2018/09/29
フランスには幾つかのワイン産地がありますが、上質ワインが作られるとされている地域だと、いい加減なワインでも売れてしまうのではないかと思うことがあります。
私がレストランでワインを選ぶときには、ボルドーやシャブリは避ける傾向にあります。当たりはずれが大きいと経験しているので、ちゃんとした生産者だと知っていない場合は、手を出さない方が無難だと結論したからです。
添加物を入れていない南仏のワインが美味しかった、という報告をコメントを少し前にいただいて、ふと思いました。産地の名前だけでは売れない地域でワインを作ろうとすると、オーガニックとかバイオダイナミック農法を熱心にやる人が多くいるかもしれない。
さらに思いだしたことがありました。フランスで自然派ワインを作る夢を実現させた日本人夫妻のお話しです。
◆ フランスから撤去命令が出た日本人夫妻
Rié et Hirofumi Shojiとフランスの報道にあったのですが、庄司宏史さんと綴るようです。
2人は2011年に渡仏してブドウ栽培とワイン醸造を学び、スペイン国境に近いフランス南部のブドウ畑を手に入れ、昨年に初めてワインを市場に出しました。

「Pedres Blanques」という名前が付けられていましたが、この地域の言葉で「白い石」を意味するのだそう。
初めて世に出したワインだったのに、業界では他に例がないほど素晴らしいワインだと評価され、3つ星レストランからも注文が入ったのだそうです。翌年のビンテージも、春には75%が予約済み。
ボトル1本12ユーロ(1,500円)で販売したのに、注文が殺到して1本26ユーロにまで価格は跳ね上がったそうです。
大成功だったわけなのですが、今年の4月に飛んでもないことがおきました。所轄の県庁から国外退去を言い渡されてしまったのです。
夏の始まりにちらりと見ただけのニュースだったので、どんなワインを作っていたのか調べてみました。
◆ 風光明美な南フランスでワインを作っていた
日本人夫妻が15万ユーロを投資してブドウ畑を持ったのは、Banyuls-sur-Mer(バニュルス=シュル=メール)という町でした。

スペインに近い地域ですね。フランスから車でスペインに行くときには、絶対にCollioure(コリウール)という町で1泊してからスペインに入りたい、と私は決めています。南仏の光が心地よい、美しい地域なのです。
コリウールのことはブログでも書いていました。
★ スペイン国境に近い美しい小さな町 Collioure 2012/04/02
この町から、さらにスペインに向かって10キロくらい行くと、日本人夫妻が手に入れたブドウ畑がある町を通るはずなのでした。
海抜250~300メートルの丘の上のブドウ畑は2.5ヘクタールだそうです。

遠くには地中海も見えて、美しいところですね...。
フランスのワイン・ネットショップに、彼らのブドウ畑がどんなものなのか、醸造法などが詳しく紹介されていました。ブドウ畑の写真もたくさん入っています:
☆Buveur de vin: Rié et Hirofumi Shoji – Pedres Blanques
斜面になっているので、トラクターを使って作業することは不可能。前のオーナーは普通に農薬を使ってブドウを栽培していましたが、日本人夫妻はBIOで認可されている薬剤だけを最低限で使って自然派ワインを作っているのだそう。
お仕事は厳しいでしょうが、こんな素晴らしい環境で働いていたら、ワイン作りの夢を実現させた喜びを毎日味わっていたでしょうね。それなのに、国外退去を言い渡されたら、どんなにショックだったか?...
◆ 収入が少なすぎる?
一生懸命ワインを作っていた日本人夫妻が、なぜフランスから追い出されそうになったのか?
フランスのお役所がすることだから、間違いがあっても不思議はない。つい最近も、親しいフランスの友人が「実は、僕は死んだことになっていたんだ」と話しました。税金関係で証明書類が必要になったので役所に電話して自分の名前を告げたら、その人はもう死亡している、と言われてしまったのだそう。
彼は慌てて役所に行き、やっと死亡しているというのは訂正してもらいました。同姓同名の人が亡くなったとき、友人が死んだことにされてしまっていたのだそうです。
こういういい加減なことをする国で(日本でもあり得そうな気はしますが)、外国人がお役所を相手にするのは大変だろうと思います。夫妻は弁護士を雇っていました。その費用もかかりそうでお気の毒ですけれど。
日本人夫妻国外退去を言い渡された理由は、彼らには事業を続けるに足る収入がないことでした。フランスの報道では「faute de ressources suffisantes」と表現されていました。
彼らが得る収入は月額2,000ユーロに満たないから、事業を続けられないだろうと判断されたようなのです。
そのくらいの収入で問題なく生活しているフランス人たちはたくさんいますけど、外国人がフランス国内で生活しようとするときの収入の規定は、かなり高く設定されているだろうと思います。もうだいぶ前ですが、日本人が正式なビザをとってフランス企業に就職するために必要な給与額というのを見て、かなり上位の管理職でなければそんなには出してくれないだろうと思ったことがありましたので。
この出来事に関して、こう書かれている日本の報道がありました:
お二人が在留資格を「労働者」から「農家」に切り替えようとなさったのだとすると、ちょっと危ないことをなさったな...。
フランスが移民を追い出そうとするのは、この国にある手厚い社会保障を受けようとする移民に対して防波堤を作ろうとしているのが主要な理由です。補助金支給を期待できる農業者の身分にして欲しいと申請したら、怪しまれても無理はないと思いました。
彼らの友人か誰かが、「君たちが農業者の身分になったら、補助金をたくさんもらえて、色々な恩恵を受けられるよ♪」と入れ知恵したのだとしたら、その人を恨んで欲しい。まだワインを1回しか売っていなかったのですから、もう少したってから行動をおこした方が良かったのではないかな...。
◆ やっかみ? 地域に排他的な空気がある?
私がこの国外退去のニュースを見たとき、地元でワインを作っている人たちからの「やっかみ」があったからだろうと思いました。余り高い価格では売れない南フランスのラングドックというワイン産地で、評判になるようなワインを出したら、近郊の同業者からやっかまれます。県庁に勤めている知人がいたら、「あそこが怪しい」とか告げ口したかもしれない。
この出来事を知らなかった友人に話したときも、真っ先に出たのは「やっかみだろう」と言いました。
日本の田舎でも同じだろうと思いますが、出る釘は打たれる! 本当なら、素晴らしい出来だとして高い値段で売れるワインがあったら、地域のワインの価値を高めるのだから肯定的に受け取るべきなのですが、オレが作ったワインの数倍以上の価格で売っているのは気に入らん! と考えるのですよね。バカだと思うけれど、そう考えるのだから仕方ない。
追い出されそうになった理由の1つとして、友人はこの地方の人たちのメンタリティーによる、というのも挙げていました。フランスの旧植民地の人たちがフランスに移住して来るとき、やはり祖国と同じように気温が高い地域を選ぶので、南フランスには移民が多いと言うのです。
フランスの地域の中で、移民排斥が一番強いのはドイツとの国境にあるアルザス地方だと聞いていますけれど、南フランスにも排他的傾向があるかもしれない...。
◆ 国外追放には反対の声が巻き起こった
この日本人夫妻がフランスから追い出されることは絶対にあり得ないだろうと思って、ニュースは追いませんでした。
こういう不当なことに対する反発は、フランスでは非常に強いのです。真面目にワインを作っている日本人を国外追放するなどというのがニュースに流れたら、反対運動がおこるはず。しかも、フランス人たちは反対運動をするのに慣れているので、県知事に抗議する嘆願書に署名を集めて、すぐに問題は解決するだろうと、ほぼ確信していました。
フランスで真面目にワインを作っていた日本人が国外退去の命令をもらってしまったというニュースは、地元の新聞 L'Indépendantが真っ先にしたように見えました。私がニュースで拾った限りでは、6月30日の報道。それから、2日か3日後に、次々と各社が取り上げました。
ワイン関係者はもちろん、一般の人々も国外退去は不当だとする気運が盛り上がったようです。県知事に対する陳情書に署名するサイトでも、ただちに署名者は5万を超えました。

☆ Non à l'expulsion des vignerons japonais de Banyuls !
県庁側では9月6日に再審査すると発表していたのですが、7月5日には日本人夫妻への退去命令は却下されたと報道されていました。とりあず3か月の滞在許可が出たようです。それを更新していけば良いのでしょうね。
国外退去命令などをもらって心痛は大きかったとは思いますが、今後も誠実にワインを作り続けていく限り、ビジネスとしては安泰ではないでしょうか? これほど優れたワインなのだと知られたわけですから、手に入れたいと思う人には事欠かないだろうと思うのです。
こちらのワインのネットショップでは、2017年ものは在庫切れで、2018年のヴィンテージを来年5月の出荷の予約として、29ユーロで売っています。
◆ 日本より、フランスでの方が話題にされたのでは?
今回書いた出来事をiPhoneの音声アシスタントSiriに聞いたら、こう教えてくれるだろうというような面白い動画(7月2日公開)があったので入れておきます。
Ce couple de Japonais produit un vin français très à la mode, mais risque l'expulsion
ニュースサイトで、「今日のビックリ・ニュース」という感じで取り上げていました。
このニュースを聞いたフランス人は、誰でもフランスに投資してくれて、優れたワインを作った日本人夫妻を追い出そうとした県庁が間違っていると考えるだろうと思います。
日本のインターネット上のニュースは、日本ではすぐに消えてしまうので、このニュースがどのくらい報道されたのかはわかりません。でも、日本での報道より、不当な処置だ! と、のろしをあげるフランスの方が激しかったのではないかという気がします。名だたる報道機関は、本来なら移民に対して冷たいはずの右寄りの新聞まで、ニュースにしていましたので。
フランスの記者は、正義の味方になるような報道をするのが好きなのですよね。
それで、ふと思ってしまう。
最近の日本では、研修生の名のもとに東南アジアから来た人たちを悪い労働条件で働かせていることが話題にされますが、人権の侵害だとして大きな運動にまではならないのではないかな...。
今のように移民問題が大きく扱われなかった時代、日本人の私には奇妙に見える事件がありました。フランスに不法滞在している大勢の人たちが教会にたてこもって、滞在許可を出せとやったことがあったのです。警察官が教会に立ち入ったら、一挙に不法滞在者を逮捕できてしまうわけですよね。ところが、やらない。そんなことをしたら、国民から反発がおきてしまうので出来ないのだ、という説明でした。
フランス人には判官びいきのような感覚が強い、と感じています。
続き: ヴァン・ド・フランスとは?


私がレストランでワインを選ぶときには、ボルドーやシャブリは避ける傾向にあります。当たりはずれが大きいと経験しているので、ちゃんとした生産者だと知っていない場合は、手を出さない方が無難だと結論したからです。
添加物を入れていない南仏のワインが美味しかった、という報告をコメントを少し前にいただいて、ふと思いました。産地の名前だけでは売れない地域でワインを作ろうとすると、オーガニックとかバイオダイナミック農法を熱心にやる人が多くいるかもしれない。
さらに思いだしたことがありました。フランスで自然派ワインを作る夢を実現させた日本人夫妻のお話しです。
◆ フランスから撤去命令が出た日本人夫妻
Rié et Hirofumi Shojiとフランスの報道にあったのですが、庄司宏史さんと綴るようです。
2人は2011年に渡仏してブドウ栽培とワイン醸造を学び、スペイン国境に近いフランス南部のブドウ畑を手に入れ、昨年に初めてワインを市場に出しました。

「Pedres Blanques」という名前が付けられていましたが、この地域の言葉で「白い石」を意味するのだそう。
初めて世に出したワインだったのに、業界では他に例がないほど素晴らしいワインだと評価され、3つ星レストランからも注文が入ったのだそうです。翌年のビンテージも、春には75%が予約済み。
ボトル1本12ユーロ(1,500円)で販売したのに、注文が殺到して1本26ユーロにまで価格は跳ね上がったそうです。
大成功だったわけなのですが、今年の4月に飛んでもないことがおきました。所轄の県庁から国外退去を言い渡されてしまったのです。
夏の始まりにちらりと見ただけのニュースだったので、どんなワインを作っていたのか調べてみました。
◆ 風光明美な南フランスでワインを作っていた
日本人夫妻が15万ユーロを投資してブドウ畑を持ったのは、Banyuls-sur-Mer(バニュルス=シュル=メール)という町でした。

スペインに近い地域ですね。フランスから車でスペインに行くときには、絶対にCollioure(コリウール)という町で1泊してからスペインに入りたい、と私は決めています。南仏の光が心地よい、美しい地域なのです。
コリウールのことはブログでも書いていました。
★ スペイン国境に近い美しい小さな町 Collioure 2012/04/02
この町から、さらにスペインに向かって10キロくらい行くと、日本人夫妻が手に入れたブドウ畑がある町を通るはずなのでした。
海抜250~300メートルの丘の上のブドウ畑は2.5ヘクタールだそうです。

遠くには地中海も見えて、美しいところですね...。
フランスのワイン・ネットショップに、彼らのブドウ畑がどんなものなのか、醸造法などが詳しく紹介されていました。ブドウ畑の写真もたくさん入っています:
☆Buveur de vin: Rié et Hirofumi Shoji – Pedres Blanques
斜面になっているので、トラクターを使って作業することは不可能。前のオーナーは普通に農薬を使ってブドウを栽培していましたが、日本人夫妻はBIOで認可されている薬剤だけを最低限で使って自然派ワインを作っているのだそう。
お仕事は厳しいでしょうが、こんな素晴らしい環境で働いていたら、ワイン作りの夢を実現させた喜びを毎日味わっていたでしょうね。それなのに、国外退去を言い渡されたら、どんなにショックだったか?...
◆ 収入が少なすぎる?
一生懸命ワインを作っていた日本人夫妻が、なぜフランスから追い出されそうになったのか?
フランスのお役所がすることだから、間違いがあっても不思議はない。つい最近も、親しいフランスの友人が「実は、僕は死んだことになっていたんだ」と話しました。税金関係で証明書類が必要になったので役所に電話して自分の名前を告げたら、その人はもう死亡している、と言われてしまったのだそう。
彼は慌てて役所に行き、やっと死亡しているというのは訂正してもらいました。同姓同名の人が亡くなったとき、友人が死んだことにされてしまっていたのだそうです。
こういういい加減なことをする国で(日本でもあり得そうな気はしますが)、外国人がお役所を相手にするのは大変だろうと思います。夫妻は弁護士を雇っていました。その費用もかかりそうでお気の毒ですけれど。
日本人夫妻国外退去を言い渡された理由は、彼らには事業を続けるに足る収入がないことでした。フランスの報道では「faute de ressources suffisantes」と表現されていました。
彼らが得る収入は月額2,000ユーロに満たないから、事業を続けられないだろうと判断されたようなのです。
そのくらいの収入で問題なく生活しているフランス人たちはたくさんいますけど、外国人がフランス国内で生活しようとするときの収入の規定は、かなり高く設定されているだろうと思います。もうだいぶ前ですが、日本人が正式なビザをとってフランス企業に就職するために必要な給与額というのを見て、かなり上位の管理職でなければそんなには出してくれないだろうと思ったことがありましたので。
この出来事に関して、こう書かれている日本の報道がありました:
2人が在留資格を「労働者」から「農家」に切り替えようと申請したところ、月収が2000ユーロ(約26万円)に満たないとの理由で移民当局から退去処分を言い渡された。
お二人が在留資格を「労働者」から「農家」に切り替えようとなさったのだとすると、ちょっと危ないことをなさったな...。
フランスが移民を追い出そうとするのは、この国にある手厚い社会保障を受けようとする移民に対して防波堤を作ろうとしているのが主要な理由です。補助金支給を期待できる農業者の身分にして欲しいと申請したら、怪しまれても無理はないと思いました。
彼らの友人か誰かが、「君たちが農業者の身分になったら、補助金をたくさんもらえて、色々な恩恵を受けられるよ♪」と入れ知恵したのだとしたら、その人を恨んで欲しい。まだワインを1回しか売っていなかったのですから、もう少したってから行動をおこした方が良かったのではないかな...。
◆ やっかみ? 地域に排他的な空気がある?
私がこの国外退去のニュースを見たとき、地元でワインを作っている人たちからの「やっかみ」があったからだろうと思いました。余り高い価格では売れない南フランスのラングドックというワイン産地で、評判になるようなワインを出したら、近郊の同業者からやっかまれます。県庁に勤めている知人がいたら、「あそこが怪しい」とか告げ口したかもしれない。
この出来事を知らなかった友人に話したときも、真っ先に出たのは「やっかみだろう」と言いました。
日本の田舎でも同じだろうと思いますが、出る釘は打たれる! 本当なら、素晴らしい出来だとして高い値段で売れるワインがあったら、地域のワインの価値を高めるのだから肯定的に受け取るべきなのですが、オレが作ったワインの数倍以上の価格で売っているのは気に入らん! と考えるのですよね。バカだと思うけれど、そう考えるのだから仕方ない。
追い出されそうになった理由の1つとして、友人はこの地方の人たちのメンタリティーによる、というのも挙げていました。フランスの旧植民地の人たちがフランスに移住して来るとき、やはり祖国と同じように気温が高い地域を選ぶので、南フランスには移民が多いと言うのです。
フランスの地域の中で、移民排斥が一番強いのはドイツとの国境にあるアルザス地方だと聞いていますけれど、南フランスにも排他的傾向があるかもしれない...。
◆ 国外追放には反対の声が巻き起こった
この日本人夫妻がフランスから追い出されることは絶対にあり得ないだろうと思って、ニュースは追いませんでした。
こういう不当なことに対する反発は、フランスでは非常に強いのです。真面目にワインを作っている日本人を国外追放するなどというのがニュースに流れたら、反対運動がおこるはず。しかも、フランス人たちは反対運動をするのに慣れているので、県知事に抗議する嘆願書に署名を集めて、すぐに問題は解決するだろうと、ほぼ確信していました。
フランスで真面目にワインを作っていた日本人が国外退去の命令をもらってしまったというニュースは、地元の新聞 L'Indépendantが真っ先にしたように見えました。私がニュースで拾った限りでは、6月30日の報道。それから、2日か3日後に、次々と各社が取り上げました。
ワイン関係者はもちろん、一般の人々も国外退去は不当だとする気運が盛り上がったようです。県知事に対する陳情書に署名するサイトでも、ただちに署名者は5万を超えました。

☆ Non à l'expulsion des vignerons japonais de Banyuls !
県庁側では9月6日に再審査すると発表していたのですが、7月5日には日本人夫妻への退去命令は却下されたと報道されていました。とりあず3か月の滞在許可が出たようです。それを更新していけば良いのでしょうね。
国外退去命令などをもらって心痛は大きかったとは思いますが、今後も誠実にワインを作り続けていく限り、ビジネスとしては安泰ではないでしょうか? これほど優れたワインなのだと知られたわけですから、手に入れたいと思う人には事欠かないだろうと思うのです。
こちらのワインのネットショップでは、2017年ものは在庫切れで、2018年のヴィンテージを来年5月の出荷の予約として、29ユーロで売っています。
◆ 日本より、フランスでの方が話題にされたのでは?
今回書いた出来事をiPhoneの音声アシスタントSiriに聞いたら、こう教えてくれるだろうというような面白い動画(7月2日公開)があったので入れておきます。
Ce couple de Japonais produit un vin français très à la mode, mais risque l'expulsion
ニュースサイトで、「今日のビックリ・ニュース」という感じで取り上げていました。
このニュースを聞いたフランス人は、誰でもフランスに投資してくれて、優れたワインを作った日本人夫妻を追い出そうとした県庁が間違っていると考えるだろうと思います。
日本のインターネット上のニュースは、日本ではすぐに消えてしまうので、このニュースがどのくらい報道されたのかはわかりません。でも、日本での報道より、不当な処置だ! と、のろしをあげるフランスの方が激しかったのではないかという気がします。名だたる報道機関は、本来なら移民に対して冷たいはずの右寄りの新聞まで、ニュースにしていましたので。
フランスの記者は、正義の味方になるような報道をするのが好きなのですよね。
それで、ふと思ってしまう。
最近の日本では、研修生の名のもとに東南アジアから来た人たちを悪い労働条件で働かせていることが話題にされますが、人権の侵害だとして大きな運動にまではならないのではないかな...。
今のように移民問題が大きく扱われなかった時代、日本人の私には奇妙に見える事件がありました。フランスに不法滞在している大勢の人たちが教会にたてこもって、滞在許可を出せとやったことがあったのです。警察官が教会に立ち入ったら、一挙に不法滞在者を逮捕できてしまうわけですよね。ところが、やらない。そんなことをしたら、国民から反発がおきてしまうので出来ないのだ、という説明でした。
フランス人には判官びいきのような感覚が強い、と感じています。
続き: ヴァン・ド・フランスとは?

ブログ内リンク:
★ フランスのワイン産地は幾つに分けるの? 2016/03/25
★ 無添加ワインって、なに? 2014/05/21
★ 憎っくき、菜の花畑 2013/05/14
★ 目次: フランスの農業と農家(農業者、非農業者) ⇒ 有機農業、自然農法、減農薬
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
★ 美談: パリのスパイダーマン 2018/06/02
★ フランス人の博愛精神は薄れてきている? 2010/11/05
★ 目次: フランスのホームレス、貧困者について書いた記事
外部リンク:
【日本での報道】
☆ 南仏で自然派ワインを造る日本人夫婦に退去命令、フランス国内で沸き起こる議論 2018/07/04
☆ 日本人夫婦のワイン醸造家が世界的に高い評価を受けるもフランスからの国外退去を迫られる 2018/07/05
☆ 日本人ワイン農家夫妻退去命令に反対署名殺到=仏 2018/07/05
☆ 在仏の日本人ワイン農家夫婦に退去命令 「恥ずべき決定」に抗議の署名殺到 2018/07/07
☆ 在仏の日本人ワイン農家夫妻に滞在延長許可、退去反対の署名5万人超 2018/07/07
【地元L'Indépendant紙の報道】
☆ Un couple de vignerons japonais installé à Banyuls frappé par une obligation de quitter le territoire 30/06/2018 à 10:39
☆ priés de quitter le territoire et leur vignoble où ils ont investi 150 000 € 30/06/2018 à 18:14
☆ Vague d'indignation et de mobilisation pour les vignerons japonais menacés d'expulsion 03/07/2018 à 18:12
☆ Un couple de vignerons japonais menacé d'expulsion à Banyuls-sur-Mer : la préfecture va réexaminer le dossier 05/07/2018 à 10:38
【その他 フランス国内での報道】
☆ Terre de Vins: Banyuls : un couple de vignerons japonais menacé d’expulsion 02/07/2018
☆ Le Parisien: Un couple de Japonais menacé d’expulsion alors qu’il produit un vin d’exception 02/07/2018
☆ Le Figaro: Des viticulteurs japonais virtuoses menacés d'expulsion 03/07/2018
☆ Le Point: Vignerons de l'Occitanie : un couple de Japonais menacé d'expulsion 03/07/2018
☆ Ouest France: Malgré un vin d’exception, des vignerons japonais menacés d’expulsion 2018/07/03
☆ France 3 Occitanie:: Vignerons japonais à Banyuls : ils font un vin d'exception, mais sont menacés d'expulsion 03/07/2018
☆ Libération: Mobilisation autour d'un couple de vignerons japonais menacés d'expulsion 03/07/2018
☆ Huffpost: Rié et Hirofumi Shoji, le couple de vignerons japonais menacé d'expulsion, peuvent rester en France (pour l'instant) 05/07/2018
☆ Le Figaro: Les viticulteurs japonais virtuoses ne seront finalement pas expulsés de France 05/07/2018
☆ 20minutes: La préfecture accepte de réexaminer la situation des vignerons japonais menacés d’expulsion 05/07/2018
☆ Sud Ouest : l’expulsion de vignerons japonais annulée 05/07/2018
【自然派ワイン、ブドウ畑の農薬問題】
☆ Wikipedia: バイオダイナミック農法 » Agriculture biodynamique
☆ ビオワインとは|2つの主な農法とオーガニックワインとの違い
☆ Dailymotion: "Je n'ai pas l'impression de polluer " témoigne cet agriculteur
☆ Vin, pesticides et riverains : le Mâconnais s’en sortira-t-il ?
☆ Rue89 Bordeaux: Archives "pesticides"
☆ 守ろう!技能実習生の人権 〜外国人技能実習制度の適正な実施を〜
☆ 「助けて下さい」技能実習生が”手紙”で日本政府に訴え、「時給400円」や「暴力」に泣き寝入りしない
☆ 外国人技能実習生、法令違反4200事業所 4年連続で最多
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この記事へのコメント
どなたも ご自分が 有利になるように
なさりたい かと。。。
どんな分野にもありますね、、
スポーツでは
スキーのジャンプ競技
日本人が勝ちすぎると
チビが多い 日本人には不利になるように
ルール改正
自動車の F1 ホンダが勝ちすぎると
ホンダが不利になるように
ルール改正
https://matome.naver.jp/odai/2139536110289670701?&page=1
そして ワイン ですか、、
日本人が 美味し そうな モノを造ると
嫌がらせ かな、、、
世界基準は 公平でも公正でもない
やれやれ だぜ。。。
それが ぼくの 自己規準なのだ ♪
なさりたい かと。。。
どんな分野にもありますね、、
スポーツでは
スキーのジャンプ競技
日本人が勝ちすぎると
チビが多い 日本人には不利になるように
ルール改正
自動車の F1 ホンダが勝ちすぎると
ホンダが不利になるように
ルール改正
https://matome.naver.jp/odai/2139536110289670701?&page=1
そして ワイン ですか、、
日本人が 美味し そうな モノを造ると
嫌がらせ かな、、、
世界基準は 公平でも公正でもない
やれやれ だぜ。。。
それが ぼくの 自己規準なのだ ♪
2018/09/30 | URL | たかゆき [ 編集 ]

>日本人が 美味し そうな モノを造ると嫌がらせ かな、、、
書き方が悪かったのだろうと反省。私が面白いと思ったのは、この日本人夫妻に国外追放命令が出たことに関しては、日本でよりもフランスでの批判の方が大きかったことでした。
フランスに貢献している日本人夫妻を追放することは間違っている、と反対したフランス人たちを批判するとしたら、フランス人たちは努力しないので、頑張ってくれる外国人がいることは喜ばしいではないか、という彼らの態度かな…。
もともとフランス人には外国人の血が混じっているので、日本人のように頭ごなしに外国人を排斥する考え方はしないと感じています。画家でも歌手でも、外国から来た人がフランスを代表する存在になっていることが多い。サッカーのフランスチームの顔ぶれを見ても、どこの国のチームなのか分からないです。
>不利になるようにルール改正
現代のスポーツは、フェアープレイなんていうのは無関係だと思っています。金儲けビジネスと同じ。純粋な気持ちでスポーツをやっている人は檜舞台には立てないと思う。日本を打ち負かすための策を考え出すというわけでもなくて、誰でもやっていると思いますけれど…。
思い出すのは、柔道をオリンピック競技にしたときのこと。巨体のオランダ選手が優勝してしまったので、日本人には大ショック ! その後、選手の体重でカテゴリーを分けるようにしましたが、始めからルールを定めてやるべきだった。
日本の国技だから神聖なスポーツとして扱いたいと思うなら、外国人がやるのは勝手だけれど、同等に日本人とは勝負させないとしても良いと思うのです。相撲の方はおおらかに外国人に活躍させていますが、これほど頑な日本でできたというのを不思議に思っています。
>世界基準は 公平でも公正でもない
>やれやれ だぜ。。。
政治のことを考えると憤ります。スポーツのルールを変えて勝とうとするのなんかは、可愛いと言えるレベルでは?
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018/10/08 | | - [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018/10/09 | | - [ 編集 ]

1つめのコメントは、意図に反して秘密コメントにしてしまったとあったので、コピーを張らせていただくのをお許しくださいますよね。ブログ管理人の私でも、秘密コメントになっていると、後で読みたいと思ったときに見つけるのが難しいので。
こんにちは。お久しぶりです。
お若いのに、素敵なご夫妻ですね! お二人とも、真面目で穏やかな感じの方のよう。日々の仕事も淡々となさってるような雰囲気が伝わってきました。
6年間フレデリック・コサール氏(サン・ロマン村 ドメーヌ・ド・シャソルネイ)のもとで修業されたとか。それにしても、月収が・・・びっくりしました。これでは、用心の為の貯蓄もままならない??でしょうが、とても素敵なご夫妻に、乾杯!です。
フランス人たちから好かれるタイプの日本人だ思いました。40歳前後のお二人ですが、フランス人が写真を見たら、二十歳前後の初々しいカップルに見えてしまうのではないかな…。
私とは次元が違う世界にいらっしゃると感じているフォルナリーナさんは、彼らの月収に驚かれたでしょうね。私は、このくらいあれば十分だと思いました。日本でもフランスでも、農家の収入というのはサラリーマンと違って、こんなに少なくて大丈夫なの? と言いたくなる金額でも、私なんかよりゆとりがある生活をしていらっしゃる、と感じているので。
>Pedres Blanques、日本での販売はなさそうですね。
これも、この夫婦に私が好感を持った点でした。フランスでワインを作っている日本人は何人もいますが、うまくPRをして日本市場に流すことで販売ルートを確保しているケースが多いですが、それをやらないで彼らは真剣勝負していると思いました。
ご親族の嬉しいニュースのご報告も、ありがとうございます。生きる価値とはなにかと、私はいつも考えてしまうのです。社会の良き発展のために貢献できたら、この世に生まれてきた価値がある。それができなかったら、たとえ自分は幸せだったと思っても、無意味な一生だったかな?…と。それにしても、このたびも祝賀会をなさったりしたフォルナリーナさんのご親族は暖かくて、本当に羨ましい…。
こんにちは。お久しぶりです。退去命令を受けた日本人ワイン農家の件はこちらでは第一報だけ読んでいました。そんなことがあるのかという驚きと、たぶん大丈夫なはずという楽観が交錯していました。こちらの記事を読んで納得できました。ところで記事中の地図を見てコリウールのそばだなと思っていると「コリウール」のことが出てきてビックリ!
私は2008年に訪ねました。https://blogs.yahoo.co.jp/ad9875cb/3062582.html 宿泊されたホテルが写っているかもしれえません。
最近あるニュースでとびぬけて圧倒的に大笑いしました。
華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)逮捕に際して中国外務省の陸慷(Lu Kang)報道局長は「非人道的で彼女の人権を侵害している」と。中国政府が人権という言葉を使うとは。お返しみたいに元カナダ外交官を拘束、ウイグルでの大量拘束、そして今日報道されていたウイグルでの写真家拘束など民主主義と相反する中国の現実。この国にごく当たり前の選挙制度が出現することはあるのでしょうか。
私は2008年に訪ねました。https://blogs.yahoo.co.jp/ad9875cb/3062582.html 宿泊されたホテルが写っているかもしれえません。
最近あるニュースでとびぬけて圧倒的に大笑いしました。
華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)逮捕に際して中国外務省の陸慷(Lu Kang)報道局長は「非人道的で彼女の人権を侵害している」と。中国政府が人権という言葉を使うとは。お返しみたいに元カナダ外交官を拘束、ウイグルでの大量拘束、そして今日報道されていたウイグルでの写真家拘束など民主主義と相反する中国の現実。この国にごく当たり前の選挙制度が出現することはあるのでしょうか。
2018/12/12 | URL | ETRETAT [ 編集 ]

お久しぶりにコメントを入れてくださってありがとうございます♪ ここのところ旅行ばかりしているので、お返事が遅れて失礼してしまいました。
>「コリウール」のことが出てきてビックリ!
いらっしゃっていましたか。良いところですよね。
都会の醜い景色が見える家に住んでいて「出て行け」と言われたら、生活を変えるきっかけになったと受け取ることができるでしょうが、あんな眺めの良いブドウ畑を手放すのは辛いだろうと思った。
>中国政府が人権という言葉を使うとは。
ほんとに!
でも、「ごく当たり前の選挙制度」が存在しているように見える国で、権力者がしたい放題のことをやっている方が怖いのではないかという気もする...。
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