁論大会があったとしたら、私だってフランスのことを散々けなすスピーチを用意できます。でも、それを聞いたフランス人たちが、「よく言ってくれた。本当にそうなのだよね」なんて言って喜んでくれるはずはありません。ましてフランス人たちは、chauvin(盲目的愛国主義者)だと自ら言うくらいの国民なのですから。

フランスの友人たちと集まっておしゃべりしていたとき、フランスの悪い点を挙げて、日本は優れているのだと話したら、「それなら、どうしてフランスにいるの?」と言われてショックを受けたことがありました。

それで、はたと気がつきました。外国人から難癖をつけられたら不快に思うのは当然ですよね。気に入らないなら、さっさと自分の国に帰れ、と言いたくなる方が正直です。

以後、フランス人に向かってフランスのことをけなす発言は慎むようになりました。同時に、日本にいる外国人にも、日本の悪口を言うのは止めて欲しい、と思うようになったわけです。


世の中は変わった?

あの弁論大会は今でも続いているのか気になってきたので、調べてみました。始まったのは1960年で、今年は第54回の開催だったのだそうです。

まだやっているのですね。サイトが見つかって、そこにスピーチの動画が入っていたので聞いてみました。

昔とは様子が全く違っていました。いかにも「スピーチ」という感じの、わざとらしい話し方は同じなのですが、日本のことをやたらに褒めているのでした。今は、日本のことを貶したスピーチをすると、入選もできなくなっているのかもしれない...。

外国人による弁論大会がどうなったかを調べてみたのは、最近の日本は変わってきたと感じたからでした。

私はフランスと日本のことを比較して考えてしまう癖があります。良いところと悪いところは全く一致しないので、比べてみると非常に面白いからです。

日本の友達と話していても、すぐに「フランスでは...」と口走ってしまう。でも、最近は、ぐっと堪えるようになりました。少し前までは、そういう話しをすると面白がって聞いてくれていたのですが、喜ばれないと感じるようになったからです。

特に、知らない人に「フランスでは...」と話すと、反感を持たれてしまうことがあります。このブログでも、時々、そもそもフランスのことを語っているのが気に入らない、という感じの冷たいコメントをもらうようになってきました。

むかしから多少はありましたけどね。「バナナ」という言い方が面白いと思ったことがあります。外側は黄色いけれど、中身は白い。つまり、日本人のくせに欧米人のように考える人をバナナと呼ぶ。帰国子女に対する悪口として使われていました。

でも、最近は、そういう目で差別する傾向が強まっているのではないかな?...


外国人に日本を礼賛させるテレビ番組

日本のテレビでは、外国人に「日本は素晴らしい!」と言わせる番組が目についてきました。それも不自然に感じる。今までは外国人に日本のことをボロクソに言わせていたから、今度は、日本のことを褒めるのも外国人でないと納得できないのかな?...

この種の番組で、一番初めに出会ったのは「和風総本家」でした。2013年の冬、テレビ大阪から「世界で見つけたMade in Japan」という企画で、フランスのメイド・イン・ジャパンを探しているので教えてくれないか、というメールが届いたのです。

外国から発信しているサイトには、よく情報提供の依頼がきます。一生懸命返事を書いて送っても、ひとことの返事も来ないことがよくあります。それで、誰にでも片っ端から同じ文章を送っているらしい連絡には、原則的に返事しないことにしました。

フランスで愛用されている日本製品といったら包丁かなと思ったのですが、返事は送りませんでした。でも、どんな番組なのだろうかと思って、その後に日本に帰ったときに見てみました。

なかなか良い番組なのでした。

細かなところにまで工夫を凝らす日本の優れた職人芸を見せています。小さな工房で作っている人が、その出来栄えの良さを地球の裏側で評価するのを聞いて感激しています。そういう地道な努力をしている人たちを励ましてくれているのは、見ているこちらとしても嬉しくなります。

ナレーションも良い。麻生美代子さんですか。私が育った東京の言葉が美しい日本語だな、と思わせます。「○○が...」と言うときの鼻濁音の発音が、私が育った東京の発音なので親しみを感じるのです。

番組に登場する「豆助」と呼ばれる犬まで、いかにも日本的で可愛い。

犬の品種に関する私の知識はゼロ。

忠犬ハチ公が秋田犬だから、それかと思ったのですが、柴犬なのですね。

ともかく、この番組で、日本は素晴らしい国なんだと見せてくれるのは、やたらに嬉しい。

涙ぐんでしまうほど、嬉しい...。


その後、日本は素晴らしい国なのだ、と見せるテレビ番組が他にもあることを知りました。

外国にいて日本のことを聞かれると、ろくに答えられない。私は日本のことをちっとも知っていないではないかと痛感するので、極力見るようにしてみました。

テレビ番組名内容放送開始
和風総本家
テレビ大阪
(テレビ東京系)
54分 木曜 21:00 - 21:54
「世界で見つけたMade in Japan」
2011年から日本の職人に関する内容が多くなり、初期の日本独特のマナーや風習の紹介が少なくなった。
オフィシャルサイト
Wikipedia情報
2008年2月
※ 前身は「日本和風検定」(2007年11月開始)。
世界が驚いたニッポン!
スゴ〜イデスネ!!視察団

テレビ朝日系
58分 土曜 18:56 - 19:54
オフィシャルサイト
Wikipedia情報
20014年10月
※ 「これぞ!ニッポン流!(2014年4月~9月)」が改名されてスタート。
所さんのニッポンの出番
TBS
56分 火曜日 19:00 - 19:56
オフィシャルサイト
Wikipedia情報
2014年10月
※ 特別番組(2013年10月、2014年4月)が好評だったのでレギュラー番組となった。
COOL JAPAN
〜発掘!かっこいいニッポン〜
NHK(BS1)
44分 日曜18:00~18:44
オフィシャルサイト
Wikipedia情報
2006年4月
※ NHKワールドでも放送している。
日経スペシャル
未来世紀ジパング
〜沸騰現場の経済学〜
テレビ東京
54分 月曜22:00~22:54
オフィシャルサイト
Wikipedia情報
2011年11月
※ 良い切り口のときもあるのではないかと思うのですが、たまたま見たフランスに関する番組の内容が余りにも酷かった...。

日本の良さを紹介する番組は他にもたくさんありますが、ここに並べたのは、外国人が日本文化を評価するところに特徴があると思われるものです。

なんだか、外国人に日本のことをボロクソに言わせていたのの反動みたい。なにも外国人に褒めてもらわなくたって、日本人自身で評価できるのだけれど...。

「世界が驚いたニッポン! スゴ〜イデスネ!!視察団」と「所さんのニッポンの出番」は、行きすぎているようで、好感を持てませんでした。

世界が驚いたニッポン!スゴ~イデスネ!!視察団」は、海外から毎回テーマに沿った専門家を招き、日本のスゴイところを見せる番組です。どこで見つけてきた外国人なのだろうと思ってしまうほど、日本人におべっかを使わせているみたいなのが気になってしまいます。

そんなに馬鹿みたいに外国のことを褒めちぎる発言をするだろうか?... と思って、よく観察したら、外国人が言っていることは日本語で吹き替えしているのでした。声優さんのしゃべり方で、馬鹿みたいに感嘆している印象を与えているのだろうと思いました。

所さんのニッポンの出番」のサイトは、日本にいる外国人を登場させています。これも、どこで見つけてきたのかと思うような人も登場させている。出演を機会に仕事を見つけたいような人がでてきているのだろうか、と同情したくなってしまうこともある...。

この番組のサイトには「出演外国人大募集」というのがあるので、どういう風に募集しているのかと思って覗いてみました。やはり、日本の良さを探求したり、主張したい人たちを探していますね。

つまり、やらせ? それでは偏った内容になってしまうではないかと思ってしまうけれど、外国人が日本はスゴイ、スゴイと言ってくれなければ番組にならないのだから、仕方ないのでしょうね。

NHKの「COOL JAPAN〜発掘!かっこいいニッポン〜」は、来日間もない外国人の視点を生かして日本の文化を発掘するというもの。これもあったと後で追加するときに1本見てみたのですが、何が良いのか私には全く分からない番組でした。


日本が世界で最も優れているというのには、こじつけもある...

日本礼賛のテレビ番組で気に入らない点は、何でもかんでも外国人に日本を褒めさせるという設定です。次々と番組を作らなければならないから種切れもあるのかもしれない。

商品によっては、日本が優れているからそうしているわけではなくて、日本人の好みに合わせて作っているというのもあります。それを無理に外国人に素晴らしいと言わせるのは無茶です。

例えば、日本のティッシュペーパーが優れているという番組。

日本のティッシュペーパーは薄くて、柔らかなので優れている、と外国人たちに感嘆させていました。確かにそうなのですけれど、日本人がそういうティッシュペーパーが好きだから、そういう製品になっているだけだと思うのです。

日本のポケットティッシュを持っていたので、フランスで友達にあげたことがありました。歩いているといくらでもくれるので、気に入ったなら幾つもあげようと思ったのです。

ところが、鼻をかんだ友達は、これでは鼻があふれてしまってどうしようもない、と不満を言いました。それも正しい。日本のティッシュは何枚か重ねて使うものなのかな... などと考えこんでしまいました。

フランスのポケットティッシュは、こんな形になっています。

 

むかしのフランスでは、鼻はハンカチでかむものだったのだそう。何回も使ったら、汚いじゃないかと思いますけど!

ともかく、その伝統があるので、フランスのポケットティッシュは紙でできたハンカチのようになっているわけです。日本のの何倍くらいの厚さがあるかな?... 厚手のコットンくらいの強度があるとご想像ください。

これも、なかなか便利なのです。使い捨てのハンカチとして使えるし、小さめのナプキンという感じなので、持っていると重宝する場面が多いです。しゃれたポケットティッシュだと、縁取りに型押しの模様が淡いブルーでついてたりして美しい。

日本でも作って売っても良いと思うのですけど、市販はされていないようです。それで、こんなものを持ってくるのは馬鹿みたいとは思うものの、日本に帰ったときに使うようにスーツケースに入れて持ってきています。

日本礼賛番組では、日本のティッシュの高品質に驚く役割で登場していた外国人が、こういうのを出して見せていました。でも、日本製に比べてどうしようもない、という感じで無視されていたのでした。

何にでも、良いところと、悪いところがある。それを片方だけに絶対的な評価を与えるのって、私は好きではないな...。


出版されている日本礼賛本は、もっと凄まじかった!

私はテレビ番組しか気がついていなかったのですが、毎日新聞のサイトの記事で、出版業界の方はもっとスゴイのだと知りました。


日本礼賛本嫌韓・嫌中しのぐ勢い? ブームの理由を探る - 毎日新聞 2015年2月25日

どんな本が出ているのかと探してみました。

アジアの人たちは、実は戦争中に日本人がしたことに感謝しているのですよ風のタイトルになっているのは避けて選んだつもり。合計60冊余りの日本礼賛本の表紙をスライドショーにしてみましたので、ご覧くださいますか?



飛び上がってしまいそうなくらい気恥ずかしいタイトルもありますね...。

よく売れる本というのは、良いタイトルを決めてから書かせるのだと聞いたことがあるのを思い出しました。

川口マーン恵美さんが書いた『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』(16万部)と『住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち』(14万部)は、日本をベタ褒めしているだけではないのだそう。教育面を中心に日本に苦言も書いてあるので、読後の印象はせいぜい「6勝4敗」だ、と毎日新聞の記事には書いてありました。

それはそうだろうと思う。よく知っている日本と外国を比較してみたら、どちらにも良いところと悪いところが見える方が自然だと思います。

この川口マーン恵美さん、ネットで情報発信をしているのを読んでいたころ、文章も読みやすいし、かなり好感を持っていたのですが、極端に原発推進のための情報発信をするようになったので驚きました。ドイツは脱原発にしたけれど、問題だらけで後悔していると書いているのです。フランスはお隣りで、原発反対派も多いので、もしもドイツが脱原発政策で失敗しているとしたら真っ先に取り上げるはずなのですが、そんなのは全く聞いたことがないのです。

日本で
小出裕章さんに会う機会があったので、私はニュースを追っていないので分からないのだけれど、ドイツは脱原発にしてしまったことを後悔しているのでしょうかと聞いてみたら、そんなことは全くないとおっしゃっていました。ドイツでは、原発は危険だと判断したから、お金がかかろうと何だろうと、原発は止めるということでやっているはずだと思います。日本には外国のことは余り伝わらないので、アメリカ以外の国でどうかというのは何とでも言えてしまえるはず。「日本の勝ち」という本は読んではいませんが、日本の体制派を喜ばせるために書いた本なのだろうな、と思いました。


ここで選んでみた60冊余りのタイトルを眺めてみると、やはり、外国人ないし外国に住む日本人が「日本は素晴らしい」と書いている本が目につきました。

入れた本のほとんどは、ここ数年の間に出版されています。面白い♪ と、笑いたくなってきました。最近の日本は、外国人たちから素晴らしい、素晴らしいと言われるようになったみたいに見えるではないですか?

でも、日本はスゴイとか、素晴らしいとか、世界で一番だとか言っているのは、日本人か、日本サイドに立った人たちなわけで、そういう発言が今の日本人に好かれているから出版されているだけではないですか?

別に外国が日本を特に評価し始めたわけではなくて、日本人が評価されるのが好きになったというだけの話し。

確かに最近は、世界中で日本食ブームだし、日本のアニメファンも増えてきているようです。でも、それ以外に何があるだろう? 日本が優れていることが評価されている点(伝統文化、先端技術など)は、以前からも礼賛されていたわけで、最近の日本礼賛本ブームとは関係ないはずです。

むしろ、フランスの報道で「最近の日本は...」というのが出てくるのは、日本は極端に右翼化していて危険だとか、原発事故の後始末をないがしろにしているとかいうネガティブな面が目立っているのです。

日本のおもてなしが素晴らしいということが日本で言われて、それに関する本も何冊も出ていました。それを言っているのも日本人だと思うのですけど...。

「お・も・て・な・し」スピーチが受けたから東京オリンピック開催を勝ち取った、と日本では言われますが、これは本当なのだろうか? このスピーチはフランス語でしたわけだし、フランス系日本人が活躍したならフランスで騒がれて当然だと思ったのですけど、フランスでは報道されていなかったように思います。

フランスの友人にYouTubeに入っていたスピーチを聞かせて、「おもてなし」という日本語の意味が分かるかと聞いたら、全く分かっていませんでした。東京が選ばれたのはお金があるからだ、と冷たく言われてしまいました。

このブエノスアイレスで行われたIOC総会の時期は、福島原発では毎日300トンもの高濃度汚染水の流出を放置していると大きく報道されていた時期でした(福島原発事故に関するフランスでの報道を日本語訳で紹介しているブログの、この時期のページ)。いくら安倍総理が笑顔で「福島はアンダーコントロールされています♪」と言ったって、それを信じたフランス人は誰もいなかっただろうと思います...。

東京でオリンピックが開催されることに歓喜した日本人がどのくらいいたのかは知りませんが、「おもてなし」という言葉は2013年の「新語・流行語大賞」で大賞を獲得していましたね。

その後、ブラジルでサッカーの大きな試合があったとき、ブラジルの「おもてなし(accueillantという言葉でしたが)」は素晴らしい、という感じの報道がフランスのテレビであり、それを見てギャフンとしました。ブラジルのグラマーな女性たちが胸やお尻を振りながら踊っている姿が映し出され、やって来た外国人たちを歓迎していたのです。


日本人による日本礼賛ブームは、いつから?

いつから日本人は、世界で最も優れているのは日本だ、と言い出したのかな?... 右翼系の人たちが自分の国を高く持ち上げるのは、そういうものだと思う。でも、今の日本礼賛ブームというのは、もっと広い層に広がっているように感じるのです。

ここで引用している毎日新聞の記事でも、日本礼賛本が愛国心を動機に読む人だけに買われるのなら数万部止まりで、16万部も売れたりはしない、と書いています。

NHKが行った「日本人の意識」調査が紹介されていました。
質問回答者
2013年2003年
日本人はすぐれた素質をもっている68 %51 %
日本は一流国だ54 %36 %

日本人が母国に誇りを持たない割合が最も高かったのは、ここに比較として出した2003年だったようです。

外国に住む日本人が書く本のテーマの流れは、こんな風だったと分析する出版社の編集者がいました。
  • 2000年代半ばまで: 欧米人と結婚した日本人女性が日本の情けないところを指摘する本が売れていた。
  • 2007年: デュラン・れい子著『一度も植民地になったことがない日本 』が20万部を超えたあたりで潮目が変わった。
  • 2011年の震災が、その傾向に拍車をかけた。

今の日本礼賛本ブームの火付け役の1つは、竹田恒泰著『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか 』だとされていました。

2010年12月に出版され、47万部売れたのだそうです。

担当編集者は、「当時、正面切って自国を褒める本はほとんどなかった。自国を褒めていいというメッセージが読者に待ち望まれていた」と話したとのこと。

東日本大震災が発生したのは、この本の出版から3カ月たったとき。それで一気に人気が出たようです。

シリーズ3冊で、累計約81万部売れたのだそう。


日本に帰国すると、不在だった時期に現れた変化がよく見えるものです。日本は素晴らしいとやたらに日本人が言い出したのは、3.11の後だったな... と思い出します。

鎌倉時代、蒙古襲来のときに日本に神国思想が生まれたのも、太刀打ちできないような困難に立ち向かおうとしたのの現れだと思うのですが、震災後の日本にもその悲壮さが見えたのでした。

私がテレビ番組「和風総本家」を見て、日本は素晴らしい国なんだと見せてもらったときに覚えた心の安堵感もそれだったと思う...。


今がどんな時代なのかが見えてくる?

過去にも、日本や日本人をたたえる風潮が強くなる時代はあったのは確かでしょうね。

「『日本人論』再考」の著者で東大名誉教授(文化人類学)の船曳建夫(ふなびきたけお)さんは、こういうブームが起こるのは「不安」の空気が流れているときだ、と指摘していました。

明治維新以来、国が苦境にある時も右肩上がりの時にも、日本人論は日本人がアイデンティティーに不安を抱えた時代に流行し、不安を癒やす『安定剤』の役目を果たしてきた。

日本人論ブーム
  • 第1期: 日清・日露戦争の富国強兵の時期の「武士道」(新渡戸稲造著)や「代表的日本人」(内村鑑三著)など。西洋の先進国と比較し、日本をポジティブに評価しようとした外向きの時代。
  • 第2期: 1929年世界恐慌から開戦ごろまで。九鬼周造の「『いき』の構造」など「日本は非西洋である」を前提に、日本の伝統に価値を求めた内向的な時代。
  • 第3期: 敗戦から経済復興までの半世紀。『菊と刀』から『ジャパン・アズ・ナンバーワン』まで、右肩上がりでも『これでいいのか』という不安を背景に、長く日本人論が読まれてきた。
船曳教授によれば、今回のブームは第2期に似ているのだそう。

さらに、こう分析していました:

第2期の不安の相手は西洋だったが、今は中国や韓国を意識している点が特徴。人口減など将来に不安を抱えた日本人が未来に明るいものが見えないゆえに、古来の伝統や西洋人からの評価に価値や癒やしを求め、日本人、ひいては自分自身のアイデンティティーを守ろうとしているのでは...。

私もそう感じますね...。このまま暴走したら戦争だろうな... と思えてきているので。

不穏な時代になると、日本の神国思想が鼻をもたげますか...。

フランスでは、伝統や田舎に回帰する傾向になると聞いたことがあります。またフランスと比べてしまった!...

21世紀になったときはフランスにいたのですが、そういう傾向が強い時代が始まったという空気が流れていました。フランス人のルーツは農民だというような本が、お正月早々に何冊も出たのでした。

不穏な時代の始まりか... と思っていたら、9.11、イラク戦争、リーマンショック...。やっぱりね... と思ったのでした。


日本人のすごさは、謙虚に改善しようとする姿勢があったからでは?

ポール・ボネの『不思議の国ニッポン』シリーズのような本は、今だったらベストセラーなんかにはならないだろうと思います。

このシリーズを父が好きで、私にも読むように薦めていたのですけど、こういうのも私は好きではなかったです。フランス人が書いているようには見えないという疑いを持ったので気に入らなかった理由の一つでもあったのですが今では実は日本人作家が書いていたということが公然の事実になっているようですね。日本人が自国を批判しても良いはずなのに、在日フランス人にさせた方が好まれるという設定の本でした。

時代は変わって、日本を礼賛するブーム。

昔の日本人は外国人が日本の批判をするのを聞くのが好きだと感じて、反発を感じていました。でも、あるとき、日本人のそういう前向きの姿勢が日本の経済の発展を招くのだろうな、と良い側面を見た思いがしました。

例えとして、なぜ日本が優れた吹奏楽器を作るようになったか、という話しを聞いたのです。ラッパの類いはフランスのメーカーのものが優れているという定評があったのに、日本のメーカーに追い抜かれてしまったのだそう。

というのも、ヨーロッパの伝統的な楽器メーカーは世界で最も優れたものを作っているという自負があるから、昔からあるものを作り続ける。ところが日本のメーカーは演奏者の声を聞き、どんどん使いやすい楽器に改良していく。演奏家からすれば、良い音がでやすい楽器を使うのは当然なのだそう。

そう言われてみると、管楽器というのは音を出すのが非常に難しいのではないかと思います。下手に吹けば突拍子のない音が飛び出してしまいますから。

交響曲の中には、ホルンのソロが出だしの場合もあります。例えば、シューベルトの交響曲第9番(聞いてみる)。この第1声が調子はずれだと目立ちすぎる。よくコンサートに通っていた昔には、そういうズッコケる演奏に度々出くわしていたのに、それがなくなったのは楽器そのものが進化したからなのだろうか、と思ったのでした。

そんな話しを聞いた私は、日本は外から優れたものを受け入れて、それをさらに良いものにしていく文化がある国だな、と思ったのでした。

日本の強さは謙虚に良いところをどんどん取り入れて行くことだとしたら、最近の日本礼賛ブームは少し危険な側面もあるのでは? 自分が最高だと思ったら、そこでとどまってしまって、もう進歩はないです。

日本礼賛ブームも、これ以上はエスカレートしないで欲しいな...。

スライドショーにした日本礼賛本の表紙を眺めていると、なんだか異常だとも思えてきました。こんなに外国人たちは日本を絶賛しているのですよ!~ と自作自演しているということは、それほどまでしなければならないほど、日本人には劣等感があるのだろうか?... 悲しくなってきてしまう...。

続きへ:
フランスにもあった「Made in France」ブーム

追記(2015年4月):
他の記事に入れてくださったコメントで教えていただいた番組「未来世紀ジパング」は、日本礼賛ブームの意図を持って無理やり作った番組として驚くべき内容でした。知らないことを教えてくれる番組だと、「日本って凄いんだ~♪」と舞い上がります。でも、たまたま知っている分野のことだと、いかにでっちあげの内容であるのかが見えてしまう...。この番組もマークしておくべきだと知ったので、上に作った日本礼賛番組の表に加えました。

外部リンク:
毎日新聞: 日本礼賛本嫌韓・嫌中しのぐ勢い? ブームの理由を探る 2015/02/25
日経ビジネスオンライン: 「ニッポン礼賛バラエティ」への違和感 - 日の丸背負ってラーメン屋に並びたいですか? 2014/12/02
NAVER まとめ: やたらと日本人を持ち上げる番組が急増してるって気づいてた?
もはや愛国ポルノ! 空疎な“日本人はスゴい”論連発で大ブームの日本礼賛本トンデモランキング 2015.08.08
氾濫する「日本、スゴーイ」ブームに感じる違和感
☆ マツコも苦言...なぜ「日本すごい」がブームになっている? 
☆ 厚切りジェイソンが“日本スゴい番組”の愛国ポルノを批判し炎上! でも「四季があるのは日本だけじゃない」は正論だ
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☆ 「乱れた日本語を取り戻す!」に潜む排他性 「大和言葉」本ブームを考える
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内部リンク:

『畏れ慄いて』は日本を侮辱する作品なのか? 2013/05/26
フランスで紹介された日本の「珍道具」 2013/05/02
「限界集落」という言葉が気に入らない 2014/09/25


シリーズ記事: 最近の日本 ~ 「日本礼賛」から「ゆるキャラ」のブーム



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