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2018/07/31
フランス語の rosbif(ロースビフ)は、英語の roast beefをフランス語にした単語です。もちろん食べ物のローストビーフのことなのですが、イギリス人の蔑称としても使われます。



ローストビーフはイギリスで生まれた料理。それをイギリス人の悪口を言うときなどに使われるのですが、考えてみると奇妙。貶したいなら、そんな美味しそうな料理の名前を付けなくても良いではないですか?

なぜフランス人はイギリス人のことをローストビーフと言うのか? それを調べて書こうと思ってシリーズ日記を始めたのですが、脱線したりして幾つもの記事を書いてしまいました。でも、今回で総括して、終わりにすることにします。

シリーズ記事 【嫌いな国の人を何に喩えるか目次へ
その12

なぜイギリス人にローストビーフというあだ名を付けたのか?

よく挙げられている理由は2つありました。

1つは、ローストビーフはイギリスで生まれた料理で、イギリス人たちがよく食べるから。

もう1つの理由は、ローストビーフは、赤い色に特徴があるイギリス人をイメージさせるから。

この2つを合わせて、イギリス人はローストビーフと呼ぶのが最も相応しい、ということになったような気がします。


イギリスからローストビーフが伝わったときに付けられあだ名

ローストビーフをフランス語にした「rosbif」という単語が、初めて文献に現れたのは1691年。

でも、フランス人がローストビーフという料理を広く知るようになったのは18世紀になってからでした。海の向こうにはグレートブリテン島がある港町カレーには、フランスに上陸したイギリス人兵士にローストビーフを食べさせる、イギリス人経営のレストランができていました。

イギリス人の画家ウィリアム・ホガースは、1748年当時のカレーの町の様子を描いています。


The Gate of Calais (O, the Roast Beef of Old England), 1748

「カレーの門 ー 古きイングランドのローストビーフ)」と題された作品です。中央に、ローストビーフにするための大きな肉を抱えた人がいて、これがイギリス人経営のレストランに運ばれるのだと分かる絵になっています。

この作品の解説を書いたのは、次の記事:
★ ⑥ ローストビーフはイングランド料理で、スコットランドはボイコット?


この絵が描かれた当時のフランスでは、牛肉は煮込んで食べるものだとされていました。イギリス人が牛肉を焼いただけでシンプルに食べるとのは、フランス人たちには物珍しかったはず。

なぜフランスに牛肉を焼いて食べる習慣がなかったかについて書いたのは、こちらの記事:
★ ⑦ イギリスは、フランス料理の発展に貢献していた


カレーの町にあったローストビーフを食べさせるレストラン。そこで働くイギリス人たちに「ローストビーフ」というあだ名を付けたのが発端でした。

それが広まって、イギリス人なら誰でも rosbif と呼ぶようになっていきます。
公然とそう呼ばれるようになったのは1774年、とされています。

つまり、フランス人がイギリス人のことを「ローストビーフ」を呼ぶようになったのは、250年くらい前から、ということになります。


ローストビーフは赤いからイギリスを連想させる

イギリス兵の制服の色が赤いからローストビーフと呼ぶ、というのがありました。このシリーズでは、まだそのことに触れていませんでした。

なるほど、イギリス人の兵隊さんを思い浮かべると、赤い服を着ている。フランスの軍服にも赤が使われていると思ったのですが、そんなには目立ちませんね。


イギリス
バッキンガム宮殿の近衛兵による交代儀式
vsフランス
大統領官邸の親衛隊



ヨーロッパ大陸では、17世紀末頃から、歩兵の上着の色が国ごとに統一されるようになったのだそうです。

イギリスは赤色、フランスは青、プロイセンは紺青色(プルシアンブルー)、オーストリアは白、ロシアはオリーブグリーン、バイエルンは水色、という具合。

イギリス歩兵連隊兵士(1742年)
Piechur brytyjski z 1742 r. 22 regiment piechoty.jpg


イギリス兵のことを redcoat と呼ぶそうです。アメリカ独立戦争(1775~83年)に参加したイギリスの歩兵が、赤い上着を身に着けていたから、レッド・コート。

18世紀を舞台にした映画『バリー・リンドン』にあった印象的な画面に、イギリス軍の赤い制服が出てきていたのを思い出しました。


The Battle Never Mentioned (Seven Years' War) - Barry Lyndon

ストーリーは忘れてしまいましたが、使われている音楽が美しくて、どうにもやるせない思いになる映画だったような気がします。

こういう戦争のやり方を見ると、神風特攻隊と同じことを兵士にさせているではないか、と思ってしまう。でも、この時代の大将は、戦闘に加わっていたのですよね。日本でも、「我は〇〇なり~!」と名乗りを上げて戦闘を開始し、自らの命をかけて兵士と一緒に戦っていました。

今の時代では、大将は自分は戦場に行くことがないくせに、若者に戦場で戦えと言うのだから汚いと思う。自分に身の危険はないから、でっちあげの戦争も作り出してしまう...。



ところで、鮮やかな赤い色が印象的なのは、ローストビーフだけではありません。

ナポレオンの時代には、イギリス兵のことを「homard(オマール)」と呼んでいたそうです。「茹で海老」というわけですね。



今でも、イギリス人のことを「オマール」と呼ぶフランス人がいるかもしれません。イギリス人は日焼けするのを避けるので、日焼けすると真っ赤になってしまうからオマールと呼ぶのだ、と説明しているフランス人がいました。


イギリスとフランスが激しく戦うことになったナポレオン戦争(1803~15年)。

この戦争が勃発する直前の場面として、イギリスの風刺画家ジェイムズ・ギルレイが描いた絵でも、イギリス代表として左側に描かれたウィリアム・ピット首相は赤い軍服で、右側のナポレオンは青。


James Gillray, The Plumb-pudding in danger - or - State Epicures taking un Petit Souper (1805)

この風刺画について解説を書いたのは、こちらの記事:
★ ⑧ イギリスとフランスが犬猿の仲だった長い歴史

ナポレオン時代の戦争画を見ると、確かにイギリス軍は赤い服を着ているのが目立ちました。


戦場を巡り兵を鼓舞するウェリントン(Robert Alexander Hillingford画)



『スコットランドよ永遠なれ』第2竜騎兵連隊(Scots Greys)の突撃

朝やかな赤い軍服に比べると、ナポレオン軍の制服は地味だったかもしれない...。




同じくイギリス生まれのビーフステーキ(フランス語にして bifteck)をイギリス人の蔑称として使うフランス人もいるのですが、ローストビーフと呼ぶ人よりもずっと少ないと思います。いくらレアでも、焼肉の色になるビーフステーキより、スライスした赤い肉を出されるローストビーフの方がイギリス人に相応しい呼び名だと感じるのではないか、という気がします。

フランス人がイギリス人をローストビーフと呼ぶのは、料理としてのローストビーフをあだ名にした後、イギリスの軍隊も赤い制服を着ているのが印象付けられて、フランスではイギリス人をローストビーフと呼ぶのが定着したのではないかと思いました。


10回にわたって、ローストビーフの話しを書いてきたのですが、今回で終わりにします。

シリーズ記事: 嫌いな国の人を何に喩えるか 目次へ




ブログ内リンク:
フランス共和国親衛隊の一般公開を見学 2015/10/29
★ 目次: 戦争、革命、テロ、デモ
★ 目次: 色について書いた記事
★ 目次: 肉牛(シャロレー種など)、牛肉など牛に関する話題
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
Les insultes adressées aux Anglais
Les insultes adressées aux Anglais
nos insultes frogs et rosbeef le petite histoire
Pourquoi appelle-t-on les anglais les rosbifs ?
Etymologie de ROSBIF
Wikipedia: ローストビーフ » Rosbif
Wiktionnaire: rosbif
Tuniques rouges Red coat (military uniform)
はてなキーワード: レッドコートとは
Wikipedia: 軍服 (イギリス) | 軍服 (フランス)



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2018/05/14
ちょっと調べたくなった害虫がいて、過去にそれを見ていたので、どこで見たのかを写真アルバムで探してみました。

もう10年近く前の6月初旬に、友達の家庭菜園を見学した時のことでした。私が刺身用の魚を買いに行くことで親しくなった魚屋さんが、趣味で作っている畑です。



小さな村にある魚屋さんのお家は庭の広いのですが、以前には畑として使われていた土地を借りて野菜畑を作っていました。

フランス人が庭付きの家に住んでいると、家庭菜園を作らない方が少ないのではないかと思っています。土地があり余っている農村ともなれば、「こんなに野菜を作ってどうするの?!」と言いたくなるくらい広い家庭菜園を持っている友人たちがたくさんいるのですが、ここもその典型。

農家出身の人が本格的に野菜を作っているのは友人仲間にもいるし、それは納得できる。でも、この魚屋さんは全く素人でやっているのだからスゴイ! でも、かなりお勉強しているようです。

そもそも、フランスで家庭菜園をやっていると、作物ができすぎる! 私は収穫係なのですが、春から夏にかけては大忙しです。なぜこんなに種を撒いたり、苗を植えてしまうのかと不満なのですが、フランスで一般人向けに売っている園芸店などでは、ものの単位が素人向けではないのです。ほんの少しずつ、色々な種類の野菜を作りたいと思っても、広い土地で菜園を作るのでなければ、できない!

野菜ができすぎてしまうので、近所の人に分けようと思っても、農村ではみんな野菜を持て余しているので、もらってくれないという不都合があります!


魚屋さんが育てている野菜たちは元気そうでした。




もちろん、敷地の片隅にある建物の中では、色々な種類のニワトリも飼っています。




大根ではなかったのだ...

写真アルバムを見たら、この日の私は、畑の片隅に気になる野菜を発見していたようです。



土の中から白いものが出ているし、葉っぱからしても、大根に見えますよね?

貴重な野菜を作っていらっしゃる♪ と思って写真を撮っていたはずです。

フランスでは日本料理に使える大根はめったに売っていないので、刺身のツマにするのはズッキーニで間に合わせるようになった私です。

フランスで手に入るパサパサの大根より、小さくて新鮮なズッキーニでツマを作った方がずっと美味しいという結論に達しました。

それを書いたのは、こちら:
フランスで刺身を作るとき、ツマはズッキーニで作る! 2007/08/21


フランスで売っている野菜に、こんなのがあります。魚屋さんの家庭菜園で見たのは、これと同じなのでしょうね。



ダイコン風に見えるのですが、食べてみたら全然違うので、2度と買っていませんでした。

野菜畑に立てられた札には「Panais salsifis」と書いてあるので調べてみました。パネという名前は聞いたことがありますが、何なのかは気にしたことがなかったのです。

Wikipediaのフランス語ページにあった「Panais」からは、パースニップ(学名: Pastinaca sativa)にリンクされていました。ニンジンの仲間だとのこと。どうりで、期待した大根の味はしなかったわけでした!


この家庭菜園を作っている魚屋さんの写真をブログに入れたこともありました。


フランスでは、嫁姑より婿姑関係が問題! 2006/07/19

この日に訪れた彼の野菜畑の敷地では、珍しいものも見てしまっていたので書いていました:
美しいケシの花だと思ったら、麻薬用だったらしい 2007/07/10


シリーズ記事 【嫌いな国の人を何に喩えるか目次へ
その1


ところで、写真を探したのは、栽培しているジャガイモを台無しにしてしまう害虫です。その名前を、フランス人がドイツ人をけなすときに使うのが面白いのです。それを次回に書きます。

続き:
ジャガイモの害虫コロラド虫 = ドイツ人



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2018/03/27
日本人は、フランスと言えばセンスが良いという印象を持っていますが、そうでもない人たちもいます。


こういうのを買う人がいるのかな?...

経済的に豊かではないフランス人(若い人が多いかな)のお宅に行くと、ごくシンプルなソファー・ベッドを見かけることがあります。

こんな感じのソファー・ベット。大きなスーパーマーケットで売っていたものの写真を入れます。



便利なのですよね。普段はソファーとして使っていて、誰かが来て泊まるとなったら広げてベッドにできるので。日本のように畳に布団を敷いて寝てもらうわけにはいかないので、ベッドが必要なわけです。

この写真を撮影したのは2年前でした。200ユーロを少し切っているので、お安いでよう? という売り込みだったはず。25,000円くらいで買えたら良いですよね。

この馬としか書かれてないソファー・ベッドは、余りにもセンスが悪いと思って記念撮影していました。「馬」という文字を使いたかったからといって、等間隔に並べただけでは味気ないではないですか?!

こういう風に、なんでこの文字が? と思ってしまう漢字が書いてあるアイテムをよくフランスでは見かけます。でも、たいていは美しいとは思えないものばかり...。

おそらく、安い価格なのを最大にアピールする中国製だからなのだろうと思っています。中国だって洗練された漢字を描く文化があるのだけれど、安価なアイテムを作る人たちには、そういう教養がないのだろうと思う。


日本人とフランス人で、どっちがセンスが良い?

田舎に住む高齢女性たちがユニフォームのように着ているエプロンがあります。見慣れているから私はフランスらしさを感じますが、おしゃれではない!

以前にブログで書いた記事に入れた写真です。

 ★ フランスのエプロン 2009/02/10 

来日した香水メーカーの社長さんが、「フランス女性も、日本の女性たちのようにおしゃれをしたらな...」と言っていました。お世辞で言ったのかと思ったのですが、東京にいる人たちを眺めて、本気でそう思っただそうです。彼はパリに住んでいるのですけど。

とは言え、日本人はセンスが悪いなと感じてしまうこともあります。まず、フランスに来る旅行客は張り切り過ぎてしまうのか、突拍子もないファッションになっていることが多いです。

フランス人は、色のコーディネートの感覚は優れていると感じます。それと比較してしまうから、おかしな服装をしてまう日本人がいて、それでフランスで目立ってしまうのかもしれない。


日本のユニフォームは洗練されていないように感じる...

もう1つ不思議なのは、日本で有名デザイナーがデザインしていても、なんだかダサいと思ってしまうような衣装があること。

東京オリンピックの観光ボランティアのユニフォームとして発表されたデザインは、余りにも酷すぎると思ってブログに書いていたのですが(東京五輪「おもてなし制服」を見たら、帽子に目がいってしまった  2015/08/02)、その後、別のユニフォームが発表されていたのですね。

東京観光ボランティアのユニフォームのデザイン新旧見比べ (外部リンク)

恥ずかしいとは思わないで着られるデザインになったのは良かったですが、私は特に素敵だとは思いませんでした。日本では、制服といったら、まず第一に地味にしなければいけないという鉄則があるのかな?...

日本には世界に誇れる独特の美があるのに、どうして日本らしさを出そうとしないのでしょうか?... 最近の日本は、日本礼賛ブームだけれど、やはり劣等感が漂っているのではないかと思ってしまいます。

下は、ツイッターで人気を呼んだというハッピです。日本らしさをアピールしているし、目立って良い、と私は思いますけど...。





これを観光ボランティアのユニフォームにして、欲しい人には販売したら、東京オリンピックに来た外国人の中には、記念に買って行く人が多いだろうと思いますけど...。


東京オリンピックのロゴを入れた、こちらのハッピはネットショップで販売されていました。

 
東京2020オリンピックのおすすめ商品

白か青に黒が入っているというのは、私は美しいとも思わない。何に抵抗を感じるのか分からないけれど、何かひっかかるものがある...。こんな値段を出して、どなたがお買いになるのでしょう? オリンピックで働く人に提供するのでしょうかね...。

それにしても、どうして明るくないデザインが採用されるのかな? これからどうなるのだろうという日本の不安を表現しているように思ってしまう...。


フランスのユニフォーム

どこか洒落ているな... と思います。

下は、パリで見かけた警察官です。こんな恰好で町を闊歩できたら、自分が誇らしくなるのでは?




派手だけれど、バカバカしくはなっていないユニフォームを見たときのことをブログで書いていました。


フランス共和国親衛隊の一般公開を見学 2015/10/29


下は、知り合いの郵便配達の人にポーズをとってもらった写真。フランスの郵便局のカラーは、青と黄色なのだそうです。



この人は、日本人の平均からいっても背が低い人なのですが、それなりに似合っていると思う。

郵便配達で働く日の天候によって使い別ける色々な種類のユニフォームが支給されていて、機能的でもあるのです。私は欲しくなってしまうほどでした。


1987年のニュースで、候補になっているデザイナーが発表した郵便配達夫の制服を見せています。


Nouvel uniforme des facteurs


20年ぶりに新しくなったという、警察官の制服を見せている2005年のニュースもありました。


Nouvel uniforme de la Police

ポケットがいっぱいついていているなど、機能性を重視しているようです。

制服を着せられる身としては、恥ずかしくない恰好だというのの他、毎日着るのに便利というのを重視して作ってもらいたいと思います。

私が中学生だったか高校生のときには、プリーツがたくさんあるスカートが制服で、床に置いてひだを時間をかけて畳んでから布団の下に敷いていたのを思い出しました。あれには苦労させられましたよ~!

ブログ内リンク:
フランス女性は誰でも美しい? 2017/05/30
★ 目次: 色について書いた記事
ちょっと怖いな... 最近の日本礼賛ブーム 2015/03/01



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カテゴリー: 日仏の比較 | Comment (4) | Top
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2018/03/20
書棚を整理していたら、昔の写真が出てきました。

骨折をして入院したときの写真が懐かしかったです。ブルゴーニュ地方にある公立病院の整形外科と私立のリハビリセンターで、合計6週間の体験でした。


公立病院での居心地は、すこぶる良かった

退屈まぎれに日記を書いていたのを思いだしたので、探し出して読んでみました。今は良いことばかりの体験をしたと思っているのですが、日記では、痛みが強烈だったし、毎朝みじめになって泣いていたと書いてある。あの時は休暇を過ごすためにフランスに行ったので、病院なんかで寝ていたくなかったのです。

メソメソしていた時に病室に入って来た看護師さんが、「上を見て歩こう」を歌ってくれたと書いてありました。

外国人で心細いだろうと思ったらしくて、看護婦さんたちは、日本人の友達がいるから連れて来ようかと言ってくれたり、合気道をしている人は分厚い日本の本を持って来てくれたりもしました。

実際には、私は学生時代にブルゴーニュに行ったとき、家族同然になった家があって、その関係で輪が広がって友達がたくさんできていて、その友達の友達まで見舞いに来てくれたので、そんなに私は寂しくはなかったのですけど。

考えてみると、フランスで日本人だからと言って特別扱いしてくれたのは、あの時だけだったかもしれない。フランス人から差別を受けたことはない代わりに、日本のように外国人だからとチヤホヤすることもないので。

看護婦さんたちは、休憩時間に私の病室に集まってくれることも多かったです。10人近く集まっていたのですから、私の病室は広かったのです。

「ここは良い香りがするわ~ ♪」なんて言ってくれていました。

一人では寝返りもできない状態だったために、ベッドの上で排泄していたわけなので、匂いを消そうと香水を振りまいていたからです。

私は身動きできなくて惨めだろうと思って励まそうとしてくれたのだと思いますが、排泄物を片付ける人は鼻歌なんか歌って陽気にやってくれていたのでした。

日本で、こういう状態で入院している患者は、手間を省くために紙オムツなんかをされたのではないかな?...

毎日2回シーツを変えてくれるのは不満でした。動かされると、痛いのですよ~!! 看護婦さんは2人で来て、とても手際よくなってくれたのではありますが。

その話しを日本の看護婦さんにしたら、「1日に2回も?!」と驚いていました。私だって、そんなに頻繁にシーツを変えてくれなくて良いと抗議したのですが、シャワーを浴びたりできないので不潔だから、シーツを変える必要があるという決まりがあったようです。

入院したのは私にとっては初めての体験でした。何にも知らない。それで、頭の上にあるナースコールのブザーは、飛行機に乗ったときに客室乗務員を呼ぶためのものと思っていて、頻繁に呼んでいました。

日記を書いていたので、よくペンを落としてしまうので、ナースコールで看護婦さんを呼んで拾ってもらっていました。ある時、ナースコールで来てくれたのは看護婦長さん。「鉛筆を落としちゃった」と言ったら、「ぬぬ~???」という顔。それで、こういうことでブザーを鳴らしたらいけないかもしれない、と私は気がつきました。

その後に来た看護師さんに話したら、そういう時は、合図するブザーの押し方をしたら(3回連続でブザーを押す)、自分が行くから、なんて言ってくれたのでした。

そんな非常識な私だったのに、看護婦さんたちは「患者さんたちが、あなたみたいに穏やかだったら、私たちは助かるのに...」なんては言っていたのです。フランス人は文句を言う国民性があるので、自分が辛いと、看護婦さんたちに八つ当たりするものなかもしれない...。

着の身着のままで入院したので、始めのうちは手術着のようなものを着せられていました。回復してきたらら、「もう寝間着にしましょうね」と言って、看護婦さんがパジャマを持ってきてくれました。2つ見せてくれて、どっちが良いかと聞く。

さすがフランスですね。素敵なパジャマを見せてくれたので、私はキャシャレルの花柄のパジャマを選びました。そんな洒落たパジャマなんて、着たことがなかった!

ベッドの淵に座れるくらいに回復したら、日中に寝間着姿でいるのは不自然だと看護婦さんから仄めかされたので、それを聞いた友達がプレゼントしてくれたラウンジウエアを着るようになりましたけれど。


整形外科にいたとき、お見舞いの友人が持ってきてくれたものは?

骨盤を3カ所骨折しました。整形外科に3週間入っていたのですが、始めのうちは一人では寝返りもできませんでした。足も動かない。なんとかベッドの端に座れるようになったのは、2週間たってからだったと思います。

部屋にはベッドが2台あったのですが、もう一つの方には患者を入れないでくれたので、私の病室は広々していました。

紙に焼いた写真をスキャンしたので色が悪いですが、入れてみます。



上の写真を見て、何かお気づきになりますか?

そう、ワイングラスなんかを持っているのです。点滴が下がっていないので、入院したばかりの時ではなかったでしょうが、まだ一人では寝返りも打てない頃だったと思います。

ワインをよく持って来てくれたので、部屋にあるロッカーにストックしていました。私は動けないので、ワインを取り出して来た人にすすめるわけにもいかない。「好きなのを選んで」と言って用意してもらいました。

お見舞いの人たちは、朝だと焼きたてのクロワッサンを持ってきてくれることが多かったです。これは嬉しかった。病院では、朝からバゲットしか出なかったので。


フランス人が励まそうと思うときには、ワインなのでしょうね。

下の写真も、ワインをだされている整形外科にいた時の私。



パン、ハム・ソーセージ・パテ、それにチーズとワインを差し入れてもらったようです。フランスでするピクニックの定番メニューですね。


ある日、こんな風に見舞いに来た友達とワインを飲んでいたら、看護婦さんが来ました。私の様子を見るための巡回だったらしい。

看護婦さんはドアをノックして入ってくるわけではない。

私は焦りましたよ~! モルヒネなんかの痛み止めの薬を飲んでいて、絶対安静の怪我人が、病室でワインを飲んでいるなんて、余りにも不謹慎ではないですか?!

部屋は広いので、私たちのいるところまで看護婦さんが歩いてくるには時間がかかる。「ワインを隠して~!」と友達に言いました。

ところが、お相伴をしていた友達の方は全然平気。看護婦さんも、私たちを見て驚かない様子。

「あなたも一杯いかがですか?」なんて友達は看護婦さんに言うので、さらに驚きました。

「いえ、いえ。私は仕事中ですから」と、看護婦さんは断る。それは当然ですよね?

ところが、友達はグラスをロッカーから出してきて、「まあ、いいじゃないですかぁ~♪」という感じで、さらに勧める。

「じゃあ、一杯だけね~ ♪」と、看護婦さん。

さっと飲んで、彼女は病室を出ていきました。それじゃ、一気飲みですよ! かえって酔いが回りそうではないですか?...

ブルゴーニュならではの病院生活だったかな?... それに、あの頃は、まだ飲酒運転などは全く厳しくない時代だったし...。今は、こんなおおらかさはないかもしれないという気はします。


整形外科のベッドが素晴らしかった

整形外科を退院することになって、最後のレントゲンをとるために病室を出た私を、看護師さんが車椅子で押してくれました。「良かったですね~」と自分のことのように喜んでくれて、車椅子を動かしてダンスを踊ってくれちゃった。乱暴なことをしたら良くないわけなので、「大丈夫?」と繰り返し聞いていましたけど、私もルンルン気分。

この看護師さんは、リハビリセンターに入った私の見舞いに来てくれたのですが、あの時もお土産はシャブリ1級の白ワインだったな....

看護婦さんたちはリハビリセンターに移ったら、動けるようになって、ずっと楽しいからと励ましてくれていました。

私もそれを心待ちにして過ごした3週間。晴れてリハビリセンターに移ったら、愕然としました。整形外科の病棟に近い同じ公立病院だったのですが、ベッドの寝心地がすこぶる悪いのでした。

古いスプリングのマットレスだったらしくて、まだ固まっていない腰がのめりこんでしまうのでした。頭の上には電車のつり革のようなものがあるので、それに捕まって体を支えましたが、一晩中そんなことをしていたくはない。

看護婦さんを呼んで何とかしてくれと訴えると、マットレスの下に板を入れてくれましたけれど、それでも駄目。

整形外科に入院していたときのベッドは、余りにも素晴らしかったのです。体は部分によって重みが違うのですが、それにしっかりフィットするので、痛みは感じないのです。

低反発マットレスだったのだろうと、後になって調べて分かりました。整形外科で使っていたベッドのようなのが自宅にも欲しいと思って探してみたら、スウェーデン生まれのテンピュールというメーカーを見つけました。でも、かなりお高いらしいので、買うのは諦めました。

退院してから数年後、やはりベッドを変えたいと思って、アウトレット・ショッピング・センターにあるベッドのお店に入ってみたとき、整形外科で使っていたベッドが私には理想的なのだと話したら、「病院用ベッドですね。それなら、あそこにあります」と示されました。

テンピュールのジェネリックみたいな会社の商品で、寝心地は同じだ、と店員さんはおっしゃる。しかも、今月のプロモーションとかいうので安く売っている。寝て試してみると、整形外科で味わった、あのマットレスの感覚。簡単な台付きで味気ないですが、これはシーツのようなもので隠してしまえるので問題ないのです。

幾らだったかな? 私が迷わずに買ってしまったのだから、10万円はしなかったと思う。しかも、低反発の枕までオマケに付けてもらってしまいました。ラッキー♪

日本で買うと、やはり高価ですよね...。



アウトレットショップで購入したベッドが配達された時は、愕然としました。マットレスはペッチャンコだったのです!

遊びに来ていた友達が見て、バカにした顔。やっぱり、安かったから騙されたかな...。そう思ったのですが、だんだんマットレスは厚みを増していって、数日後には20センチを超えるようになりました。

寝心地はすこぶる良いです。1日の3分の1くらいは寝ているわけですから、やはり寝心地が良いベッドに寝たい。


リハビリセンターを退院したときには、シャンパンでお祝い

公立病院のリハビリに移って、寝るどころではない1晩を過ごした私。早朝に見舞いに来た友達は、骨盤骨折をしている人間をこんなベッドに寝かせるなんて飛んでもない、と看護婦さんたちに食いかかっていました。でも、その病院には入れ替えることができる快適なベットがないらしい。

ベッドのことだけではなくて、このリハビリセンターは、私には全く気に入りませんでした。

まず、2人部屋だったのです。お話しをするには遠すぎる向こうのベッドには、足を無くしたせいでしょうが、恐ろしく暗い高齢の女性が入っていて、言葉を交わすには遠すぎる距離というだけではなく、他人となんか話したくないという感じでした。

おまけに、廊下からは「助けて~」という声が聞こえてくる。入っているのは、ほとんど高齢者らしい。暗すぎますよ~!

私の場合、手術したわけではなくて、ただ骨折が固まるのを待っていれば良いわけなので、こんな高度な医療をする病院にいる必要はないのです。

見舞いに来た友人が、別の所を探すと言って帰っていきました。携帯電話がない時代だったので、自宅に戻らないと電話がかけられないのです。

午後になったら、私立のリハビリセンターを見つけたと知らせてくれました。友達の友達が働いているセンターで、個室が良いと言いっていた私の希望に合わせてくれたのです。「空室を作るために、誰か殺しちゃったのかも」なんて冗談を言っていました。

入院2日目の夕方、手配してくれた救急車でリハビリセンターに移動しました。その手続きを公立病院でしようとしたら、入ったばっかりの患者を連れ出すなんて、と文句を言われたらしいけれど、強引に押し切ったのだそう。

救急車に乗ってディジョン市内を突っ切ったのですが、車の中で付き添いをしていた人は、私が窓から見える景色を示して、観光ガイドをしてくれちゃいました。

移った私立のリハビリセンターは明るい雰囲気。自動車事故で両足を失った若い男の子たちは、車椅子で曲芸なんかして楽しんでいる。食事も、素晴らしく美味しかった話しは、もうブログで書いていました。

このリハビリセンターに即座に入れる手筈をしてくれたのは、私からいえば会ったことがあるという程度の女性でした。彼女は私を入れるために無理したでしょうから、退院の時には病院のスタッフにお礼した方が良いと思いました。それで、どうすれば良いかを聞いてみたら、シャンパンでカクテルパーティーをする患者さんがいるとのこと。

「やらなきゃいけないという訳ではないのよ」と言うので、そうする人が多いのだろうなと感じました。それで、シャンパンを1ダース買って持ってきてもらって、病院の冷蔵庫で冷やしてもらう。彼女は、おつまみを用意してくれました。

退院の日、病院の1室で、昼食前に開いた、ささやかなお礼のパーティーです。



さすが、お仕事中のみなさん。そんなには飲まなかったです。用意したシャンパン1ダースは多すぎたので、後日ゆっくり飲んでください、と言って残しました。

こういうセッティングができてしまうというのは、フランスだからですよね。日本の病院やリハビリセンターに、シャンパン・グラスやテーブルクロスがあるなんて想像できません!

ところで、この時に友人が用意したのは、「ジャカール」というメーカーのシャンパンでした。


シャンパンを用意してくれた友達が、なぜこのメーカーを選んだかというのが振るっていました。私は馬から落ちて骨折したので、迷うことなく、ラベルに馬のマークが入っているシャンパンにしたのだそうです。

フランス人って、本当に皮肉が大好き!

とても美味しいシャンパンでしたが、あれ以来、私は飲んではいません。
もう、馬にも乗りたくはないので!

ブログ内リンク:
フランスでも病院食は不味いのかな?. 2016/09/12
★ 目次: ワインの歴史、ワインビジネス、飲酒規制、ワイン文化など


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2018/02/12
写真で見せていただいた扁額に書かれていた「莫妄想」という文字が気に入りました。

禅語で「まくもうぞう」と読み、妄想するなかれという意味だそうです。

幕妄想Maku mozo):
Maku mozo, disait-il, pas d’illusions. Apprenez à toucher la chose réelle, le véritable ici et maintenant, plutôt que de vous raconter des histoires ou de devenir des moines parasites.
- Devenir un homme véritable parmi les hommes. Florilège de citations de Taisen Deshimaru.


紙に書いて書斎に飾りたくなりました。

もちろん私は筆で文字など書けない。額にあったように逆順で書くのがポイントだろうなと思いながら、ワードでタイプして、毛筆風のフォントを選びました。

背景に木目模様を入れてみたのですが、全くしまらない。それで、文字と墨絵を組み合わせようと思いつき、禅宗の絵を探しました。

すぐに気に入った絵が見つかりました。『十牛図』の6枚目にあった、呑気そうな牛が描かれている絵。

それで出来上がったのは、これです。いかがでしょうか?


騎牛帰家(Le retour au foyer sur le dos du taureau)


和紙風の便箋用紙に印刷したら、なかなか良いと我ながら満足。

文字はもう少し小さくした方が良かったな...。画像を作成した原版があるので、いくらでも作りかえることができるのですが、とりあえず書斎に飾ってみました。

外部リンク:
☆ 臨済・黄檗 禅の公式サイト: 禅語「莫妄想」
☆ Wikipedia: 十牛図 » Dix Taureaux
☆ Living Our True Nature: Les Dix Taureaux du Zen
Le dressage du taureau en dix images

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスで感じるキリスト教文化



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2018/01/25
写真アルバムを整理していたら、友人がレジオンドヌール勲章をもらうセレモニーに行ったときの写真が出てきました。10年以上前のことでした。

パリ市庁舎でのセレモニー

レジオンドヌール勲章の叙勲式というのは、いつ、どこで行われるのかは定まっていないような気がしました。でも、勲章というのには私は興味はないので、どういうシステムになっているのかは調べていません。

私が招待された叙勲式は、1月中旬に、パリ市庁舎で行われていました。

Hôtel de ville de Paris

パリ市庁舎は、19世紀後半におこったパリ・コミューン革命の時に火をつけられ、建物の骨組みだけ残る程度に全焼した再建されたものです。パリ市のど真ん中にあるし、目立つ大きな建物なのですが、いかにも19世紀の建築物らしい派手さがあって、私は好きではありませんでした。でも、レセプション・ルームが立派だったのには驚きました。

会場にいた市役所の係の人と話したら、私たちのセレモニーが行われていたときには、他の3つのレセプション会場でも何かセレモニーが行われているのだと言われました。

叙勲式の後は、カクテルパーティーになったのですが、用意されていた食べ物がおいしかったです。それを覚えているのは、この日の昼には、セレモニーに一緒に行く友人と美味しいレストランに行って、たらふく食べてしまったために、パリ市が用意したものをほとんど味わうことができなかったのが残念だったから!



レジオンドヌールをもらった私の友人は学者さんなので、招待されていた彼の友人や知人は気取らない人ばかりでしたし、この時に叙勲式をとりしきったパリ市長さんもリラックスした人だったので、和気藹々として楽しい雰囲気でした。こういう時には、日本ではやたらに儀式ばるだろうな...、と思った。

それにしても、パリ市庁舎が立派なのは印象的でした。友人の奥さんも私もリラックスした服装が好きなのですが、この日もは二人とも、スーツを来て、少しヒールのある靴を履いて正装。それで、セレモニーが終わって引き上げるときには、大きな階段がツルツルして滑りそうなので、私たちは階段の手すりにつかまって歩いた、というのも楽しい思い出でした。


レジオンドヌール勲章は、戦争との結びつきを感じさせる

フランスにある勲章の中では最も価値が高く、外国でも有名です。日本では「レジオンドヌール勲章」と表記するのが一般的なようでした。フランスでの正式名称は「Ordre national de la Légion d'honneur」。

「レジオン・ドヌール」と単語の区切りを入れるべき単語なのに、どうして続けて「レジオンドヌール」にしたのか、私にはわからない...。

切れているのだと受け取ったとしても、「ドヌール」と言われたら、何のことかと思ってしまうではないですか? フランス語を知っていても、それが「honneur(名誉)」のカタカナ表記だとは連想できないですよ。

Légion d'honneur(レジオン・ドヌール)を訳すとしたら、「名誉軍団」?

この勲章の授与は皇帝ナポレオン1世が創設したもので、戦いで活躍した兵士に与えらえる勲章でした。現代では軍隊との結びつきは薄いイメージがあると思いますけれど、発祥を考えたら文化人にも与えているというのは変なのですよね。

1804年、ナポレオンによる初のレジオンドヌール勲章授与の様子を描いた絵画です。

Premiere distribution des decorations de la Legion d'honneur
Première remise de décorations de la Légion d’honneur par le Premier Consul Bonaparte, le 15 juillet 1804, d’après le peintre Jean-Baptiste Debret

このセレモニーは7月15日だったとあるので、フランス革命記念日の翌日ですね。


レジオンドヌール勲章には5等級ある

この勲章には、全部で5つのランクがあります。最上級は、現代では大統領にでもならないといただけないらしいです。順番にいただいて等級を登るのが普通らしいので、下から始めます。

まず、Gradeと呼ばれる等級:
生存している受勲者数
(2010年現在)

5等 シュヴァリエ
Chevalier(騎士)
74,384人

4等 オフィシエ
Officier(将校)
17,032人

3等 コマンドゥール
Commandeur(司令官)
3,009人



その上に、Dignitéと呼ばれる等級があります:

2等 グラントフィシエ
Grand officier(大将校)
314人

1等 グランクロワ
Grand'croix(大十字)
67人

生存受勲者合計:  94,806人

フランス語の名称を見たら、これは軍人に与えられる勲章だとしか思えないですよね?

レジオンドヌール勲章を受勲したと言っても、たいていはシュヴァリエで、せいぜいオフィシエでしょうね。2010年の生存受勲者の数でいえば、この2つの等級を持っている人が全体の96%を占めていることになります。


赤いリボンのルーツ

ところで、赤いリボンは、17世紀にルイ14世によって設けられた「聖ルイ勲章(Ordre royal et militaire de Saint-Louis)」の名残なのだそうです。

 Order of Saint Louis

フランス革命をやった後に作られた勲章なのに、王政時代にあった勲章を真似ているのって、変ではないですか。



la Légion d'Honneur


受勲を喜ぶ人もいれば、拒否する人もいる

レジオンドヌール勲章ができてから今日に至るまでの間、叙勲者の総数は100万人。そのうち現在生きている人は9万人余り。今日では、毎年3,000人くらいが受勲していて、受勲者の3分の1は軍人で、残りが一般人と言う感じなのだそうです。

この勲章を軍隊の人がもらうのには全く抵抗がないでしょうが、そうでない有名人の中には拒否する人たちはかなりいました。フランスでは、誰それにレジオンドヌールが与えられたというニュースより、拒否した方が英雄として大きく報道されるのではないかという気もします。

例えば、ずいぶん昔のことですが、大きく報じられたのは哲学者のジャン=ポール・サルトル。彼はノーベル賞も辞退していました。信条があったら勲章はもらいたくないと主張するのは当然、という気もする。私もやってみたいけれど、ノミネートされなかったらできない!

最近では、ベストセラーになった『21世紀の資本』著者の経済学者のトマ・ピケティが受勲を拒否していました。

「だれに名誉を与えるか決めることは政府の役割ではない」、「政府はフランスとヨーロッパの経済回復に専念した方がよい」というのが彼の理由で、つまり現政権をも批判したのでした。

レジオンドヌールは、立候補して与えられるものではありません。

では、拒否することができるのか、という問題があります。候補になったら普通は本人に事前に知らせられるので、避けることはできるような感じはしました。でも、叙勲者の名前が官報で公開された後には拒否できないのだそう。

トマ・ピケティの場合は、なぜか事前に知らされなかったようです。彼は叙勲したくないと拒否はしたのですけれど、レジオンドヌール勲章のオルドル(騎士団)である叙勲者団体には名前が連ねられているそうです。完全に名前を入れないようにと拒否しようとすると手続きが大変らしいのですが、作曲家のモーリス・ラヴェルはそれをしたとのこと。


日本人も、かなり叙勲している

約700人の日本人が、レジオンドヌールを叙勲しているそうです。

レジオンドヌール勲章を与えられた外国人の中で、日本人は1割を占めているという記事があったのですが、そんなにたくさんいるのでしょうか? 在日フランス大使館のサイトに、ここ数年の日本人の叙勲者の名前が書かれていたので眺めたのですが、多い年では10人を超していました。そんなにいるとは少し驚き...。

追記(2018年2月)
毎年、3,000人くらいのフランス人がレジオンドヌール勲章を受勲していて、外国人の受勲者は約400人いるとのこと。日本人の受勲者が1割を占めるとしたら、毎年40人くらいの日本人が受勲していることになります。

フランス人受勲者は、レジオンドヌール騎士団とでもいうべきOrdre national de la Légion d'honneurという団体のメンバーになりますが、外国人はそのメンバーにはならないそうです。名誉が欲しい人には残念なことでしょうね。

また、外国人の場合は、受勲式をオーガナイズしなくても良いとのことでした。

ところで、レジオンドヌール勲章は、下の等級から順に与えられて昇格していきます。与えられるにあたっては、勤続年数と等級間の年数に決まりがあるのですが、外国人の場合は、この選考基準は例外とされるとのこと。

外国人に与えらえる場合は、グランクロワは国家元首、グラントフィシエは首相クラス、コマンドゥールは大臣クラスが主な対象になるので、叙勲者数は極めて限られます。シュヴァリエ、オフィシエ、コマンドゥールが与えられる日本人は、日仏間の経済や文化交流の発展への功労者などが理由になるようです。

日本人がレジオンドヌール勲章をくれると言われたら、名誉だと思って、拒否はしないのではないでしょうか?

経済界の大物たちと付き合いが多い日本の友人は、あるとき私に言いました。レジオンドヌール勲章をもらえるなら大金を払うという日本人が多いので、叙勲を進める仕事をしたら儲かるよ、と。

フランス政府を喜ばせるような大金の寄付をするとか何とかして、勲章を与えるのに力がある人にコンタクトするとか、方法はあるのではないかという気もします。ノーベル賞だって。裏側は何か怪しげですから。でも、そういう仕事をして金儲けはしたくないですよ~。

フランスと同じように受勲を拒否した日本人がいたのかなと調べてみたら、面白いことを発見。

作家の大江健三郎は、文化勲章を拒否していました。「私は、戦後民主主義者であり、民主主義に勝る権威と価値観を認めない」というのが理由。これは、レジオンドヌールを拒否したフランスの芸術家や学者たちと同じような言い方ですね。

ところが、大江健三郎は、ノーベル賞も、レジオンドヌール勲章も、もらっていたのでした。つまり、外国からいただく分には抵抗がない?

しかも、フランス政府が彼にレジオンドヌール勲章を与えたのは、当時フランスの核実験に反対の姿勢をとっていたことを宥めようという下心があったらしいのです。そういう受勲をフランスでやっていたら、面白いニュースだとしてマスコミから叩かれたのではないかな...。

日本人は外国人から認めてもらうのが好きなのだ、というのを感じるエピソードでもありました。もっと自信をもってもらいたい...。


フランスらしいと思った演出

友人がレジオンドヌール勲章をもらうからとセレモニーに招待された時は、彼の学者としての仕事に対する功績なのだろうと思ったのでしたが、実際には彼が戦時中にしたレジスタンス活動に対する功績ということになっていました。この勲章の性格からいって、それなら友人が抵抗せずに受けたのも分かる気がする。

レセプション会場に行ってみると、友人の首に付けるらしき勲章が飾ってありました。



ビロードのクッションの上に置かれた勲章。とてもフランス的なセンスの良さを感じた演出でした。お花を添えていますが、こういう風に寝かせてしまうのも面白い。花瓶に花を活けているよりバランスがとれるかな...。

クッションの横に、勲章を与えるという文書がありました。友人が誰だったのかを勝手に公開するのは気が引けるので、書いてある文字はぼかしています。

このセレモニーに行ったときには、受勲した友人夫妻とのおしゃべりの中で、面白い話をたくさん聞きました。例えば、叙勲式が1週間前に迫ったとき、勲章がないことに気がついた、というお話し。結婚式のための結婚指輪がなかったというのと同じ?

それを続きで書きました:
レジオンドヌール勲章をもらうメリットは?

外部リンク:
Grande chancellerie de la Légion d'honneur
Wikipedia: Ordre national de la Légion d'honneur » レジオンドヌール勲章
在日フランス大使館: フランスの勲章 | 叙勲 | レジオン・ドヌール勲章
Weblio辞書: レジオンドヌール勲章 - 勲章の拒否
レジオンドヌール勲章への叙勲を拒否したフランス人経済学者
仏レジオン・ドヌール勲章 外国人叙勲の1割が日本人の事実
本当のことを言おうか:勲章の話
La grande chancellerie: La légion d'honneur en 10 questions
Le Monde: La Légion d'honneur en 5 questions
☆ L'histoire par l'image: Création de la Légion d'honneur

内部リンク:
ちょっと怖いな... 最近の日本礼賛ブーム 2015/03/01



Musées - La Légion d’honneur en son Palais


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2017/09/04
最近、テレビの番組で映し出されるバスク地方やピレネー山脈の美しさに惚れぼれしています。


Besiberri en Catalogne : paysage typique avec petit lac et vallée suspendue

ピレネー山脈は、アルプス山脈より美しいと思う。アルプスは観光地化され過ぎているし、人間の手が入り過ぎていて、自然の壮大さを余り感じないのです。

ネパールを旅行してヒマラヤを眺めたときには、この山には神秘的に感じさせる何かがあると感じたのですが、ピネレーも似たものを感じます。

バスク地方は、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラまでフランスから旅行した途中で少し観光しているのですが、テレビで映し出される雄大な風景は見ていません。最近は大きな旅行をしなくなったのですが、旅行をたくさんしていた時代に、バスク地方に1カ月くらい滞在する旅行をしたかったな...。

バスク地方は、ヨーロッパの中で、人種的にも、言語の上でも特異な存在なのだそうです。そこの住民は、なぜか日本人に通じる感性があるように感じています。

バスクのスペイン領と、フランス領の、それぞれ1人ずつ知った男性から受けただけの印象なので、勝手な感想ではあります。でも、この2人に共通しているのは、自分のことより相手の気持ちを第一にする優しさがあることです。自分本位な考え方をするのが普通のフランス人を見慣れているので、余計にそう感じる。そういえば、日本人を高く評価したフランシスコ・ザビエルもバスク人だった。


バスク十字

故郷がある人は羨ましいと思う。私の故郷は東京ですが、これは「ふるさと」と言うものではない。日本にいるときにフランスのことを思うと、ブルゴーニュの美しい風景や、笑いころげる友人たちとのひと時のことが浮かんで、帰りたいという気持ちになります。でも、フランスにいるときに東京のことを思っても、殺伐とした風景しか思い浮かばないので、ホームシックなんかにはなれません。

数年前にブルゴーニュに引っ越してきたバスク出身の友人は、バスク地方への愛着にどっぷりと浸っています。先日、彼らの家に行ったとき、バスク地方のリキュールを出してきました。

このお酒については、すでにブログで書いているので省略:
「イザラ(星)」という名前のバスク地方のリキュール 2014/08/17

このリキュールを飲んだら胃の痛みが消えたと私が言ったので、よく出してきてくれるようになりました。甘いお酒を飲むのは余り好きではないのだけれど...。

故郷に帰ったときにボトルを買ったら、グラスのおまけが付いていたらしい。そのグラスに描かれている模様の説明をしてくれました。



フランス人たちは、このデザインが何かに似ているというのを知っているようでした。私には何でもない模様に見えたのですけど...。

バスクを象徴する模様で、バスク語でlauburuラウブル)と呼ぶのだそうです。

少し前にプレゼントしてもらったのでかぶっていった私のベレー帽を並べて記念撮影。



なぜか、バスク十字はナチスのハーケンクロイツという紋章と似ているのですね。

右と左が混乱するという欠陥を持っている私。フランス人の方がちゃんと知っていて、ヒンドゥー教のマークもナチスのと同じ方向で描かれるけれど、日本の地図で寺院の地図マークに使われるのはこれだ、と書いてくれました。

おさらいをしてみます。

バスク十字(ラウブル)
ハーケンクロイツ
ヒンドゥー教 万字
五つ割右万字
まんじ
寺院の地図記号

弘前市 市章


ナチスが使ったハーケンクロイツを見るとゾッとしますが、日本のとは鉤十字の方向が逆なのですよね。でも、バスク十字はハーケンクロイツと方向が同じなのでした。

プラド美術館に展示されているゴヤの絵にも、バスク十字が描かれています。

Marquise of Santa Cruz
サンタ・クルス侯爵夫人ホアキナ・テリェス=ヒロンの肖像、フランシスコ・ゴヤ画
La lyre de Joaquina Téllez-Girón, Marquise de Santa Cruz par Francisco Goya



日本の地図で「卍」で寺や寺院を現すようになったのは、明治13年(1880年)でした。「卍」は、サンスクリット語で「スヴァスティカ」と呼ばれ、吉祥の印。仏教でも「幸せ」、「めでたい」という意味を持っているのだそうです。

とすると、ナチスとバスクは逆を向いているから、めでたくないシンボル?! ナチスはそれで良いけれど、バスクの人に言ったら怒られそう...。


日本はナチスに寛大な国

バスク十字について教えてもらったのは4カ月前のことなのですが、それをブログに記録しておきたいと思ったのは、麻生太郎副総理兼財務相の発言のニュースを見たからでした。

「(政治家は)結果が大事なんですよ。いくら動機が正しくても何百万人殺しちゃったヒトラーは、やっぱりいくら動機が正しくてもダメなんですよ、それじゃあ」

この発言はフランスでもニュースになっていて、次のように翻訳されていました。

Même avec de bonnes raisons, Hitler, qui a tué des millions de personnes, n'était pas un bon responsable politique.

麻生氏は、2013年にも、憲法改正論に関して、ナチス政権の「手口を学んだらどうか」などと発言していました。後に「ナチス政権を例示としてあげたことは撤回したい」と述べたのですが、また出してきちゃった。

このときの発言は、こんな風に訳されていました:

La Constitution de (la république de) Weimar a été discrètement remplacée par la Constitution de l'Allemagne nazie: pourquoi ne pas s'inspirer de leur tactique?

こちらの発言の方が凄みがありますね。

よほどヒトラーがお好きなのでしょうが、先進国ではユダヤ人虐殺したナチスを礼賛するのはタブーなので、外国向けには政治家として自粛すべきだと思うけれど...。


日本ではナチス関係のグッズが普通に販売される

ル・モンド紙の日本特派員が書いた記事に、日本の戦争グッズを売る店ではナチス関係のグッズも売っていると書いてあった、と友人から言われたのは2年前のことでした。

フランスやドイツでは、ナチスやヒトラーを想起させるもの販売は禁止されているのだそうなので、フランス人を驚かせることだったようです。でも、ドイツにはネオナチがいて、あの人たちはそういう服装をしていたのではなかったでしたっけ?...

日本では自由にナチスグッズが販売されていると言われたのだけれど、本当に売っているのだろうかと思って、ネットショップで商品を検索してみました。

ある、ある。幾らでも出てきました!:
「ハーケンクロイツ ナチス ヒトラー」をキーワードにした商品検索結果




東京五輪で外国人向けの地図を作るにあたり、お寺を示す記号を卍にすると誤解を招くので別のマークにしようという案がありましたが、卍のままにすることにしたようです。私も外国人向けに変えることはないと思う。日本に来たら、すぐに覚えるでしょうし、面白がるはずですから。

でも、ナチスやヒトラーを想起させるグッズを身に着けている人が町を歩いていたら、外国人は仰天するだろうな...。

どのくらい売れているのだろう? 私は日本でも、ナチスやヒトラーを想起させるものを身に着けている人は見たことがないように思います。

... そう思ったら、いらっしゃったのでした。しかも、NHKに登場している!


【堀江貴文氏・ヒトラー?】NHK謝罪 ホリエモン、ヒトラー?柄のTシャツで生出演 ネットは騒然!


この方も、ヒトラーがお好きなのでしょうね。ヒトラーと同じタイトルの本を出していらっしゃいますし。ビジネスセンスにたけた方なので、ヒトラーの絵があるTシャツを着て反感を抱かせることも宣伝になるという思惑もあったのだろうと思います。この手法は、ベネトンがよくコマーシャルでやっています。


我が闘争 (幻冬舎文庫) 堀江 貴文


ヒトラーの著書『Mein Kampf(我が闘争)』は、フランスで話題になっていました。2015年の年末をもって70年の版権(著作権)が消滅し、誰でも『我が闘争』の出版が可能となるというというニュースでした。

ところが、そのときに知ったのですが、日本はこの『我が闘争』を自由に出版してきていた数少ない国のひとつだったのです。

戦前にはドイツと日本は同盟国だった関係から、初版発行から7年後の1932年に抄訳版『余の闘争』が出版され、その後も次々と注釈を加えた新版を発行してきたとのこと。戦後も、1973年に角川書店が文庫版で新たな翻訳本を刊行。さらに2008年には、漫画版『わが闘争 (まんがで読破)』が出版され、発売から半年で45,000部の売り上げを記録したそうです。

日本人は独裁者が好きなのでしょうかね。

ナポレオンも、フランス人よりは日本人の方が好いている感じを受けます。彼にはヨーロッパ諸国を開放した功績がある、とまで思っている日本人に出会ったこともあります。ナポレオンは侵略しただけですよ。おまけに戦争ばかりしていたから、フランスの人口は減ってしまったし、畑で使う作業馬まで没収したので農業を衰退させています。

外国人を驚かせた麻生太郎副総理の発言は、独裁者が好きな人たちが日本にはいるから、喜ぶ人たちもいると分かっていてやっているのかもしれない。としたら、写真にヒトラー髭を書き込まれたお仲間の方が、名誉棄損だと怒ることもないと思いますけど...。


ブログ内リンク:
★ 目次: 右と左の違いが気になる
★ 目次: 戦争、革命、テロ、デモ

外部リンク:
☆ Wikipedia: ラウブル » Croix basque
エハン・デラヴィの十字架の研究 ⇒ 「バスク十字」と「カギ十字(卍)」・・ヨーロッパ先住民族の十字マーク
謎に包まれた民族!? スペインとフランスにまたがるバスク地方に生きる『バスク人』とは
☆ Wikipedia: ハーケンクロイツ » Croix gammée nazie
☆ Wikipedia: 卍(まんじ) » Svastika
日本のお寺やナチスの党章などに使われる「卍」マークの意味
なぜ地図記号「寺院」は「卍(まんじ)」なの?
麻生副総理「ヒトラーの動機は正しかった」発言は本音! 安倍自民党に蔓延するナチス的価値観
麻生氏「ナチス発言」、揺れる大手新聞報道 最初は問題視せず、後から大きく取り上げる 2013/8/29
<麻生太郎氏>ヒトラー発言撤回 釈明と反論も展開
ヒトラー発言に米怒り 麻生副総理は経済対話で大幅譲歩も 2017/08/31
ヒトラーがブーム! でも「我が闘争」が読めるのは日本だけ!? 2014.07.20
L'Express: Japon nouvelle bourde du vice-premier ministre sur Hitler
Le Figaro: Japon: bourde du vice-premier ministre sur Hitler 30/08/2017
Le Monde: Au Japon, le nazisme s’affiche toujours librement 14.10.2015


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カテゴリー: 日仏の比較 | Comment (5) | Top
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2017/08/20
何カ月も前のことですが、インターネットで検索していたら、こんなのは意味がないと思える心理テストに出会いました。

洗脳されやすいか、騙されやすい性格かどうかの心理テスト

人に教えてもらった道を歩いていても目的地にたどり着けなかったら、どうするかという質問です。そういうのは、日常生活でよくあることですよね。


洗脳されやすさがわかる心理テスト あなたのメンタル面の落とし穴はどこ?

私なら、迷わず別の人に聞いてみます。始めに聞いた段階で、そっちの方向ではないはずだと疑ったら、その人の姿が見えなくなったところで、他の人を捕まえて聞いてしまいます。

他に聞く人がいなかったら、いつまでも探さないで、行くのは諦めるかな?...

フランスの田舎を旅行していると、牧場には家畜はたくさんいるけれど、人間は全くいないということが多いです。友人の車に乗せてもらって百キロくらい走ったとき、暇なので人間の姿を何人見るかと数えたことがありました。家畜の姿は数え切れないほど見えるし、車とも少しはすれ違いましたが、人間が歩いているのはちっとも見えないのでした。ですので、スマートフォンでGPSを使えなかった時代は、観光していて行きつけなくて諦めたことがたくさんありました。

人に教えられた場所を信じないというのは、フランスで私が受けた悪い影響かもしれないとも思います。フランス人たちは、聞かれたら何でも良いから答えなければならないと思うらしくて、いい加減な返事をされた苦労を味わっているのです。知りません、分かりません、と答えるのが嫌いだという国民性なのか、フランスの不思議と思っている局面の1つです。

初めにそれを感じたのは、フランスの大学に留学した時のこと。必要な事務手続きをする部署は何処かと聞くと「あっち」と答えられて、そちらに行くと、さっき行ったところが担当だと答えられる。それで、広大な大学のキャンパスの中を行ったり、来たりということになりました。フランスに留学した人たちは、皆さんがご経験なさっているのではないでしょうか?...


洗脳されやすいかどうかの日本の心理テスト。教えられた道を歩いて行っても目的地が見つからなかったら、別の人に聞いてみるというのは誰だってそうすると思ったので、このテストは馬鹿らしいと思いました。それを話すために、日本の友人にこのテストを入れているURLを教えて回答を選んでもらいました。

すると、「もう少し探してみる」を迷わず選ぶと答えたのです。驚きました。私は無駄かも知れないと思えることを続ける根気なんかは、全くないですから...。

その人はとても真面目な男性なのでした。勉強して資格を取るのが好きらしくて、あちこちに高い研修費や受験料を払っているので、私は呆れていました。パソコンの使い方の研修も、彼は何十万円も支払っていたと思う。私は何もお金をかける勉強はしていませんが、その人よりは遥かにパソコンを使いこなしています。

実際、彼のパソコンがおかしくなったときには相談してくるので、直し方を指導しています。今はインターネットで情報を発信している時代なので、知りたいことはほとんど全て回答を見つけることができるのです。その前の時代は、パソコンも単純なシステムなので、色々やっていれば解決してしまうのでした。

国家試験とか、定評のある検定試験ならともかく、そんな小さな組織がくれる資格なんて意味がない、と言ったこともあります。

私もフランス語関係では、就職に有利なように、仏語検定試験(自分の実力が分からないからと下のレペルから受けていくと受験の費がかさむので、いきなり1級を受けてみた)や、パリ商工会議所の仏語認定試験などを受験しましたが、全て1発で受かったのでお金の無駄遣いはしていません。合格してしまうと、さらに勉強して頑張ろうという気がそがれるわけなので、資格獲得を勉強のモチベーションにしようとするのは無意味だと思いました。

教えてもらった道で探し続けると言った友人は、どういうわけなのか、何度も何度も資格試験で不合格になるのです。それだけ落ちたら、もう止めようと思っても良いと思うのに、そのたびに研修を受けなおしています。つまり、すごくお金をかけている! その資格を与える組織は、受験費や研修費を稼ぐために、わざわざ何回も受験しないと合格させない悪質な事業をしているのではないか、とケチをつけたこともあるのですが、彼は諦めないで勉強を続けるのです...。


上に挙げた心理テストで、あくまでも教えてもらった道を歩いて探し続けると答えた人は、洗脳されやすさが90%で、最も洗脳されやすいタイプとなっていました。私が選んだ答えだと10%で、最も洗脳されにくいタイプだという診断。

私は疑り深い性格だと言われると、そうかも知れないと思います。フランス人から何か教えてもらっても、その後にはたいていインターネット情報で本当なのかを確認していますので。

同類の性格診断テストは他にもあるので、少しやってみました。少し騙されやすいタイプだという結果も出たのですけどね。いずれにしても、こういうテストというのは、かなりいい加減なものだと思っています。あぁ、やっぱり私は疑い深い性格なんだ!...

これは母親ゆずりかもしれない。母のところには、息子だと名乗るオレオレ詐欺の電話が1度かかって来たそうで、相手に「どちら様ですか?」と答えたら、すぐに電話を切ったのだと聞きました。

日本では、オレオレ詐欺とか振り込め詐欺とか言われて久しいのに、相変わらず被害が出ているのだから不思議でなりません。そもそも、即座に出してこれる大金を持っているのがいけない、とも思うのですけど...。フランスでも振り込め詐欺があるというフランスの記事を読んだことがあるのですが、詐欺の対象にされているのは個人ではなくて、会社なのでした。せしめられたお金は中国に送金されている、という内容...。


マスコミ報道の「鵜呑度」を国際比較

一般的な日本人は善良で、つまり私のようにへそ曲がりではなくて、何でも信じてしまう人が多いかな、という印象は受けています。

調べてみたら、それを裏付けるデータが出てきました。

マスコミ報道の「鵜呑度」を国際比較調査があって、報道をそのまま信じる割合が日本は先進国の中ではダントツなのでした。

報道をそのまま信じる人の割合は、イギリスが最も少なくて、14%。
フランスは、第5位で35%。
日本は、なんと、70%!

イギリスがトップには変人が多いと感じているので、当たっているかなという気はします。

フランス人は「我が道をいく」という感じの生き方をしているように見えるのですが、意外にも、聞いたことを単純に信じる人たちが多いので、鵜呑み度がイギリスの倍になっているのは当たっているかもしれない。

先日は、友人がしでかしそうになった失敗が面白かったと話していたら、そういうことを知人たちに話したら、尾ひれがついて、本当におこったことだという噂になってしまうから口外するな! と本人から止めを刺されました。

そうかも知れないな...。私は疑り深いけど、自分が言ったことを悪くとられるという防備は全くしていない...。


マスコミ報道鵜呑み度の各国比較のデータに私がぶつかったのは、こちらの動画でした。


マスコミ報道鵜呑度 日本人70%、 英国人14%  青山貞一 


マスコミ報道の鵜呑み度についての調査結果を文章で詳しく紹介しているのは、こちら:
検証:世界で最も「情報民度」が低いのが日本人である! 青山貞一

お話しをしているのは、環境相互研究所の青山貞一氏

日本人が言われたことを信じやすい国民性を持っているというのは、良いことなのか、悪いことなのか?....

内部リンク:
庭園に入ることを許可していた親切な城 2017/06/11

外部リンク:
☆ 心理テスト: もしかして騙されやすいタイプ?
【錯覚テスト】あなたは騙されやすい?錯覚テストで自分診断
騙され度診断テスト性格編Ver1.0
【イラスト性格診断】「あなたが道を聞くならどんな人?」
なぜ男性は人に道を聞かないのか?その理由が科学的に解明される(米研究)


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カテゴリー: 日仏の比較 | Comment (4) | Top
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2017/08/09
トランプ氏のアメリカ大統領就任演説の中に、こういうフレーズがあったことをブログで書いていました(肌色って、どんな色?)。

Whether we are black or brown or white, we all bleed the same red blood of patriots.

トランプさんは好きではないけれど、人種に係わらず、みな赤い血が流れている、とは上手い表現をするなと思いました。これはありふれた例えなのかも知れないけれど。


ヘモグロビンとヘモシアニン

人間の血が赤いのは、赤血球の中で酸素の運搬をつかさどる色素「ヘモグロビン」には鉄分が含まれているから。 鉄分の代わりに銅を用いた「ヘモシアニン」だと、血液の色は青く見える、ということなのでした。


ヘモグロビン
(Hémoglobine)
Hemoglobin
ヘモシアニン
(Hémocyanine)
Hemocyanin


動物の中には、ヘモシアニンの青い血が流れているものもあるのだそう。静脈血は無色透明なので青くは見えないけれど、エビなど節足動物や、イカなどの軟体動物にある。

そう言われてみると、「ブルゴーニュのエスカルゴ」と呼ばれる品種のカタツムリは、かなり青っぽく見えると思っていたのでした。これもヘモシアニンに由来しているそうです。


Escargot de Bourgogne(Helix pomatia)


貴族の血は青い

人間の血が赤いというのは常識なのに、フランスには「青い血を持っている(avoir du sang bleu)」という表現があります。

貴族の血筋を引いている、つまり、高貴な出である、という意味。つまり、やんごとなきお方だ、という時に使います。

貴族だからといって血が青いはずはありませんから、変な表現ですよね。

青い血の動物もいることを考えたら、名誉なことではないはず。貴族はエスカルゴと同類とか?... でも、「青い血を持っている」というのは貶し言葉では全くないのですから、この表現ができたときにはヘモシアニンを持った動物がいることは意識していなかったはず。

bleu roi(ロイヤルブルー)というのがあるので、それかなと思ったのですが、そうでもないらしい。

bleu roi
#318CE7


「青い血(sang bleu)」というのは、静脈の色なのだそうです。友人が腕の静脈を示して「青いだろう」と言う。なるほど...。

フランスだけではなく、ヨーロッパ諸国では高貴な出のことを青い血と表現するようです。これはスペイン語で「sangre azul(青い血)」から来ているという説もありましたが、どうなのかな...。


静脈が青いのだとするのなら、誰でも同じはずですよね。なぜ貴族の血は青いと言うのか?

貴族は外で肉体労働をするわけではないから、肌が白い。それで、静脈の青さが引き立っている、という表現なのだそうです。

フランスの17世紀、18世紀の貴族たちがやたらに顔を白くするのが流行っていたような気がします。つけぼくろを付けるという変な流行もありましたが、これも肌の白さを際立たせるためにしていたのでした。




「sang bleu(サン・ブルー)」とは静脈が青いことから来た表現だと教えてくれた友人は、こういう言葉もあるけれど知っているかと聞いてきました。

palsambleu(パルサンブルー)

知らない。でも、この単語は仏和辞典にも入っていて、こんちくしょう、やれやれ、という訳語になっていました。

フランス情報では、par la sambleuともいい、par le sang de Dieuの変形だと書いてありました。

こういう罵倒言葉は外国人の私は使わない方が無難だと思っているので、教えてくれたって役には立たないのですけど...。


赤い血が流れている静脈だけれど、肌の上からだと青く見える?

考えてみると、赤い血が流れている静脈が青く見えるのは不思議。

人体の血管の絵を見ると、動脈(心臓から出る血液が流れる血管)は赤く、静脈(心臓に戻る血液が流れる血管)は青く描かれていました。



でも、動脈だろうと静脈だろうと、血液は赤いはずではないですか?

肌を通して見える血管は青っぽく「見える」ということのようです。それを実験して見せてくれるページがありました。

☆ 肌色絵の具と赤ボールペンで、「赤い血が流れる静脈が青く見える理由を実感してみよう!

本当だ。水に溶かした肌色の絵具の中に赤いボールペンの芯を入れると、静脈のように見えるのでした。私は絵具を持っていないので実験できないのですが、白い絵具を使ったらどうなるのかな?... 青さが際立つ?


あらためて自分の腕に浮き出ている静脈を見ると、少し緑色がかった青に見える。青か緑かといったら、私は緑色と言いたくなる...。

友人に見せて、これは何色かと聞いたら「青だ」と言う。私の静脈と友人のを比べてみると、私のは少し緑色っぽいような気がしないでもなかったのですけど...。

黄色人種だから、青ではなくて緑色なのかな?... と真面目に思って言ったら、大笑いされました。

私が黄色と言われるのが嫌いなのを知っているので、よくからかわれるのです。自分から黄色をもちだしたら笑われて当然!

先日も、近所に住む友達が家庭菜園でとれた野菜をくれると言ってきたとき、黄色いズッキーニもいるかと聞かれて「欲しい」と答えたら笑われてしまった。

黄色人種と言うけど、日本人の肌は黄色いわけでないとフランスの友人たちは分かっているから面白がるのです。特に私の体には色素が不足しているらしくて、日本人にしては肌が白くて、余り日焼けもできないのです。そしてフランス人は、北欧の人たちのように白くはない。友人と日焼けしていない肌を比べると、私の肌の方が白くさえ見えます。

ところで、日本でも、静脈の色は青と表現するのでした。

「青筋を立てる」という表現もある。これは怒ったりしたとき、顔面に静脈が浮き出ることから来ているのだそう。

顔が青ざめているとか、青白いと言う表現もあった。フランス語だと、色が薄いという意味で「pâle」と表現されて、青とは関係ないのですけど。

黄色人種の日本人の静脈が青いとしたら、貴族たちが色白だから静脈が特に青いという表現は当たらないような気がするのですけれどね...。


ステーキの焼き加減にも「ブルー」がある

血が青いという表現が存在するわけですが、ステーキの焼き方にも「ブルー」がありました。

肉の両面をさっさと焼いた状態で、レアよりも生焼けのこと。

いくら焼き足りなくても、肉が青い色をしているはずはないし、静脈が見えるというわけでもないでしょうから、奇妙な表現ではないですか?!

ステーキの焼き加減に関するフランス語の表現:
  • bien cuit  ウェルダン(64度)
  • à point  ミディアム(59度)
  • saignant  レア(52度)
  • bleu    超レア(45度)
※ カッコ内は、焼き上げたときの肉の内部の温度として記載されていたものです。


フランスのレストランでステーキを注文すると、どう焼いて欲しいかと聞いてきますが、ブルーと答えていた人は記憶にありません。よく焼いていないのが美味だとする人たちは、saignant(セニャン)と言うことが多いと感じています。私も肉は硬くなっていないのが好きなので、牛肉や鴨肉の焼き方を聞かれたときには「セニャン」と答えています。

フランスでは基本的な4種類の焼き加減を見せる動画がありました。


Comment faire cuire de la viande rouge ?


貴族の血が青いというのは、フランス情報でも、日本語情報でも、たくさん出てきたのですが、ステーキの焼き方で「青い」と表現する理由の方は見つけるのに少し苦労しました。

なぜ「ブルー」と表現するのかといえば、酸素との関係だそうです。

真っ赤な肉が、酸素に触れると少し青がかって見える。分厚い生肉を切ってみると分かる、というフランス情報の説明がありました。


熟成肉は何色?

肉が青っぽく見えるのは、古くなってときのような気がしていたのだけれどな...。

時々、肉屋で熟成させた牛肉を売っていることがあります。特別な方法でエージングさせるそうで、普通の肉よりかなり高い値段で売られています。それを好む食通がいるのですが、変色しているので私には美味しそうには見えないのですけど。

そういう牛肉は、 bœuf rassi(硬くなってしまったパンに対する形容詞)、あるいはbœuf maturé(熟成したという形容詞)と呼びます。

どんな色の牛肉なのか、フランスの肉屋サイトに入っている写真を見てみました:
Le bœuf maturé

青いというより、黒ずんでいるという感じかな?...

熟成させた牛肉は、日本では流行っているような感じがしました。でも、色は長期保存していないのと同じように赤いように見える...。



ビーフの熟成肉には、ウェットエージングとドライエージングがあるのだそう。フランスで見るのは、正に「ドライ」と呼ぶのにふさわしい感じに見えるのですけれど、分からない...。ともかく、フランスで売っている熟成の牛肉の見た目だったら、日本では買いたい人はごく限られるだろう、という気はします。

ブログ内のリンク:
肌色って、どんな色? 2017/03/03
★ 目次: 色について書いた記事
★ 目次: エスカルゴについて書いた記事
★ 目次: 肉牛(シャロレー種など)、牛肉など牛に関する話題

外部リンク:
青い血 (あおいち)とは【ピクシブ百科事典】
青い血が流れる生物ベスト12
Pourquoi voyons nous nos veines bleues ?
「赤い血」が流れてるはずの静脈が「青く」見える理由(納得したい人向け)
Bleu, les expressions
☆ Langue-fr.net: Sang bleu
Recette et remède de grand mère: Sang bleu
☆ 青い血の系譜
美白の化粧文化史: ヒートアップする、白い肌熱
☆ Wikipédia: Bleu roi
À points de cuisson : bleu, saignant, à point, bien cuit
Viande bleue, sang bleu ?
☆ Le Guichet du Savoir: Pourquoi dit-on bleue pour une viande
お肉の焼き加減と種類について
レアやミディアムだけじゃない!?まだまだあるステーキの焼き方の種類とは
熟成肉、ブームはいいけど間違った方向に進み始めている
ドライエイジングビーフの作り方 - 知ろう!本物のドライエイジングビーフ
Bon sang ! / Palsambleu !


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2017/08/03
フランスの魚屋さんで日本人の私が刺身にする海産物を買い物をすると、店の人は格別喜んでくれます。日本人は魚をたくさん食べることで知られていて、特に生で食べられるものを日本人が選んだ店だ、ということで名誉に思うらしいのです。

「皆さん、見てくださいな♪ うちの海産物は質が良いから、日本人が買いに来るんですよ~♪」という宣伝になる?

正直言って、魚について知識に関して、私は日本人としては恥ずかしいほど無いのです! 魚偏の漢字も、ろくに読めません...。でも、せっかく日本人が選んだ店というのを誇りに思ったらしい魚屋さんをがっかりさせないために、さも分かっているような顔で買い物をしています。

でも、私でも、ある程度は魚の鮮度を見分ける目を持っていると思う。切り身の艶の具合とか、魚の目つきとかで、これは刺身にはできないという判断ができます。

フランス内陸部では、海産物を食べる習慣が余りありません。ブルゴーニュで最も大きな都市ディジョンでさえも、魚屋さんは1県もありません。海産物を手に入れたかったら、朝市かスーパーマーケットに入っている店に行くしかない。子どものときから魚より肉の方が好きだった私には不便を感じないけれど、魚が好きな日本人だったら辛いだろうな...。

東京には料理が得意な友人がいて、彼女が作った魚料理は絶品だと毎回感心するので、私は魚が嫌いなわけではないと思う。でも、食べ方も下手。友人たちと魚料理を食べ終わったとき、みんなの皿には骨くらいしか残っていないのに、私はいっぱい残っている。「あなたは魚の食べ方を知らない!」と呆れられています。


フランス式? 魚の下ごしらえ

フランスでも、優れた魚屋さんはあります。刺身にするための鯛を3枚におろしてもらうときに技量が分かりますが、よく切れるナイフを使っていて、みごとに皮まで剥いてくれます。



これは、カメラを向けたからおふざけのポーズをとってくれた場面ですのでご心配なく!

フランスの魚屋さんで丸ごとの魚を買うと、どのようにするかと聞いてきます。鱗を取るか、臓物を出すだけにするか、3枚におろすか、ということ。

バーベキューにするならウロコは付けたままにした方が良いのだ、とフランスの魚屋さんは言います。日本情報の方が信頼できると思うけれど、確認したことがありません。


前回の日記「魚料理を作るのが苦手」で、ヨーロピアンシーバスを買ったことを書いたのですが、2回目の時には少しイラッとすることがありました。

オーブンで魚の丸焼きにするつもりだったので、鱗と内臓を取り除いてくれるように頼みました。鱗をそいで、腸を出しているのを確認してそっぽを向いていたら、ヒレをハサミで切り始めているのに気がついて慌てました!

そうだ、そうだ。ちゃんと言わないと、フランスの魚屋さんは、ヒレと尻尾を切ってしまうのでした。しばらく行きつけの魚屋さんでしか買っていなくて、店の人は私の好みを覚えているので、ヒレと尻尾は切らないように言わなくても良かったのでした。

ヨーロピアンシーバスは、こういう魚です。ヒレや尻尾がちゃんとありますが、これを全部切ってしまった魚の丸焼きをどう思われますか?


Bar commun

私は魚の姿焼きにするときには、ヒレや尾には塩をまぶして、わざわざピンと立ち上がるようにします。プロの人は、魚を串刺しにして、まるで魚が泳いでいるみたいな姿にしますよね。囲炉裏に串刺しの小魚を立てたりするのは、見ただけで食欲をそそらせると思う。

私にとって、頭と胴体だけになった姿の魚というのは最悪。気持ち悪くて食欲が減退します。どうせ死んでしまっているわけだけれど、いかにも死体に見えるのだもの...。

魚屋さんが背ビレをハサミで切り出したのに気が付いたので、私は大声でストップをかけました。そのままいったら尻尾も切られてしまうでしょうから。

すると魚屋さんは言葉を返してきました。

背ビレは取り除くものなんだ。

食べる時にナイフとフォークで魚を切り分けようとするとき、背ビレがあると邪魔になって上手く切れないのだそう。

そういう風に魚屋さんの学校で教えられるのでしょうね。その説明を長々してきて、魚を持った手を放してくれない。こちらが切らないでと頼んでいるのに、説得して切ってしまうつもり?

私は手足を切られたみたいになった魚は嫌いなのだ、と頑張る。やっと妥協してくれました。こんな頑固な魚屋さんって初めて。普通はお客が望むようにしてくれるのに...。

刺身用に鯛を3枚に下してもらったときには、頭と骨はスープにするので捨てないでと言うのですが、頭の部分が美味しいというのはフランスの魚屋さんたちは全員が知っているように思いました。彼らは、お客の注文で魚をさばいていると、頭の部分は惜しげなく床に置いてあるゴミ箱に入れているのですけれど。

フランスの魚屋さんには、日本で魚の丸焼きにするときには、ヒレも尻尾も切らないのだ、と言っていたのですが、頑固な魚屋さんに会ったら、私が間違っているかもしれないと不安になりました。どうせ嘘だったとしても、彼らは調べようもないでしょうから、どうでも良いのですけど。


私が間違っているのかな?...

フランスで魚が丸ごと出る料理では、みんなヒレは取り除いているかな?... フランス人は魚を加熱し過ぎるが好きではないので、よほど良いレストランに入ったときでないと魚料理は注文しません。海産物を食べる習慣があるはずの海岸部に行っても、美味しいと思う魚の料理をしているレストランは珍しいくらいだと感じています。

イタリアでは、魚はアルデンテで私好みの調理をするので、イタリアに行ったときはよく食べるのですけれど。

写真アルバムで、過去にフランスで食べた魚の写真を探してみたら、丸ごとという姿のものが1枚もないのでした。そうか... 大きな魚を持って来たときには、お給仕の人が切り分けてくれるから、魚にヒレが残っているかどうかが分かる写真などはないのでした。

例えば、前回の日記で書いたヨーロピアンシーバスをレストランで食べたときの写真は、こちら ↓



フィレになっている。この料理の名前では、皮付きのグリルと書いてありました。皮があると気持ち悪いと嫌うフランス人客もいるから但し書きにしていたのではないかな...。


魚料理を作るのが苦手」で書いたのはヨーロピアンシーバスのオーブン焼きでしたが、フランスのレシピに入っている写真を眺めてみました。例えば、こちらの写真。ヒレが残っているかどうかは見えませんが、尻尾は半分切り落とされていますね。

塩で焼いて、魚の姿そのままではないから、尻尾が無くてもそれほど気にならないかもしれませんが、私はやはり好きではないな...。


日本での姿焼きはどう作っている?

丸焼きはどうなるかと画像検索で確認しました。

こちらは姿焼き用にネットショップで売っている魚の写真。


ヒレや尾は全部付いています。まあ、切り身でもない限り、日本で胴体と頭だけになった状態の魚を売ることは無いと思う。


姿焼きにした状態で売っている商品もあるので、そちらの画像も確認。



「魚 姿焼き」のキーワードで画像検索

ヒレや尻尾は残していますね。

焼くときにヒレや尾に塩をまぶすのは、「化粧塩」と呼ぶのだそう。とすると、魚のことを知らない私だけれど、間違っていないはずだと安心しました。

でも、1つ疑問が残っています。日本で魚をさばくプロの人たち、ハサミは使わないのではないかと思うだけれど、どうなのだろう、という問題。

インターネットで検索したら、ハサミでヒレを切っている画面が映っている動画に行き当たりました。アイゴという魚は、ヒレに刺されると危険なので切り落とすらしい。つまり、ヒレを残してはいけない魚があるということ?

やはり、魚は奥が深くて、私の手には負えません...。


外部リンク:
魚の部位と名称
☆ Wikipedia: Nageoire » 
魚を上手に焼く
☆ お料理の基礎辞典: 焼魚の化粧塩って何ですか

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスの日本食ブーム
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ


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カテゴリー: 日仏の比較 | Comment (0) | Top
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2017/07/30
友達が娘さんの30歳のお祝いを7月にするということで、春先から誕生パーティに招待されていました。

出かける直前まで、何を着ていけば良いかで迷ってしまった。今にも雨が降り出しそうな空なので、夏服は避けて、日本の着物の生地が襟や袖口の裏側に少し使われている上下の合服にしました。プレゼントは日本から持ってきてストックしてある陶器にしたので、日本的にしてみたわけです。

8時間は続くであろうパーティーでは、真夏の暑さになるかも知れないし、もっと寒くなるかもしれない。それで、両方のケースを想定した着替えをバックに入れて、車のトランクに放り込んでおきました。

パーティ会場は、友人夫妻が老後に住むために10年余り前に買ったブルゴーニュ地方の農村にある家。17世紀に建てられた家なので趣はあるのですが、ほとんど廃墟だったのです。まず屋根を業者にふき替えさせてからは、ご主人が休みの度に通って修復していました。

1階の床に敷いてある大きな石を全部外して土台を平らにしたり、天井の梁を1本1本外して補強したり、と気が遠くなるような作業をしていました。

久しぶりに行ったのですが、家の内部は見違えるほど美しくなっていました。素人の日曜大工で、ここまで出来てしまうとは驚き...。

石造りの家と言っても、百年や2百年前の建物は味気なくて、この家のように400年くらいたっていると、家の石壁も厚くて美しいのでした。

とはいえ、ここは田舎の家によくあるだだっ広い部屋はない。雨が降り出した車の中で、どうするのか少し心配してしまいました。夏なので、ガーデンパーティを考えていたはずで、それならテーブルとイスを用意するだけで会場ができるので問題はないのですけれど。

ごく親しい人たちしか呼ばない感じだったのですが、それでも30人くらいは集まるはず。そんな数の席は出来ないのではないかな?...

到着してみると、玄関から入ってすぐのところにある一番大きな部屋に席が設けられていました。ロの字型にテーブルが整えられていました。

春には招待状を出したときには34人が参加すると返事していたのだけれど、当日には19人しか集まれなかったのだそう。雨が降りそうなので家の中にテーブルを設えたのですが、34人分の席をつくるのは難しかっただろうから、欠席者が出て助かった、と言っていました。


座席カードの工夫

フランスでは色々なパーティグッズを売っているせいもあって、彼らは会場づくりに励みます。私は何となく派手にするのは気恥ずかしくて、パーティをオーガナイズしても飾り物はしないで花を飾ったり、テーブルウエアに努力するだけなのですけれど。

今回のパーティの演出で面白いと思ったのは、誰がどこの席に座るかを示した飾りでした。

「皆さん、ご自分の席が見つかりましたか?」と主催者が言う。

2つ折りにした小さなカードが座席に置いてありましたが、名前なんか書いてない。

カードには漫画などのキャラクターらしき絵が張り付けてあって、この絵は自分のかな? と思ってカードを開くと、ファーストネームが書いてある、という趣向でした。

私はすぐに見つけることができました。中国人らしき女性の絵があったのです。フランス人以外は私だけなので、間違いないだろうとカードを開くと、私の名前が書いてありました。

自分たちで作ったのだとしたら、かなり手間がかかるはず。ひょっとしたら、色々な絵をセットにした座席カードが市販されているのだろうか?

でも、ざっと探したところ、見つかりませんでした:
marque placeを検索


30歳を迎えたのは、再婚カップルの子ども

30歳を迎えた娘さんは、仮にAさんとしておきます。

集まったのは、ほとんど全員が親戚の人たちのようでした。パーティーが始まる前に、代表の2人の女性がスピーチをしました。Aさんの叔母さんと従妹らしい。



左に立っているのは、彼女のお相手の男性。こういう席に背広にネクタイ姿というのは不自然。途中でネクタイを外すこともなかったのですから。

友達が説明するには、彼は大学で教鞭をとっていて、そういう人の中にはスーツ姿をトレードマークにしている先生がいるのだそう。他に洋服を持っていないのかな? などと話題にしてしまいました。

でも、愉快で楽しい男性。2人はお似合いのカップルに見えました。そう思うことがよくあるのですが、少したつと別れていたりすることがフランスでは頻繁におこるので、この先どうなるのかは全く想像できない。

ところでAさんは、母親の方と血がつながっています。でも、再婚相手の男性は、この女性を正式な娘として認知しているのだそう。子どもを持つことが夢だったらしい旦那さんの方には、前の結婚で子どもが生まれなかったので、彼女は一人っ子。

可愛がられてスクスク育ったという感じの女性でした。背丈まで伸び伸びしていて、1メートル80くらいありそうに見えました。

30歳って、こんなに若さが弾けそうな年齢だったっけ? 本当に愛らしい女性でした。

実子として認知したという話しをした人が、「養子というのは、子どもを選べるからね」と言っていたのですが、それは、そうだ。こんな気立ても良くて、愛らしい女性だったら、子どもにしたくなりますよ。自分の子どもだったら、出来が悪くても切り離せないわけですから!


パリの人たちが多かったから?

パーティー会場になった部屋の窓辺には、こんなものが置かれていました。



シュークリームを積み重ねたようなピエスモンテは、よくフランスではお祝いのデザートに使います。この日のは非常に美味しかったので、どこのケーキ屋さんで作らせたのかと近所に住む人たちは聞いていました。私も知っている店でした。菓子パンが美味しいので、その町を朝に通りかかると買っていた店。

果物の串刺しを見て、これはデザートなのかと思ったのですが、前菜として出てきました。たぶんガーデンパーティにする計画だったので、立食の食前酒タイムに良いと思って考えたのではないかな。

それの後に出たのは、サーモンのおつまみ。「サーモンは生ですから嫌な人は取らないでください」と言って配っていたのですが、スプーンに乗ってしまうほどの小さな皿。わざわざ食べるかどうか聞かなくても良かったのに。食べたくなかったら、隣の人に回して喜ばれるくらいの量でしたから。

その後は、野菜系の料理が3種類だったかな。この日の私は胃の調子が悪かったので丁度良かった。フランス人の食事にしてはやたらに野菜が主になっているな、と思ったのですが、集まった人の中にベジタリアンが2人いました。

ふと気がつく。ロの字型のテーブル配置なので全員の顔が見えてのですが、みんなスマートなのでした。フランス的に普通に太っている人は、19人の中に3人しかいない!

その3人は地元ブルゴーニュの人たちで、後の人たちはパリ首都圏から来ていたのでした。やはり、パリと田舎だとずいぶん違うのだな...。

飲み物はふんだんでした。差し入れがあったシャンパンやワインのマグノムボトルがいっぱい。でも、面白かったのは、主催者のご主人が白ワインを飲むと頭痛が出てしまうというせいなのでしょうが、白ワインはいっさいなし!


たくさんのプレゼント

こういう場では、集まった人が持ってきたプレゼントをどこかに積んでおいて、デザートを食べ終わったあたりでプレゼントのご披露になります。

2つも3つもプレゼントを出した人たちもいたので、集まったのは19人とはいえ、かなりの量でした。かなり豪華なプレゼント。ブランドもののハンドバックとお財布のセットなどは、とても使いやすそうなので私も欲しいと思ってしまった。

画家の人が持って来た大きな絵も、良かったな...。

プレゼントのご披露にはかなり時間がかかって、ようやく終わったと思ったら、Aさんの母親が大きな箱を持ってきました。金色の箱を開けると、アルバムが入っている。



子どもの頃からの写真をアルバムに仕上げたものでした。折り畳み式のカードなども張ってあって、かなり時間をかけて製作したと思えるアルバム。



母親の愛情いっぱいで育ったのでしょうね。だから、あんなに気立てが良い女の子に成長したのだろうと思う。

大学時代、フランス文学の先生が言っていたことを思い出しました。
「僕はシンデレラの話しが嫌いです」

あんな風に虐待されて育ったら、美しく育つはずはないし、性格はひねくれる。「物語の主人公になれるような美女は、やはり良家の子女ですよ」なんて言っていた!


親をどう呼ぶか?

Aさんは、母親の再婚相手が正式な父親になっていたわけです。彼女の本当の父親は、亡くなったのか、父権を放棄したのかは知りません。

この日、食事会が終わった夕方に、外に出てペタンクをしたのですが、そのとき、ふと気がついたことがありました。

Aさんは、実子として認めた父親のことをファーストネームで呼んでいたのです。

後で友人に聞いてみたら、フランスには血の繋がった実の親のこともファーストネームで呼ぶ人たちがいて、それは全く不自然ではない。最近は、むしろMaman、Papaと呼ぶより、親をファーストネームで呼ぶのが奨励されてもいる、とも言っていました。

インターネットで調べてみたら、やはり抵抗を感じる人もいるようでしたけど...。

法的な結婚をしていたにしても、そうでないにしても、カップルの関係が解消するケースが多いフランス。両親が別れた後にも、子どもの権利を守るために両方の親と付き合い続けるし、親の再婚相手が入れば、そちらとも付き合う。それで、famille recomposée(再構成家族)の関係では、とてつもなく人数が多い家族も出来てしまう。

この単語はフランス語で登場したときに覚えたのですが、日本ではステップファミリーと呼ぶのですね。日本では離婚には暗いイメージもあるように感じますが、フランスではごく普通。18歳未満の子どものうち、150万人がステップファミリーで暮らしているという統計がありました(2011年)。

パパもママが複数いたりすると、ややっこしい。ファーストネームで呼んだ方がはっきりしていて良いとも思う。それに、親の勝手で押し付けられた人をパパとかママとか呼ばせられることに抵抗を感じる子だっているはずだし。

Aさんが父親をファーストネームで呼んでいたのは、ごく自然に感じました。かえって2人の仲が良いという印象も受けました。

ブログ内リンク:
★ 目次: フランス人の古民家を修復する情熱、建築技術
★ 目次: フランスに結婚に関する風習、夫婦・家族関係、生き方
★ 目次: プレゼントや土産物に関して書いた記事

外部リンク:
☆ Insee: Un enfant sur dix vit dans une famille recomposée
Pourquoi certaines personnes appellent leurs parents par leur prénom
Appeler ses parents par leur prénom
Mon enfant m’appelle par mon prénom. Que faire ?
☆ 生きたフランス語見聞録: 家族関係の単語


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2017/07/27
フランス人は何にでも文句を言います。

政治について、税金の使い道については非常に厳しく批判する。友人たちと集まったときには、行政がしていることの批判を始めると語気が荒いので煩くてたまりません。なんであんなに議論が好きなのだろう?...

彼らが喧々諤々と政治や社会保障について文句を言っているのを聞いていると、つい「日本なんか、もっとずっと酷いよ~」と言いたくなります。

悪い例を挙げられても、フランス人たちは一向に気にしないみたい。「そうか、フランスはそんなに悪い国じゃなかったんだね」と言った人には出会ったことがありません。日本の例を挙げても、質問も返してこないほど無関心。

先日の友人たちとのおしゃべりでは、失業保険で生活していたけれど、あと2年働かないと老齢年金がもらえないということで、役場に雇われて2年間だけ働くことになった人の話題が出ました。

まだ50代半ばの男性なので、年金支給まで2年というのは短すぎると思ったのですが、若い頃に軍隊に入っていたので、働いた年数の計算が優遇されているのだそう。生命の危険がある戦場に赴任すると、1年働いたのが3年分に計算されるとか、そういうのがあるのですよね。

でも、彼の報酬は最低賃金(SMIC)の時給なのだそう。毎年スライド制で上がるもののSMICの賃金が低すぎる、とフランス人たちは文句を言う。まあ何とか生活していける金額に定めている。汚いやり方だ、とか怒っている。

フランスの最低賃金はそう悪くもないのだし、パートタイムで働いても年休や社会保障が付くのだから、日本よりははるかに労働条件が良いと思うのですけどね。

話題に出たSMICで2年働くという人は、村の道路や墓地などの除草をしたりする肉体労働の仕事でした。雇ったのは小さな村なので、仕事は大してないし、村の予算もないので、彼をフルタイムでは雇えない。とすると、収入が少ないでは? と思ったら、雇用促進支援プログラムの枠内で雇用されるのだと説明されました。

週の半分だけ働き、役場からはフルタイム労働の半分に相当する報酬が払われるのだけれど、それと同額の援助が国から出るので、SMICの1カ月分が月収として支払われるのだそう。

つまり、週に2日半働いて、月に20万円近い収入を受け取るわけ。羨ましく思ってしまった...。

こんな手厚い弱者の援助をしているし、いくら経済不況でも労働条件を悪くすることはしないから、フランス経済は落ち込んでいるのだろうと思うのですが、それでも国がつぶれないでいるのだから良いではないですか?


最低賃金

日本のニュースを読んでいたら、最低賃金の引き上げが話題になっていました。最低賃金が、ここ2年連続で3%引き上げられたとのこと。

現内閣の支持率が下がったという報道を隠し切れなくなったらしい今、政府だって良いこともやっているのだというニュースをクローズアップしたかったのかな。NHKのニュースでは、「大幅な引き上げ」と記述していました。3%アップで「大幅!♪」と言うのはオーバーだと思ってしまった...。
 
全国平均で、時給が25円値上がりしたとのこと。でも、そんな程度では日本の最低賃金は先進国並みにはならないですよ。

日本にも「最低賃金」というのがあると知って、調べてみたことがありました。1ユーロが170円という為替レートだったときなので、フランスの最低賃金を円に換算してギャフンとしました。フランスでは労働条件が良いだけではなく、最低限保証されている時給も日本よりずっと高いのでした。


このたび日本で発表された17年度の最低賃金は、全国平均で848円。都道府県で異なるシステムなので、最も高い東京が958円で、最も低い宮崎と沖縄が736円でした。

フランスの最低賃金としては、SMIC(Salaire minimum interprofessionnel de croissance)というのがあります。物価と平均賃金の伸びに連動して、最低賃金が自動的に引き上がるスライド制のシステム。

フランスと日本の物価を比べると、1ユーロ=130円くらいかな、と私は感じています。今の為替レートはそのライン。それで計算してみました。

今年(2017年)のSMICは、全国一律で時給9,76ユーロ(約1,269円)。フランスの時給の最低基準は、日本の大幅値上がりしたという最低賃金の1.5倍です。


ヨーロッパの中で、特にフランスの最低賃金が高いというわけではありません。フランス人たちが給与が高いことで羨ましがるのはルクセンブルクとスイス。国境に近いフランス側に住んで通勤している知人も何人かいます。

1カ月の労働の最低賃金は、フランスでは週35時間労働で計算して、1,457,52ユーロ(約19万円)。

EU圏内での最低賃金が高い国のランク付けでは、フランスは第6位というところでしょうか。トップはルクセンブルクで、最低月収が1,923ユーロ(約25万円)。


フランス人たちは、最低賃金なんて、なんとか生活できて、文句を言わないレベルで作っていると批判するのだけれど、日本では、その計算での報酬を得ないで働いている人たちがたくさんいると思うのですよね。私自身の経験も含めて!

それに、日本の最低賃金というのは、フランスのように厳格には守られていないのではないかと思います。時給ではなくて、月給制で働いたら、どのくらい酷い報酬か、残業しているから全体として満足できる給料をもらっていると思っているかもしれない...。


時間当たり賃金(製造業、2014年)|データブック国際労働比較2016|JILPT


貧富の差

ひところの日本では、大半の人たちが中流の生活をしていると思っているという時代がありました。いま思うと懐かしい...。入社すれば終身雇用という安心感があり、会社は従業員を家族のように大切にし、従業員は会社に忠誠心を持つという日本の良さがあった時代...。

それが日本経済を支えた原動力だったと思うのですが、時代は変わりましたね...。

最近の日本では、貧富の格差が酷くなっていると感じます。フリーで働く場合の報酬が劇的に低くなったと見ているのですが、東京の繁華街に行くと消費者であふれかえっているので、豊かな人たちがいるらしいのは確か。


貧富の差と言えば、フランスの方が日本より激しいのではないかという感覚を持っていたのですが、日本は先進国の中ではかなり貧富の差が大きい国なのでした。

フランスで貧富の差を感じるのは、住んでいるお家の違い。お金持ちと言えば、広大な庭園がある城に住んでいる人たちがかなりいるからです。

下は、個人が所有している城としてはもっとも規模が大きいヴォー・ル・ヴィコント城

ヴォー=ル=ヴィコント城
Château de Vaux-le-Vicomte

城の敷地は500ヘクタール(フランス式庭園が33ヘクタール)、建物の屋根の面積は2ヘクタール。

もっとも、こんな文化遺産をご先祖から相続すると、何かに利用しないと維持していけない。この城もミュージアムとして一般公開されています。

映画のロケやレセプション会場として使わせたり、年間28万人の見学客があるので収入は入るのですが、建物の維持費やスタッフの人件費が必要なので、結果としては毎年40万ユーロ(約5,200万円)の赤字経営なのだそう。これほどの城ならのでメセナもいますが、こんな城を維持できるほどお金持ちということですよね?...

外部の人が出入りしている城には持ち主が住んでも楽しくないだろうと思ったのですが、オーナーの貴族は城の建物の一部を住居として使っているようです。


日本では、6人に1人が貧困

私は東京での生活費しか分かりませんが、ご自慢する引き上げられた最低賃金の時給が千円にも届かないというのは酷いと思う。だって、日本は要らないものは安いけれど、食事や住居費など、最低限必要なものがフランスよりずっと高いのですよ!

日本人はフランス人ほどには食べないし、狭い家に住んでも耐えるし、一点豪華主義で満足できる国民性があるから、そんなに貧しいとは感じていないかもしれないですけれど。

日本の貧困率は1985年には12%だったのに、2015年には15.6%。
ひとり親家庭の貧困率は50.8%だそうです。

母子家庭が貧しいというのは本当なのですね。東京の友人の中に、ご主人に家出されて、女手一つで息子さんを育てている人がいるのですが、子どもさんの遠足の参加費が出せないとか、高校に入れるお金がないとか言っていました。彼女の仲間の単身で子育てをしている人たちの大半は、義務教育が終わったらもう働いてもらうケースが多いのだと言っていた。

フランスでは、女性たちが簡単に離婚するのですが、あれは生活費の心配がないから決心できるのだろうと感じています。

あれだけ超お金持ちに見える人たちがいても、日本より状態が良いのは、最低限の生活をしている人たちがそんなに貧困ではないからなのでは? フランスのニュースで、生活保護を受けている人たちの映像が出るのを見ると、私が東京で生活している環境よりずっと豊かそうに見えてしまっています。

最近の日本では、どう使われるのかも怪しげな国々にまで、海外支援に億とか兆の単位で支払っているのですが、日本国内の人たちを助けようとは思わないのかな?...


世界141カ国を比較した「収入不平等指数(ジニ係数)についてのランキング」を見てみました。

日本の収入不平等指数は、37.9%で、世界141か国の中で73位となっていました(2011年)

フランスのジニ係数は30.6%で、世界117位。


経済的な格差があると、普通なら、社会の不満となって暴動がおきる。

ジニ係数が60%以上だと「危険ライン」で、40%以上は社会騒乱の「警戒ライン」とされているのだそう。最近の日本の政策では、どんどん格差を広げている感じがするので、警戒ラインに入っているのではないかな...。

日本人は我慢強いから耐えるのかもしれない。あれだけやりたい放題、嘘八百を並べても、今の内閣を支持する人が3割もいるというのは、政治家が何をしても、まず批判する傾向にあるフランスではおこえないことだと思う...。


外部リンク:
1日5人が餓死で亡くなるこの国
飽食日本で起こった悲惨な餓死事件まとめ
悪化する日本の「貧困率」 2014.08.29
世界・収入不平等指数ランキング
国の所得格差順リスト

最低賃金、過去最大25円上げ=全国平均で848円-政府目標3%を達成 2017/07/26
社説:最低賃金の引き上げ それでもまだ低い水準だ 2017/07/27
☆ 厚生労働省: 地域別最低賃金の全国一覧
労働政策研究・研修機構: データブック国際労働比較2016 » 5. 賃金・労働費用
国際比較で考える日本の最低賃金 課題は「地域」「産別」の役割発揮にあり 2017/06/14
国際水準の「最低賃金」に及ばない時給引き上げ  2016-10-02
世界一「最低賃金」の高い国は? 日本12位、韓国13位 2016/02/21
国連が衝撃発表!国連「日本の最低賃金は先進国最低。生存基準を下回っている」フランスの最低賃金は9.43ユーロ(約1311円) 2014.01.13
☆ Wikipedia: 最低賃金 » Salaire minimum
☆ Wikipedia: Salaire minimum interprofessionnel de croissance
☆ Wikipedia: 各国の最低賃金の一覧
「月給制で働く人」が見落とす最低賃金の基本

☆ なぜ、「人づくり革命」に違和感を覚えるのか? 2017/08/08
☆ 悪評紛々! 安倍政権の「人づくり革命」 2017/08/10
☆ 人間をマシンに…安倍政権「人づくり革命」の露骨な魂胆 2017/08/12

安倍内閣の支持率、40%〜30%台に下落 各メディアの世論調査、加計問題が響く? 2017/06/19
マクロン仏大統領の支持率54%、前月から10ポイント下がる 2017/07/23
CHÂTEAU DE VAUX LE VICOMTE ; Une pme unique, qui a l’histoire en héritage
安倍首相のいきつけ 赤坂・日本料理店は超絶ブラックだった

ブログ内リンク:
★ シリーズ記事: 「奴隷のように働く」という例え 2014年
★ 目次: 城について書いた記事ピックアップ
★ 目次: フランスのホームレス、貧困者


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2017/07/06
6月の中旬に突然暑い日が来たら、虫たちが草むらで激しく鳴いているのが聞こえてきました。でも、虫が鳴いているなと思ったのは1日か2日で、また小鳥の鳴き声しか空に響かなくなっていました。

フランスにいて虫の音が気になるのは暑いときだけのような気がします。秋になっても虫が鳴いているのか観察してみたいと思いながら、毎年忘れてしまっています。

フランスの田舎で賑やかに聞こえてくるのは小鳥の鳴き声です。虫の声はそれにかき消されてしまっているのかも知れない。ともかく、鳥の方は色々な鳴き方をするので、こちらの方に興味を持ってしまうのは確か。


フランスで鳴き声が好かれる虫の代表は、コウロギ?

だいぶ前に見つけたサイトで、フランスで聞く小鳥の鳴き声の見分け方のレッスンをしているので、時々聞いているのですが、その中に虫の音のレッスンもありました。

やはり、虫の音はフランスでは夏の風物詩のようですね。レッスンは「夏の夜の雰囲気」と題しています。


Ambiance des soirs d’été : grillon d’Italie et grande sauterelle verte


ここでは、前半と後半い分けて、次の2つの虫の鳴き声を紹介していました。

Grillon d'Italie
イタリアコウロギ(?)
Oecanthus pellucens
Grande sauterelle verte
マンシュウヤブキリ
Tettigonia viridissima


これがよく知られている虫の音なのでしょうね。私も、フランスで聞く虫の音は、この2つが中心になって聞こえている気がします。品種は違うのでしょうが、コウロギとバッタ。

夜の9時頃から鳴きだすと説明しています。黄色い「イタリアのコウロギ」という虫の音が美しい。単調な鳴き声なので、寝付くのに効果的ですね。

「イタリアのコウロギ」という品種が実際に鳴いているのを撮影した動画がありました。


GRILLON d'Italie / Oecanthus pellucens / Chante la Nuit ! BRUITX


フランス語で「虫の音」というようなときには、「chant(歌)」という単語を使います。人間が歌うのもそれだし、小鳥の鳴き声も同じ。でも、昆虫は口で歌うわけではないので、歌と表現するのは適当でがないのでしょうね。


フランスには、美しく歌う虫が少ない

夏の夜の虫の鳴き声レッスンでもう1つ紹介されていた「緑色の大きなバッタ」という虫の方は、鳴き声が高音なので、聞き取れない人もいるそうです。


GRANDE Sauterelle Verte / Chant la Nuit ! BRUITX

言っては悪いけれど、つまらない鳴き声ですね...。

日本には特徴のある鳴き方をする昆虫がたくさんいますが、フランスにはそんなにいないと感じます。セミも南仏に行けばいますが、日本のように色々な鳴き方はしないで煩いだけ。

日本にいる虫の音には風情を感じますが、フランスでは雑音くらいにしか思わない人が多いのではないかという気がします。

コオロギが鳴いていると私に教えてくれるフランスの友人は、夏休みにバッタやコウロギを捕まえて籠に入れていたと話したので、子どもの頃のことを懐かしく思い出すから喜んでいるのではないかと思いました。


日本人が虫の声をめでるのは秋

俳句では、「虫」は秋の季語でしたよね?

フランス人が「虫が鳴いているよ♪」と言ってくるのは夏だと感じています。

日本には『虫のこえ』という童謡があったので聞いてみました。


10月虫のこえ(童謡・唱歌)

日本人が虫の音をめでるのは、やはり秋のようですね。この歌の中「秋の夜長を 鳴き通す」という歌詞が入っていました。

日本の夏は暑いので、秋になって虫の音が響いてくると、涼しさを感じて嬉しいのではないかな? フランスでは、夏が終わったら途端に寒くなるので、夏が終わってしまったのが寂しいし、虫の音に風情なんか感じていられないと思います。


虫の音を聞き分けられるのは、
  日本人とポリネシア人だけ、というのはオーバーでは?


むかし、イギリスで初めて野外コンサートに連れて行ってもらったときのことです。湖の畔に会場が出来ていて、庭でくつろぐときに使うような椅子を持ち込んでいる人たちもいてリラックスした雰囲気。

ところが、そのとき私は驚いたのでした。クラシック音楽なので音が非常に小さくなる時もありました。すると、私の耳には回りから聞こえてくる小鳥や虫の鳴き声しか聞こえてこない! みなさんは、そういう環境が全く気になっていらっしゃらない様子。

それで、なぜ私の耳には音楽より小鳥や虫の音が陣取ってしまうのか調べてみました。

日本人の演奏家だったか指揮者だったかが書いた文章があって、私が感じたことを裏書きしていました。ヨーロッパの人たちは野外コンサートを堪能できるのに、日本人はできない、と言っていたのです。

人間の脳は右脳と左脳とに分かれ、日本人は音楽や小鳥や虫の声を同じ側でキャッチしているので、全部混じってしまうのだ、ということでした。なるほどな、と納得。

この説明では、日本人は言語脳で日本語を感知しているけれど、外国語は音楽脳の方で処理している、というものでした。これも納得。日本語で何か考え事をしているとき、いきなりフランス人から話しかけられると、全く何を言われたのか分からないのです。「これからしゃべるよ」とか前置きをしてくれれば頭のスイッチを切り替えられるのに、いきなり言われたことを全く認識していないので、耳が悪いのじゃないかと思われてしまうのが悔しい!


再びインターネットで情報を調べてみたら、あの時に私が得たのは誤解していたのか、その後に新しい学説が出たのか、違うことが書いてありました。

西洋人は右脳(音楽脳)で虫の音を機械音や雑音を処理するが、日本人は虫の音は左脳(言語脳)で受けとめる、という説明でした。そうかな...。

さらに、日本人は虫の鳴き声を聞き分ける能力がある、という記述も目立ちました。何だか、ヨーロッパの人たちに「日本には四季があるのですよ」と自慢しているのと同じレベルではないかと思ってしまう...。


リムスキー=コルサコフが、熊蜂がブンブン飛んでいる音は聞かずに、飛び回っているのを見ただけで作曲したとは思えないのですけどね...。


ユジャ・ワン演奏による『熊蜂の飛行』


コウロギには、フランス人たちにも親しみがあるようです。シャンソンでもコウロギを扱ったものが幾つかありました。

マルセル・アモンの『コウロギのシャンソン』という曲では、コウロギを友達にして楽しくおしゃべりしている様子を歌っています。


Marcel Amont - La chanson du grillon

日本語訳の紹介がありました:
マルセル・アモン歌唱の「こおろぎ」の仏語 - よしだゆきおのシャンソン勉強会


ブログ内リンク:
日本の蝉(せみ)と、フランスの cigale の比較 2009/07/28
葡萄ジャムからワインを作るなどという醸造法があったの?! 2011/07/28
ちょっと怖いな... 最近の日本礼賛ブーム 2015/03/01

外部リンク:
日本人の音意識
なぜ日本人には虫の「声」が聞こえ、外国人には聞こえないのか?
秋の虫の声が心地いいのは日本人だけ?音と脳の働きについて
虫の鳴き声を「声」と認識する 日本人とポリネシア人だけだった
Insectes de France: Le chant des Orthoptères
☆ Chants d'oiseaux en Bourgogne: Insectes
Le grillon, son chant de cri-cri
虫の音って英語でなんて言うの?
虫のこえ(虫の声) 童謡・唱歌 歌詞と試聴



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2017/06/26
友人が面白いものを見つけたといってリンクを送ってきました:
こちらのページ

この絵に友人は「Une histoire de grands dadais et de nains malfaisants」なんていう皮肉な題を付けていました。



1958年に始まった第五共和政の歴代大統領と、一部の首相たちの身長を絵で表しています。

絵はオーバーに描いているのですが、数字を見てもかなり差があるのが見えます。

フランス人たちが身長を話題にする大統領の代表は、ノッポのシャルル・ド・ゴール(1.96 m)と、真ん中でカーボーイ姿に描かれているニコラ・サルコジ(1.68 m)でしょう。

ド・ゴール将軍は、ほとんど2メートルという身長。あだ名はgrande aspergeだったのだそう。細身で背が高いと、フランスではよく伸びたアスパラガスに例えられるらしい。右に立っている人ですが、アスパラのイメージかな...。


Sikorski、McNaughton、Churchill、de Gaulle (1941年)


最近大統領になったエマニュエル・マクロンは、テレビで見ていると背は余り高くないなと思っていたのですが、1.73 mとなっています。まあ、フランス人としては普通くらいの背の高さでしょうね。

実物にお目にかかって巨体だなと感じたジャック・シラクは1.89 m。やはり、かなり背が高かったのだ。シラク氏に目の前に立たれると圧倒される体格だと思った想い出があるので、その後にお忍びでトルコに来ていたミッテラン大統領にスークでばったり会った時は、小さいなと思ってしまった。でも、マクロン氏と同じ身長なのでした。


背が高すぎるのは殆ど茶化されせんが、可愛そうなのはチビの方。

「小人」なんていう悪口も言われたニコラ・サルコジ氏は、そんなに特別に小さいというわけではなかったのですよね。ナポレオンと同じに1.68 mです。ナポレオンの方は、この英雄が嫌いな人でもチビとは呼ばないと思います。

サルコジ氏の背が低いことが風刺ニュースで盛んに取り上げられたのは、彼が身長に対して強いコンプレックスを持っていたからだったと思います。

5センチくらい背が高くなる特製の靴を履いていたり、演説するときに小さな台に乗っていたり(後ろからカメラを向けられればバレルのに!)、外国の首相に会うときにはお抱えのカメラマンに彼の方が背が高いように見える角度で写真を撮らせたとか。

からかわれるのに事欠かないほど、ご本人が変なことをやっていたのでした。


Sarkozy, mon nain à moi


描かれている政治家たちの中には、サルコジ氏よりも小さい人がいました。ベルナール・カズヌーヴ首相。この人も背が低いことにコンプレックスを持っていたようなのですが、サルコジが背が低いと散々からかわれた後に首相になったからではないかな?... 風刺ニュースでからかわれていた記憶は私にはありません。

絵を眺めて、1メートル70ないと、フランス人の男性としては小さいと言われるかな、と思いました。ちなみに、フランス人の身長も昔より高くなってきていて、現在に18歳の男性の場合の平均は1.8 mらしいです。

イギリスでは上流階級は背が高くて、下層階級は背が低いのだ、と聞いたことがあります。背の高さを見ただけで、歴然と階級が分かってしまうのだとか。フランスでは、そういうことはないように思うのですけれど。





堂々とした姿の肖像画を見慣れているルイ14世は、サルコジよりさらに5センチ小さい1.63 mだったそうです。昔の平均的な身長は今より低いですから、小さいということはなかったでしょうね。

Louis XIV of France

ヒールのある靴を履いているし、鬘も高くしている。この当時の流行なので、違和感はなかったのでしょうね。


外部リンク:
En images la taille des présidents de la République française
Taille des Présidents  il manque 1 cm à Hollande pour battre Sarkozy
Pour gouverner, la taille, ça compte
☆ Taille moyenne homme
A quoi ressemble le Français moyen?
世界各国の平均身長
☆ Wikipedia: Liste des présidents de la République française » フランスの大統領
Top 10 des tailles de personnages historiques et politiques (pour bien se rendre compte)


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2017/06/17
少し日本を離れていてから帰国すると、日本の空気が違ってきているな、と感じることがあります。

それを強烈に感じたのは、1990年代に入った頃でした。日本で滞在するのは東京なので、日本が変わったというより、東京が変わったと言うべきかもしれません。

なんだか日本人がヒステリックになってきた、と感じて、日本が危ないような予感を感じたのです。戦前を知っている世代の日本人に、戦争が勃発する前にはこんな雰囲気なのではなかったかと聞いてみました。

もっと暗かった、と返事されて、なんとなく安心しました。でも、それから3年もたたないうちに、地下鉄サリン事件をフランスで知ったのでした。やはり何か不穏な空気が流れていたよな、と思ったのです。あれは1955年でしたか...。


当時は、今のように外国にいてもインターネットでニュースを見ることはできない時代だったので、余計に帰国したときに変化を感じたのだろうと思います。今はもう、空気が変わったなどという漠然とした感覚は味わわなくなりました。

あの時、戦争に突入する前の日本がどんなだったか聞いた人は、もう亡くなりました。いま聞いたら、何と答えられたかな?... 最近の日本は戦争にまっしぐらで突進しているようにしか私には見えないのですけれど...。平成の治安維持法と呼ぶ人もいるような法律も強行採決で通ってしまいました。


独仏共同出資のArteというテレビ局は、時々とても良い番組を作っています。先日は、「Tokyo, cataclysmes et renaissances」と題したドキュメンタリー番組があったので眺めました。「東京、破局と再生」とでも訳したら良いですか?

関東大震災(1923年)と、東京大空襲(1945年)で焼け野原となった東京が、現在の巨大都市になる過程を記録映像で見せていました。

空襲で、真っ黒に焼けただれた死体にあふれた東京。一緒にテレビを見ていた友人が、アメリカは日本に2回も原爆を落としたのだし、戦勝国になっていなかったら、史上最大の戦争犯罪をしたとして断罪されていただろうと言いました。

イギリス軍などは、軍事施設などを標的にして狙いうちするので安心だったけれど、アメリカは狙いを定めずに何処でも攻撃するので、フランス人たちは怖がったのだそう。

でも、東京大空襲も、全く無差別でもなかったと思えるのです。焼け野原に天皇陛下が見えていたので、皇居は空爆されなかったということでしょう? 本郷に住んでいた友人は、飛行機から爆弾が落ちてくるのを眺めていると、そこでは爆発せずに、少し先にある上野のあたりで破裂するとこになっていると分かっていた母親は自宅で呑気にしていたそうだ、と話していました。アメリカ軍は、戦争が終わったら東京大学を利用する目的のために、本郷は破壊するのを避けたらしい、とのこと。余裕ですかね。

ナチスは未だに卑劣な行為をしたと責められていますが、無差別殺人をしたアメリカはナチスより残忍だったと言うべきかもしれない...。


フランスでは広島の原爆がいかに残忍だったかをテレビで報道することが多いので、原爆投下に関する映像はよく見るのですが、関東大震災と東京大空襲の映像は、日本でも見たことがなかったように思います。それで、この番組は私にとって貴重なドキュメンタリーでした。

映画が発明されて、東京で一番初めに撮影されたのは1898年(明治31年)だったのだそう。


日本人は、逆境にもめげずに頑張る! という姿が痛々しいほど見えるドキュメンタリーでした。こんなに頑張って平和な社会を築こうとしてきた日本。それなのに、どうして戦前に戻ろうとしているの?...

太平洋戦争には負けたけど、次の戦争では勝つぞ ♪、という機運が最近の日本に生まれているのでしょうか?...

日本はキリスト教とイスラム教の憎悪問題からは外れているという恵まれた立場だったのに、イスラム教徒のテロリストを逆なですることもやってしてしまった。そこまでしてまで戦争をしたいの?... 戦争をすると儲かるという図式はありますが、収益を得るのはごく一部の人たちなのだから、皆で賛成するというのは理解できない...。 


この記録映像を見て気になったのは、ひと昔前の日本人の顔が今とはかなり違うということ。顔だちも、表情も、身のこなし方も違う。一場面を切り抜いて「これは何人でしょう?」というクイズを出したら、日本人だという回答は出ないのではないかという場面もありました。

栄養の関係もあったでしょうが、自我を無くして、お国のために生きることを強要されていた時代だったからなのでは?...


1時間半のドキュメンタリーでした。放送があってからしばらくは、全編をYouTubeでもARTEのサイトでも見ることができたのでリンクを入れていました。ところが、まもなく有料でないと見れなくなっていていたのに気がついたので訂正しました。

☆ ARTE Boutique: Tokyo, cataclysmes et renaissances

予告編のようなものは見ることができるので、リンクを置き換えておきます。


Tokyo, Cataclysmes et Renaissances - Bande annonce (En anglais)




日本人が優れているというのは、誰が何を言おうと、確固とした事実だと思っています。優れた頭脳の国民だといううだけではなくて、私欲を無くしてまで尽くし、なにしろ頑張る! さらに、昔から中国の文化を受け入れた歴史があるので、外国の良いところは吸収して、さらに優れたものに改善する原動力が日本にはあった。これがスゴイ日本の力だと思っていました。

フランス人は、文句ばかり言っている。身をこにして働かないでいたら、国際競争には負けて経済が落ち込むわけですが、それでも国がつぶれないでいるし、最低限の生活保障は日本の比ではないほどできているのだから不思議...。

日本が、日本人の素晴らしさを伸ばさないで、最近は行き止まりがあるような方向に走っているのが残念でなりません。日本を離れてみると、日本だけにいたら持たなかっただろうと思う祖国に対する愛情が生まれるのです。でも、外国に足を突っ込んでいる日本人は、最近の日本では「反日」とされてしまうのですよね...。

日本の政治家は、国際的な駆引きをする能力に欠けている。お金をばらまくけれど、どうせ日本はお金持ちだから出すのだろうという程度にしか外国では扱われない。戦争中に日本軍がしたことの収集だって、いまだに引きずっていている。あれほど国際的に批判されるほど残虐なことをしたドイツが、あればナチスの仕業だったということで政治t機に収集したのを見ると、上手くやったと感心してしまいます。


映像を提供した男性がいました。東京大空襲で住む家を失った当時2歳だった姿の映像です。家族でガレキをかき回して、何かお金に換えることができるものが見つかるかを探すのが、その人の遊びだったのだそう。痛ましいと思う光景でしょうが、男の科は無邪気で、お兄ちゃんに手を引かれて楽しそうに歩いている...。感動的な画面でした。

日本人は我慢強くて、逆境にも負けずに立ち上がれる国民なのだ、と見せたドキュメンタリー番組。淡々とした語り口で、日本を褒めて、見習わなければならないというのでもなく、ましてや日本人は異常だと貶したりはしていない。優れた報道番組で、日本人の私には感銘を与えてくれた内容でした。


日本の異常なほどの頑張りが間違った方向に向かってしまったのは、1964年の東京オリンピックからだった、と言っていた原子力発電に反対する先生がいました。それまでの東京は、のどかで住みやすかったけれど、殺伐としてしまったと感じたのだそう。

そうかもしれないな...。
でも、平和ボケしている私。

なぜか、命の危険を感じるような大事件のときには、現場にはいないのです。地下鉄サリン事件のときも、東日本大震災のとき、福島第一原子力発電所事故のときも、私はフランスにいました。さらに子ども時代にさかのぼっても、学生運動が荒れ狂った60年代末には、父親が地方に転勤していたのに同行していたので、東京で何がおこったのかは全く実感しませんでした。

最近にパリで大きなテロ事件があったときには、音信が途絶えていた日本の友人たちからも「大丈夫?」という連絡をもらったのですが、その2度とも、私は東京にいたのでした。なんなのだろう?!

日本の友だちに、危険を避けたかったら私と一緒に移動していたら良いのだ、なんて、悪い冗談を言ってしまう私。でも、戦争が始まったら、そんなことは言っていられません。戦争はなくて、生き地獄は見ないで済む幸運な人生を過ごしてきたのだから、長生きはしたくない、と思っているこの頃です。 

ブログ内リンク:
★ 目次: 文学者・哲学者、映画・ドキュメンタリー
★ シリーズ記事目次: フランスとドイツの友好関係を考える 2010/11/08
ちょっと怖いな... 最近の日本礼賛ブーム 2015/03/01
最近の東京は怖い...  2014/02/13

外部リンク:
Loi contre la conspiration et si le Japon renouait avec son passé le moins glorieux... 15 Juin 2017
「共謀罪」を何と訳すのか?
追悼…野際陽子が語った戦争を知らない政治家へのメッセージ「戦争の真実を知ってほしい」
作家・池澤夏樹氏が危惧「筋交いがない日本という家は潰れる」


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