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2010/10/20
フランスでは全国的なデモが続いています。それから、公共交通のデモ、石油精製所の閉鎖によるガソリン不足。テレビを見ていると、そんなニュースがいっぱい流れてきます。

ここ数年の政治のなりゆきを見ていて、フランスが掲げている「自由、平等、博愛」の精神は過去の遺物になるのかな… と思っていたら、やはりフランス人たちの革命精神は健在らしい。

サルコジ大統領が「今後はフランスでストなんかあったって、誰の目にもとまらないだろう」とせせら笑っていたのは1年前のことなのですけど、その後はむしろデモやストが目立ち過ぎています。

そのときの大統領発言と、「それならストを見せてやろう」というビデオ:


Le 29 janvier 2009 on va se faire entendre


テレビに映る路上の騒ぎを見ていると、フランス革命のときはこんな感じだったのではないかな?… とさえ思ってしまいます。

このままデモが白熱していったら、フランスはどうなるのだろう? 市民戦争?…

デモはフランス人の国民的レジャーだ、などと言ってはいられない状況

デモはフランスの国民的レジャーではないかと思ってしまうほど、フランス人たちはデモに参加するのが好きだと感じます。

参加しない人たちも、デモをする人たちの権利を尊重する傾向にあります。迷惑をかけられるわけですが、こういうときのフランス人たちには連帯精神がでるらしい。食べ物の差し入れをする人たちもいます。

でも、今回のデモやストは「レジャー」なんて言ってはいられない感じになってきました。デモを終えたら同士の仲間と食事を楽しむなどと風習も、この不況なのでなくなってきているとのこと。


国民の不満が爆発

今回のは老齢年金改革の反対運動だといわれますが、それだけではないように見えます。年金制度改革反対をきっかけにして、今の政権がしていることに反対することで盛り上がってしまっているようす。

フランスの社会保障制度は大きな赤字で、平均寿命は高くなっているのですから、何とかしなければならないというのは誰だって納得することのはず。

でも、サルコジ大統領はヒットラーほどの技量はないし、うまく国民を説得するのも不得意なよう。高額所得者を優遇することで経済を立て直そうと図ったのですが、それもうまく行っていない...。

最近は、あらたなゴシップ。庶民には気が遠くなるような額のお金を浪費しているべタンクール夫人(ロレアル社の相続人)の生活が家内騒動から明るみにでて、この老婦人からはサルコジ大統領も献金してもらっていたらしいというニュースが流れました。

財政危機のしわ寄せを、どうして庶民に押しつけるの?! という感じではないでしょうか?

日本だったら、これだけ国家の統治者の人気が落ちたら首相交代になると思いますが、フランスの制度では、よほどのことがない限り、大統領は任期満了までは退かなくて良いらしいです。


高校生もデモ

とうとう高校生たちも行動を起こしてきた、というのが最近のニュースでクローズアップされています。

老齢年金支給年齢が60歳から62歳に引き上げられたら、それでなくても仕事の経験がないことを理由に就職できない若者たちには高齢者におされて職場がなくなる、という言い分。日本でいう「定年」がフランスにはないから生まれる発想ですよね?

フランスでは、学生たちがデモに参加すると怖い事態になる、ということになっているそうです。

働いている大人たちはいちおう仕事を失わないように行動するけれど、若者たちには怖いものはない。親たちはデモなんかしない裕福な家庭の子どもでも立ち上がる。

最近の若者たちは携帯メールを使いこなすので、「○○に集まれ~」のようなメールがどっと入ってくるのだそうです。


こんな静かな田舎町でもデモ?!

デモやストがおこるのは大都市です。私が住んでいるような田舎では、いつもと大して変わらない生活です。

まず、フランスの田舎では、道路を埋めるほど大勢の人なんか住んでいない!

交通機関がストといっても、田舎には全く無関係。そもそも、バスはなきに等しいし、なんとか駅まで行っても、乗りたい時間に電車が来るわけではありません。ストがなくても、不便な生活であることには変わりないのです!

ガソリンスタンドに長蛇の列ができているのも見かけていません。ガソリン不足を示す全国地図を見たら、我がブルゴーニュはほぼ平常の供給をしている地帯に入っていたのでした。
追記: とはいえ、数日たつとブルゴーニュでも不足状態になりました!

従って、テレビで見るニュースは外国のニュースみたいに遠い映像です。

近くの町に行ったので、知り合いが働いているオフィスに顔を出してみました。窓口にいながら仕事している女性なのですが、いつも誰も来ていないので邪魔にはならないので挨拶に寄ったのでした。

「こんな小さな町でも、高校生たちがデモをしている?」と聞いてみたら、「まだ見かけていないけれど、そのうち始まるのじゃないかな」との返事。

おしゃべりをしていると、外から異様な声が聞こえてきました。

さっそくオフィスの外に出てみたら…
いました、いました! 町の中心の小さな広場に立って、シュプレヒコールを叫んでいる高校生たち!

高校生たちのデモ

平和な田舎町の高校生たちです。「私たちもデモをするんだ~!」とばかりに騒いでいて、人々が立ち止まって眺めてくれるのが嬉しそう♪

こんなことを叫んでいました。

Sarko, t'es foutu !
Les lycéens sont dans la rue !

サルコ(サルコジ大統領のこと)、あんたは終わりだ
高校生たちは道にいるぞ~
… というような意味なんですが、フランスのシュプレヒコールは詩のように韻を踏む文章になります。

ちなみに、これは昔からあるシュプレシコールなのだそうです。「サルコ」と「高校生」の部分を入れ換えれば何にも使えるのだそう。


純朴そうで、可愛い高校生たち♪ でも、これが大都会だったら、とんでもないことに巻き込まれる危険もあるのですよね…。

パリ郊外では、バリケードを作ろうと路上のゴミ箱を動かしていた高校生がゴム弾にうたれて重傷をおっています。本来は警察がデモ隊に対しては使ってはいけないとされているフラッシュボール(直径約4センチの球形の大型弾)でした。その高校生は失明の危機にあるのだそう。


壊し屋たちも繰り出してきた

フランスで大規模なデモが行われると、破壊・略奪行為をするのを趣味(?)にしている若者たちが登場します。「casseur(壊し屋、破壊活動者)」と呼ばれ、40年ほど前に荒れ狂った学生運動のときに普及した言葉だそうです。

彼らは、ドサクサに紛れ込んで、路上の車を燃したり、商店を破壊したりします。反対運動なんかには関係なしに、日頃のうっぷんがたまっている若者たち。

先日のニュースでは、覆面をかぶって武器になるようなものを持った一団が、高校生のデモ隊に紛れ込んでいく場面を捉えていて興味深かったです。

こういう場面では、デモ隊とカッスールははっきり区別できるのですが、 警察が催涙弾などをまくと、視界がなくなって、区別ができなくなります。フランスで報道するときは区別している感じがしますが、日本に発信されるニュースでは一緒くたにして「若者たち」として扱うニュースが多いような気がしました。

炎が燃え上がり、煙や催涙弾でメチャメチャになり、警察官に叩かれたら、誰だって戦争に参加している気分になって正気を失うのではないでしょうか? 怖い状況…。

普通にいったら、人気が極端に低下したサルコジ大統領が次期大統領選挙で再選されるはずはないところでしょうが、こうなると分からなくなってきます。「騒ぎはもうたくさん」という人たちが保守派を支持するようになって、選挙では右派が圧倒的勝利をおさめるという方程式があるのだそうです。五月革命の後も、そうだったとのこと。

フランス、どうなるのかな?…

この週末からトゥーサンのヴァカンス期に入るので、静かになると見られています。やはり休日は神聖なものとした扱うのがフランス?! でも、ガソリンが不足しているので、旅行を取りやめた人も多いようです。

ヴァカンスが終わったら、またデモの再燃かな?…

でも、心配のしすぎかもしれない。フランスで起きていることとはいえ、私は実際には何も見ていないのです。映像で映し出される世界は、現実の一面しか見せないものなのですよね。私が帰国しているときに日本のどこかで地震がおきると、フランスの友人たちは私が瓦礫に埋まったのではないかと本気で心配してくれます。そんなものかもしれない...。


フランスの大都市をご旅行なさる方はご注意くださいね

外国人はデモに参加してはいけないことになっています。デモに参加していると間違えられないように、デモの見物なんかしない方が無難だと思います。そもそも過激になることもあるので危険です。

警察は大統領の保護のもとに権力を増しています。自宅に帰ろうとしたらデモで道が封鎖されていたのでデモの見物に行ったフランス人の男の子が、記念にしようと思ったのか投石に使われる石畳の石を拾ってしまったら、警察管に投げるつもりだっただろうと捕まって、投獄された事件もありました。

警察管と出会ったら、よけいなことは何も言わないのに限るそうです。冗談を言ったつもりでも、それが侮辱的な言葉だと判断されたら、それだけで留置所に入れる権利を彼らは持っているのだとのこと。とても感じの良い警察管もいるのですが、ちょっと出会った程度では判断は難しいと思います。

ブログ内リンク:
5月革命から40年 2008/05/05
★ 目次: 戦争、革命、テロ、デモ

外部リンク:
☆ 元老院議員私設資料展示館: ド・ゴール伝 第5部その2 五月革命


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カテゴリー: 時の話題 | Comment (2) | Top
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コメント
この記事へのコメント
お久しぶりです。
最近はサルコジ関係のニュースを見ると、フランス人が何でこんな人を選んだのかな、と思っていましたが、この記事で、いや、やっぱりフランスの革命精神は健在なんだな、と感心しました。
Otiumさんは、5月革命の頃に、フランスにいらしたのですか?
日本の、あの頃の世代、今はすっかり保守的な、年功序列終身雇用の最後の世代として労働市場から逃げ切り退場だな、という感じです。5月革命の頃は、アメリカは公民権運動でした。その後の、ヨーロッパ、日本、アメリカの社会の進路の違い、興味深いですね。

で、最近読んだ、日本のこの世代の代表選手のような作家の本で、「自分は選挙には行かない」と誇らしげに書いているのをみてとてもびっくりしました。なんか、あの時代を通過したから政治不信なんだ、みたいな書き方だったのです。フランスでなら、知識人が「自分は選挙に行かない」と誇らしげに書く、なんてことはないように思います。この作家、村上春樹、を私は好きではないのですが、あまりに日本、そして、海外でも人気が高いようなので、そんなにいいかな、ともう一度エッセイを読んでみて、やっぱり私には合わなかったのですが、その中の一節でした。
2010/10/22 | URL | Saule  [ 編集 ]
v-22Sauleさんへ

5月革命の頃は、まだフランスに一度も行ったこともなく、フランスには全く関心も持っていない時代でした。フランスに来てから、当時のニュースの映像を見たり、知人から話しを聞くようになって、すごかったのだな... と想像できるようになった程度です。日本の学生運動は敗北感しか残らなかったように思うのですが、フランスでは5月革命の後から人々の考え方(家族のあり方、女性の地位の向上など)が大きく変わっているので、関心を持たざるをえません。

>知識人が「自分は選挙に行かない」と誇らしげに書く、なんてことはないように思います。
⇒ フランスでは、昔から作家が政治に関わる伝統がある半面、選挙を軽蔑することを書いた作家もけっこういるのではないかと思うのですが...。日本でそんなことを言うと風当たりが強すぎるのではないかと思ってしまいますが、村上春樹さんはどんなことを書いたら共感を得られるかをキャッチする作家だと思っているので、なるほどと感心しました。『ノルウェイの森』がベストセラーになったときに読んだのですが、こう書くとウケルという下敷きのもとに書いているように見えて苛々したので、他の作品は何も読んでいない気がします。その後、出版界にいる友人から裏話を聞いて、なるほどな... と思ったのでした。
2010/10/23 | URL | Otium  [ 編集 ]
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